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魔界ヒーロー  作者: 月宮朝陽
1/1

ヒーローになりたかった俺は異世界で魔王目指します

みんな、ヒーローってどんな人だと思う?泣いている人の涙を止められる人?

悪から弱い人を守る人?それとも大事な人を命がけで守る人?だとしたら

俺は今、きっとヒーローだ、荒れ狂う川の濁流の中で俺はそんなことを考えていた

どうか来世は本物のヒーローになれますように・・・



俺の名前は青山朔斗あおやまさくと、普通の男子高校生だ、学校からの帰り道、川に向かって叫ぶ

「俺たちの将来の夢はヒーローになることだ!なこの年になって何言ってるんだって思っただろ?

 でもなれる気がするんだ!俺たちなら!・・・なんて俺たち中学の頃言ってたんだぜ?今思えば

 超、かっこわりいって思う、お前らもそう思うよな?」

横を歩く同級生の五十嵐大河いがらしたいが氷室陽ひむろように尋ねる

「わかりみが深い…!」

「まあ言いたいことはわかる、俺たち三人で中学の頃ヒーロー戦隊青氷の嵐ってサイト作ってたん

 今となっては黒歴史やもんな…」

「やめろ!漆黒の記憶シュバルツレコードを呼び覚ますな!」

「朔斗、昔の口調になってるよ」

「そう言えば。なんで朔斗はヒーローになりたかったんや?」

「あれ?言ってなかったか?小さい頃、この川で遊んでた時うっかり足を滑らせて落ちちまって

 その時助けてくれた男の人がいるんだけどその人がスゲーかっこよく見えて・・・

 それ以来ヒーローを目指すようになったんだ」

俺は額の傷を撫でながら語った

「へえー、初めて聞いたよいいじゃん、だったらなんで急にかっこ悪いとか言い出したの?」

「それは・・・」

俺が理解したからだ、俺が平凡だということを。勉強は普通、運動も普通、特別な才能は無く

普通に仲のいい友達がいて、普通に好きな人がいたりして・・こんな普通な俺がヒーローになれるわけがないって思ったからだ

「別に年相応の精神になっただけだ」

「えー、朔斗のそういう所結構好きだったのになー、なんちゃって」

「マジ!?じゃあもっかいヒーローめざそっかな!」

「何ゆうとんねんお前ら・・」

そんなことを言って笑いながらいつもの土手を歩く、今日もいつもどうりだったなあ・・・

何か面白いことでも起きないだろうか異世界転生とか、世界がゾンビに支配されるとか

漫画とかアニメの世界ではこうゆう事考えた主人公って大体転生したり、ゾンビに支配されたりするよな

そんで後悔する、一種の死亡フラグか、危ないから考えないようにしよう・・・

そんなことを考えながらぼんやりと橋を渡っていると、川の向こう岸で女の子が川の中腹を指差して

必死に泣き叫んでいるのが見えた、指さすほうを見ると男の子がおぼれている水面に必死に手を伸ばして

もがいているが、昨日の雨で水量が上がりたくさんのものが流れている川の中は危険だ

俺たちでは助けられないレスキューを呼ぼう、俺はそう言おうと思って

大河と陽の方を見ると陽は既に靴と靴下を脱ぎ捨てて川に飛び込んでいた、大河も今にも飛び込みそうだ

「な・・何やってんだよ!やめろ大河!飛び込んでも助けられねえよ!レスキューを呼ぼう!」

大河はこちらを見ようともせず突き放すように言った

「レスキュー呼んで、すぐ来るわけないやろ?そんなン待ってる間にあの子が死ぬやろ?

 お前はヒーローになりたかったんとちゃうんか?助けてくれた男の人にあこがれとるんとちゃうんか?

 俺はもう別にヒーローになりたいわけとちゃう、でも目の前の助けられるガキ一人見捨てるような

 クソ野郎にはなりとおないんや、お前はそこで震えとけやカス!」

そう怒鳴って大河も川へ飛び込んだ、川を見下ろすと陽が女の子を掴んで岸に向かっている

一方、大河は橋のすぐ下でおぼれている、あいつ・・「大河」なんて名前のくせに泳げねえんだっけ

だったら飛び込むなよ!でも・・あいつらのほうがよっぽどヒーローだ、俺は口だけのクソ野郎・・・

でも・・・それでも!俺は親友まで見捨てるゲボクソ野郎にはなりたくねえ!そう思って

カバンを投げ捨て、ブレザー投げ捨て柵に足をかけ、川に飛び込む、これでも泳ぎは得意なんだ!

川の濁流の中で暴れる大河の首を掴み岸へと向かう、岸にはおぼれていた男の子と泣いていた女の子

そして陽の姿がある、よかった・・助けられたんだなしかし陽が俺たちに向かって必死に何か叫んでる

「朔斗!大河!前見て!」

言われた通りに前を見ると大きな流木が目の前に迫っていた

「マジかよ・・・」

よける間もなく俺と大河は流木にぶち当たる一瞬目の前が真っ白になった体に力が入らなくなり

大河と共に川底へ落ちて行く、薄れゆく視界の中で川に飛び込んでくる陽の姿が見えた

危ない、来るなそういおうとしても当然のことながら水中なので声が出ない

もう泳げねえ、何も見えねえ結局・・・親友は救えなかったな・・来世ではヒーローに・・

そんなことを考えながら、俺は苦しさで意識を手放した


俺は建物の中で目を覚ました、なんだ?ここは天国か?見た目は完全にオフィスだな

周りを見ても大河と陽の姿はないあいつらは死んでないのか?よかった・・・

奥のほうから眼鏡をかけてスーツを着た男の人が走ってきた

「青山朔斗様ですね?この度はご愁傷さまでございます、私はスズキと申します。」

そう言って頭を下げるスズキさん、ああ、俺は死んだのか、じゃあここは天国か?

「ここはどこですか?」

「ここは天界役所死後相談エリアです」

役所!?天界にも役所があったのか・・・

「これからいくつかの確認をする必要がありますのでこちらに来てください」

言われた通りについていくとパーテーションで区切られて中に机と椅子がある空間についた

「まず、あなたは青山朔斗様で間違いないですね?」

「はい、俺は青山朔斗です、それと敬語使わなくていいですよこちらが年下ですし…」

「わかった、じゃあ質問を続けるね?君は東京生まれ東京育ちの十六歳、誕生日は一月一日

 額の傷は幼いころの水難事故によるもの、好きな服は長ズボンにパーカー

 好きな食べ物は馬刺し、中学の頃は右目に邪神が宿っていた・・であってるかな?」

「あってますけど・・その確認いります?」

「ごめんね?規則だから・・・」

「それで、俺はこれからどうなるんですか?天国に行くんですか?地獄ですか?」

いきなりスズキさんは眼鏡を光らせて立ち上がり頬を紅潮させて言った

「よくぞきいてくれた!ここからが本題なんだ、本来は死後の運命は選べないんだ

 転生しても前世の記憶は失われる・・・だがしかし!

 朔斗くんのように特殊な死に方をしたものに限り死後の運命を選べたり特殊な権利を持てたり

 記憶を引き継ぐことができるんだ!」 

特殊な死に方?水難事故のことか?

「特殊な死に方ってのはどういう死に方なですか?」

「主に四つ、一つは若いうちに特に悪いことをせず亡くなった人。二つ目は悪意ある他人に殺された人

 三つ目は病気で亡くなった人四つ目は誰か守って亡くなった人・君は一つ目と二つ目に該当するね

 君には三つの権利が与えられる、一つ目は好きな世界を選ぶ権利だ、二つ目はその世界での

 自分の能力や見た目を決められる権利、最後は私たちになんでも一つ質問をする権利だ」

なんでも一つ質問をする権利?何か隠してることでもあるのか?

「じゃあ魔王とか魔法のある世界がいい出来れば争いが絶えなくて荒れている世界がいい

 そこでヒーローとして生きたい、見た目は・・お任せでいいかっこよければなんでもいい」

スズキさんはパソコンに俺が今言ったことを入力している

「約百件・・・じゃなかった百世界あるけどおすすめにしておくね」

いま百件って言ったな、物件探しみたいな感じなのか?

「それでいい」

「わかったよ、ただ注意がある、ヒーローになりたいといったがどんなヒーローになるかはわからないよ

 剣聖の息子になるかもしれないし孤児院で生まれて魔法の天才になるかもしれないまあ、生まれる

 場所は選べないよ、ヒーローというのは強くなりたいという解釈でいいかな?」

「うん、俺は強くなりたいたくさんの困ってる奴や悲しんでいるやつを救えるようなかっこいい

 存在として生きれれば最初の立場など選ばないよ」

「わかった、見た目の件はとりあえずオッドアイで申請しておくね?中学の頃憧れてたらしいじゃない」

「黒歴史を掘り返さないでくれ・・」

まったく、この人は一体どこまで知っているんだ?

「わかった、では最後の権利だ何でも好きな質問をするといい前世の天界でもここのことでも」

いろいろと質問を考えていたがやはりこれしかないな

「五十嵐大河と氷室陽が今どうなっているかってわかるか?死んでる?生きてる?」

スズキさんはパソコンでカタカタと何かを入力している

「ああ、あったあったえーっと・・・もう死んでるね二人とも」

マジか・・・二人だけは生きててほしかったな・・

「二人は君が来る三日前ぐらいにここで手続してたみたいだね・・」

え?三日前?一緒に死んだはずじゃあないのか?・・多分俺が数日意識不明で死んだんだろうな

スズキさんはニヤリと笑って

「偶然か必然か、三人とも同じ世界を選択しているね、、同じ世界を選択すれば来世で会えるかもね」

「マジで!?早く転生させてくれ!」

「わかったよ、目を閉じて」

俺は言われた通りに目を閉じる、スズキさんが俺の頭に手を置く、するとだんだん意識が薄れてきた

「願わくば、君の前世からの夢が叶えられる人生でありますように・・・行ってらっしゃい

 もう落ちるなよ、気をつけてな。坊主」

なんだ?ぼんやりとしか聞こえないが何か懐かしい声が聞こえたような・・気がする…

そこで俺の意識は途切れた


なんだ・・?何も見えない・・声は聞こえるか?なんて言ってるんだ?

「奥様が、お生まれになられましたよ!元気な男の子です!」

おばさんの声…そうか!俺は生まれたのかだったらこの人は産婆さんか?

「ほらほらご主人様も!抱っこしてみてくださいよ!」

「う・・うむ・・・」

低い声・・この人が俺の父さんかな?生まれたばかりで目は見えないが・・

「ああ、元気な子だこの子ならきっと儂の夢をかなえてくれるくれるだろう」

「ええ、この子はきっと魔族を統べる立派な王になりますよ!」

・・・ん?今なんて言った?おう・・王だな!うん!俺は王族に生まれたのか!

そーかそーか!なんか魔・・・って聞こえた気がしたが気のせいか!

「この子ならきっと、立派な魔王になるさ」

・・・いった・・魔王ってはっきり言った!なんで俺が魔族に!?ヒーローになりたいって

いったじゃん!

「この頃魔族は荒れていますからね」

荒れている

「昔から人間との戦争も絶えんしなあ」

争っている・・・

「民たちの貧困問題もありますしね新・魔王様には解決してほしいです」

困っている奴や悲しんでいるやつがいる・・・確かに希望どうりだけど・・だけど・・

違うだろ・・違うだろ・・・!

「まあ待て、まだ魔王と決まったわけではない選挙で勝たねば」

なに!?この世界選挙あるの!?わけわかんねえよ・・

こんな風にして俺のヒーロー・・・いや、魔王としての人生が幕を開けたのであった・・・
































































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