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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第九十六話 ふーちゃん召喚

「使う人は殴り合いでもして決めて下さい」

「実際そうなりそうだから困る・・」


 5人中1人は床に座って飯を食い、寝袋に入って床で寝る。

 残り4人は椅子に座ってテーブルで楽しく飯を食い、ベッドで快適に眠る。

 パーティ解散の危機だな。


「えっと、豊さん。確かこの魔導具はいくつか出たとおっしゃってましたよね? よろしければあと1人分お譲り頂けないでしょうか?」

「いやぁ無知な俺には何のことだかさっぱり」

「いえいえ無知だなんて誰がそんなことを⁉ こんなに聡明でイケメンな豊さんだというのに!」


 気持ち悪いぐらいに下手に出始めた龍二さん。

 パーティーの未来がかかってるわけだし仕方ないかもしれないが・・


「てのひらくるくるなの」

「・・カッコ悪いわね」

「お嬢ちゃん達、今俺たちは大事な話をしてるから静かにしててな」


 ちみっ子二人に責められるが、ものともしないおっさん。

 最前線で活躍するベテランとはこうも図太いものなのだろうか?


「仕方ないですね。じゃあこれを・・」


 ため息を一つつき、俺はアイテムボックスから二つのキューブを手に取り龍二さんの手に渡した。


「ったく、さっさと渡せってんだロリコン野郎」

「ちなみに今渡したキューブはただのサイコロキャラメルですよ」


 俺がそう言うと、ゆっくりと自分の手を開いて確認した龍二さん。

 手の中には白と赤の箱のサイコロキャラメルが一つずつ。


「みーちゃん、ちーちゃん。そろそろ行こうか」

「申し訳ございませんでしたぁー!」


 二人の手を取って帰ろうとした俺の前に龍二さんがスライディング土下座をしてきた。

 地面は石なのに気合い入ってるなあ・・


「ゆーちゃんはろりこんじゃないの。みーちゃんのことがすきなだけなの」

「・・そうよ、ゆーちゃんはロリコンじゃ――いやロリコンの方がいいのかしら?」

「君たちは何を言ってるのかな?」


 ちみっ子達は俺を犯罪者にしたいのだろうか?

 当の二人は土下座中の龍二さんの手からサイコロキャラメルを回収して食べ始めた。

 君たちもブレないね・・


「まあいいや。ちゃんとあげますから、代わりに一つ頼まれて欲しいことがあります」


 俺はそう言って今度こそアイテムボックスからキューブの入った箱を出し、イスとベッドの二つを取り出した。


「頼みごとって何だ?」

「連絡を取ってもらいたい人がいます。龍二さんの事だからきっと連絡先は聞いてると思うんで」


 土下座から立ち上がった龍二さんにキューブを渡し、連絡を取ってほしい相手のことを伝えた。


「わかった、ここを出たら連絡しといてやる。向こうにお前の番号を教えとけばいいか?」

「そうですね。俺たちはせっかくなので今日はこのまま潜りますから、夜にでも連絡もらえるようにしてくれれば」

「あいよ。と、まずはこいつらを片付けなきゃな」


 龍二さんは出しっぱなしになってるキャンプセットをキューブに戻していく。

 キューブが入ってる箱はキューブ10個分でぴったりなので、追加であげた2つはそのままポケットに突っ込んだ。

 必要なら自分でちょうどいい箱を買ってくるだろう。


「じゃあお裾分けありがとな。気を付けて行ってこいよ」

「はい。連絡の件はお願いしますね」

「まかせとけ」


 そう言って龍二さんは階段を上って地上へと向かった。

 そして俺達も次の目的のためにポータルへと向かう。


「はやくふーちゃんをよんであげるの」

「・・あの子のことだから、きっと寂しがってるわ」


 本当は先に召喚してあげたかったが、ちょうど龍二さんがいたからなぁ・・

 だがこの後の騒ぎを考えたら、後にして正解だったかな?

 そこから龍二さんの相手をするのはしんどいし・・


「とりあえず12階辺りで召喚しようか。その後は昼過ぎまで狩りだな」

「たくさんたおしてやるの!」

「・・腕がなるわね」


 相変わらず好戦的なちみっ子達を連れて、俺は12階へと向かった。



「召喚魔法!」


 12階に降り立った俺達は人気のない場所に移動して、早速ふーちゃんの召喚を始めた。

 召喚の選択肢がいつの間にか3人になってるのを見て、ちょっと感慨に耽った。


「ふーちゃん!」


 3人の中からふーちゃんの名前を呼ぶと、魔法陣の中からふーちゃんが姿を表した。

 だが、何故泣いてるのだろう?


「うわぁぁん!」


 俺の姿を見たふーちゃんは、さらに号泣しながら俺に飛びついてきた。

 宙を浮かんで来たので抱っこのような形になる。

 風の精霊だからか飛行速度は早いようだ。


「どうしたんだふーちゃん?」

「おウチで僕一人で寂しかったよぉぉ!」


 出かける時あれだけ我慢できると言ってたが、無理だったようだ。

 異世界で出会った時のように泣きじゃくっている。


「ふーちゃん、おうちをしゅっぱつしてからまだいちじかんくらいなの」

「・・みーちゃんとは別の意味でお子様ね」


 いよいよ保育園じみてきた・・

 まあ楽しいからいいけどね。

 この後、俺はふーちゃんを宥めてからみんなで昼過ぎまで狩りをした。

 やはりふーちゃんは風の精霊なだけあって、空を飛ぶのはお手の物らしい。

 飛びながら魔物を風の刃でバッタバッタと倒していた。

 しかし戦闘が終わるたびに抱っこを要求するのはどうだろうか?

 その度にみーちゃんとちーちゃんがふーちゃんを俺から引き剥がしていた・・

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