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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第八十九話 シルバームーン

 さて虚空のメンバーからいろいろ話を聞いてみたのだが、如何せん常識的なことを聞くと変に思われるだろう。

 なので後々ちみっこ二人にも話を聞いて情報を補完した。

 この森はシルバームーン王国の領土内にあるそうで、森から王都フルムーンまでは二日の距離だそうだ。

 国同士の争いはあまりないそうで、冒険者の活動はもっぱら魔物討伐や遺跡探索などが多いらしい。

 文明レベルはお約束の中世レベルらしいが、こちらの世界では冒険者に限らず一般の人間でも魔法やスキルを使えたりするらしい。

 まさに憧れの異世界といった感じだが、実際に暮らすとなると現代社会に慣れてしまってる俺には辛いものがあるだろう。

 暮らしを快適にする電化製品、ウォシュレット完備のトイレ、遠距離移動のための交通手段。

 ビバ地球。

 異世界というのはたまに遊びに来るぐらいが丁度いいのだろう。


「ユタカはこれからどうするんだ?」


 トーマスの問いかけにどう答えようか迷ってしまう。そもそも目的なんて特にないのだから。


「あてもなく旅をしているからな。またフラフラするさ」

「精霊を二人も連れてあてもない旅だなんて、本当変わってるよな」


 確かに変わってるだろう――嘘八億なわけだし。

 この村を見学したら今日は家に帰ります何て言えないしな。


「そっちはどうなんだ?」

「俺たちは王都に向かう途中だ。ついでにこの村までの荷馬車の護衛依頼を受けたんだ」


 護衛依頼ですって。異世界ならではの依頼だね。

 地球じゃそういうのはSPか警備会社の仕事だよ。ドリーム感がないよね。

 機会があればこちらでそんな仕事も受けてみたいものだ。



「待たせたな解体と査定が終わったぞ」


 しばらくの間みんなでまったりとお茶をしていると、カイエンが戻ってきて俺を呼び出した。

 俺たち三人は席を離れカウンターに向かう。


「まずこれが返却分の肉だ」


 そう言ってカイエンがデカい肉の塊を二つカウンターに置いた。

 ワイルドディアーとシルバーボアの肉が半身分だ。自分で頼んでおいてなんだが、三人で食いきれる量ではないと思う。

 が、隣のちみっこ二人を見るとキラキラした目で肉を見ている。

 君達本当に食べるのが好きね。


「それとこれが買取の査定分だ。合計で金貨1枚と銀貨12枚な」


 カウンター上に金貨と銀貨並べてみせるカイエン。

 金貨は約十万円、銀貨は千円の価値らしいので、合計11万2000円くらいになる。

 これでお土産を買って帰れるな。

 俺は肉をアイテムボックスに、お金をポケットに突っ込む。


「今日は村に泊まるのか?」

「いや、この後村を少し見たら出発するつもりだ」

「そうか。またいつでも来てくれ」

「ああ。このあたりを旅するつもりだからたまに顔出すと思う」


 ダンジョンの出入り口がこの辺りである以上、異世界に来る場合はここが拠点になるだろうしな。

 カイエンに別れを告げ、片付けをするためにベンチに戻る。


「お茶ごちそうさまな。査定も終わったみたいだな」

「問題なく終わったよ。俺たちはとりあえずこれから村を見て回るつもりだ。そっちは?」

「俺らは一旦宿に戻るよ」

「わかった」


 お茶のカップを回収し、残ったお菓子は名残惜しそうにしていた女性陣にプレゼントした。


「ユタカさん、みーちゃんとちーちゃんをください!」

「ダメです」


 シェリルが二人をガバッと抱きしめながらそんなこと言ってきたが、無論答えはノーだ。

 トーマスに頭をひっぱたかれながら、渋々二人を離すシェリル。本気で悔しがってるよ・・


「じゃあ俺たちはこれで」

「ばいばいなの!」

「・・またね」


 俺たちはみんなに別れを告げギルドを出た。

 後ろからシェリルの悲痛な叫び声が聞こえたが、気のせいにしておこう。そうしなければちみっこ達がさらわれてしまう。

 俺は二人と手をつないでそのまま歩き出した。


「帰る前にこっちの食べ物も仕入れたいな」

「・・地球にはない野菜もいろいろあるわ。ただし品種改良は進んでないから、味はそんなに期待しちゃダメよ」


 ちーちゃんによれば地球の、特に日本の農業はだいぶ進んでいるらしい。

 他の世界に比べてもトップクラスに美味しい野菜を育てているそうだ。

 しかしそうなると、こちらの野菜に期待が出来なくなってしまって残念だ。

 それでも一応買っては帰るが。

 俺たちは人の集まってる市場のようなところに向かった。


「いいにおいがするの!」


 みーちゃんの言うとおり、色々な料理の匂いがしてきた。

 屋台のフードコートのような場所があるみたいだ。


「せっかくだし何か食べてみようか」

「さんせーなの!」

「・・私もお腹が空いたわ」


 時刻もちょうど昼近くのはずだし、異世界料理を堪能してみよう。

 まず目についたのは串焼きの肉を売っている店。

 タレ焼きにしているようで、屋台の中でも一番いい匂い放っている。


「おっちゃん、これは何の肉なんだ」

「らっしゃい! こいつはワイルドディアーだよ」


 屋台のおっちゃんに聞いたら、俺たちが狩った魔物の名前が出てきた。

 手持ちにもその肉はあるが、せっかくなのでどんな味なのか先に確認してみようか。


「じゃあ三本くれ」

「まいど! もう焼きあがるからちょっと待ってな」


 おそらく凄く美味しいってことは無いだろうが、異世界初の食べ物に俺は心を踊らせた。

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