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第八話 決意

おはようございます。

今日の夕飯は友人と焼き肉食べ放題に行きます。

ミノ肉も食べてみたいなぁ・・

 あれから判ったことがある。

 このダンジョンははぐれマッチョしか魔物が出ない。

 また魔物が確率でドロップするアイテムもレアな『力の種』のみだった。

 これはステータス上の力を1ポイント上げるものだ。

 あの後はぐれマッチョを4体倒し、その内3体が力の種をドロップした。

 入り口の石碑に書いてあった通り、ここでレベルを上げればソロでの攻略も可能になるだろう。

 

 このチートダンジョンでのレベル上げを是とするのか・・

 答えはイエスだ。

 ここはダンジョンだ。『ファースト』で戦う冒険者が、それ以外のダンジョンに行って活動することなど普通だ。

 ただし、ここに頼り切るつもりもない。冒険とは危険を冒すものだ。

 ゲームでもチートを使って最初からレベル99にしてしまってはつまらない。

 『ファースト』にアタックして、レベル的に厳しくなったらここにきて狩りをする。

 ここの素材の売却に関してはもっと慎重に行く。

 大量に売り払えば、当然不審に思われる。別に大金持ちになりたいわけではないので、必要な分だけ売っていこう。

 今回のはぐれマッチョ狩りで、レベルは18になった。

 おそらくシロタイツと渡り合えると思う。

 ここで改めて装備の確認をする。

 左腰にメインウエポンの刀とサブウエポンのダガーを差している。

 防具は左腕の小型のラウンドシールド(ジュラルミン製)とケブラー材で作られた黒のチョッキだ。

 下半身は特に防具を付けていないが、これは動きを阻害されたくないためだ。

 またレベル補正での防御力もあるので生身でも多少はダメージが軽減される。

 

 スキルと魔法もいくつか持っている。これらは最初から持っているものもあれば、レベルアップの時に習得するものもある。

 最も俺は未だにレベルアップでどちらも覚えず、初期状態のままだ。

 スキルは『魔法剣』と『スラッシュショット』の2つ。

 魔法剣は自分が使える魔法の属性を剣に与える。スラッシュショットは要は飛ぶ斬撃だ。

 また魔法は火と水が使える。レベルによって威力が変わり、魔法の形状はある程度思い通りになる。

 例えば火なら火球や火柱、ガスコンロのような火の出し方もできる。野営にも便利。

 水も同様で、水球で魔物の顔を覆い窒息させたり、脛あたりにぶつけて転ばせたりもできる。あと飲めるので便利。

 スキルも魔法も魔力が必要なので、魔力の満ちたダンジョン内でしか使うことは出来ない。

 外でも使えたら便利だが、絶対によからぬことに使う奴がいるだろう。犯罪ダメ絶対。


 覚えるスキルは人によって違う。なので、パーティーを組む際には自分にないスキルを持つ人と組むことが多い。

 ソロでやっている俺には、せめて回復魔法が欲しいところだ。

 とりあえず今回のレベルアップでスキルも魔法も覚えなかったので、この手札でシロタイツに挑む。


 RPGゲームの序盤のボス戦と同じく、基本は物理攻撃の応酬だ。

 奴との戦いはすぐに近接戦闘になる。遠距離攻撃はほぼ初撃のみ。

 如何に奴の攻撃を躱し、いなしながら、こちらの攻撃を当てられるかにかかる。

 奴の攻撃を数発喰らっても死ぬようなレベルと防御力ではないが、ダメージによってこちらの動きが鈍ればさらに攻撃を受ける悪循環に陥ってしまう。痛いのは我慢する。

 オーバーリアクションは芸人さんだけの特権だ。


 確認を終えたところで、引き上げることにする。

 だいぶ奥に来てしまったが、道は覚えているので問題ない。

 途中ではぐれマッチョに出会っても無視だ。さっさと帰って寝なければならない。

 明日はシロタイツとの決着を付ける。


 家に戻り装備品を車に積み込んだ後、レンに電話する。

 深夜一時なので出るかどうかはわからなかったが・・


『はい、レンです。どうしました?』

「悪いな、こんな時間に」

『大丈夫ですよ。飲んで――テレビを見てましたから』


 こいつまた飲んでたのか・・明日は大丈夫なんだろうか?

 まあ、起きてたのなら別にいいが。


「明日、シロタイツを倒しに行く」


 端的に用件を伝える。

 別にレンに知らせる必要はなかったかもしれないが、これは決意表明だ。


『戦いにじゃなく倒しになんですね。わかりました。僕も見届けに行きます』

「いや、お前たちは明日から潜るんだろ?」

『そんなの後回しでいいです。仲間たちだっておそらく同意見です』


 確実に優先順位が間違ってるぞ。

 19階の攻略のほうが大事だ。

 レンのパーティーメンバー達よ、巻き込んでスマン。


『ちなみに何時から行きますか』

「朝の日課を終わらせてからだから、9時頃から潜ると思う」

『わかりました。じゃあ、先に行ってボス部屋の前で待ってますね』


 何でレンの方が乗り気なんだろう。

 とりあえず電話を切り、中断していた風呂に行こう。

 いや時間も遅いし、朝の日課の後でいいや。

 今日は疲れたしさっさと寝よう。



 翌朝6時、快晴。

 いい天気になった。目覚めもばっちりだ。

 まずは顔を洗ってから、朝の日課のランニングに出発する。

 家を出発して、不忍池(しのばずのいけ)や上野公園を周り、1時間ほど走って戻ってくる。

 その後は家の屋上で空手の型やサンドバッグへの打ち込み、固定した柔道着の帯で投げの練習など行う。

 時間は8時。シャワーを浴びて朝食にトーストを1斤と手製のスムージーを飲む。

 8時40分出発。何事もなければ上野公園まではすぐだ。

 徐々に上がっていくモチベーション。

 MAXにするにはまだ早い。


 それは奴の部屋の前に立った時だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] もしかしたら、お世話になった人のラストトライかもしれないんだから、そりゃあ、行くよね 見届けるために、もしもがあったら、助けに行くために
[気になる点] 主人公のスタンスがあやふや FPSゲームで安いウォールハックは使うけど超高級AIMアシストは使いませんみたいな中途半端さを感じる チート使ってんだからちょっとだろうとガッツリだろうと同…
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