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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第八十四話 地下三階

「じゃあそろそろ中に入ろうか」


 お供えも済み説明の石碑もないので、とにかく中に入ってみるしかない。

 ゆっくりとフロアの扉を開けていくと、目に入ってきたのは一面の緑だった。


「森・・か?」

「きがいっぱいなの」


 目の前には一本の道と両脇並ぶ沢山の木々。

 鬱蒼としてるわけではなく陽の光が入ってきていて、色々な花も咲いてるのでとても綺麗な場所だ。

 鳥の鳴き声さえ聞こえる。


「・・気持ちのいい場所ね」

「そうだな。一階の草原とはまた違った良さがあるな」


 濃い緑の匂い。マイナスイオンがたっぷりといった感じだ。

 自宅で気軽に森林浴ができるようになるとは。

 とはいえ魔物は出るのだろうし注意して進まなければならない。

 振り向くと俺達が通った扉は遺跡のような場所にあった。


「とりあえずダイフクを出すか」


 森の広さがどの程度かわからないが、ある程度動き回る想定でどちらかを乗せるためのダイフクを出す。

 ちなみにまだ改造は済んでないので一人乗り用だ。


「どっちが乗る?」

「ちーちゃんどうぞなの」

「・・いいえ、みーちゃんが乗るといいわ」


 どちらがダイフクに乗るかというより、どちらが肩車がいいかの譲り合いになっている。

 ・・さっさと改造を済ませるべきだったな。


「ジャンケンでもしときなさい」

「じゃあさいしょはぐーでいくの」

「・・わかったわ」


 二人はお決まりの掛け声でじゃんけんを始める。

 この掛け声を考えたあの人はほんと偉大だと思う。

 ちなみに勝ったのはみーちゃんだった。


「みーちゃんがかたぐるまげっとなの」

「・・仕方ないわね。ジャンケンの神様には逆らえないわ」


 そんな神様いるんですか?

 掛け声を考えた、先日天に召されたあの方じゃないですよね?


「れっつごーなの!」


 俺の肩に座ったみーちゃんが前方を指差して出発を指示した。

 それに従って俺はダイフクを引きながら森の道を進んでいく。

 道幅は思ったよりも広く、三車線分くらいはある。

 しかしその土の道を見ているとあることに気付いた。


「なんだか轍みたいもなものがあるな」


 地面にうっすらと自転車の車輪跡のようなものが何本か見受けられる。

 魔物が通った跡なのだろうか?


「・・ここはもしかしたら・・」

「ん? ちーちゃん何かわかるのかい?」


 ちーちゃんのつぶやきが聞こえた俺は思わずそう聞いた。


「・・確証もないし、ネタバレしたら面白くなさそうだから今は黙っておくわ」

「さいですか」


 確証はないと言うちーちゃんだが、明らかに何か分かってるような顔をしている。


「みーちゃんもわかったの!」

「・・みーちゃん、言ったらダメよ」


 そしてなんとみーちゃんまで何か分かったらしい。

 疎外感半端ねぇ・・


「・・普通のダンジョンだと思って進んでいけば大丈夫よ。多分魔物もいるはずだし」

「分かった。じゃあいつも通り行こう」


 ちーちゃんの指示に従って、周囲を警戒しながら道を進んでいく。

 そして数分も進むと最初の生物と出会った。


「何かいるな」

「おとがしたの」


 右手側の森の中からガサガサと音がした。

 俺たち三人は素早く臨戦態勢に移る。


「ワイルドディアーだな」


 奥から出てきたのは、大きなツノを持った牛ほどの大きさの鹿だった。

 『ファースト』には出ないが、他のダンジョンに出現する魔物だ。


「おおきいしかさんは、かわいくないの!」

「・・だったら攻撃しなさい」


 みーちゃんの意見には賛同出来るが、今はちーちゃんの言う通り攻撃をするべきだ。

 まだ距離があるので二人は魔法で、俺はスラッシュショットで攻撃していく。

 ワイルドディアーは頭を下げて大きく広がったツノで防御するが、魔法はある程度防げても貫通ダメージの俺の攻撃はしっかりと通ってしまう。

 ご自慢のツノがスパッと切れてしまい、頭部にまでダメージが及ぶ。


「グルォォ!」


 頭から流血したワイルドディアーが怒ってこっちに突進してくる。


「・・ストーンランス」


 ちーちゃんが石の槍をワイルドディアーの前足に直撃させた。

 右前足が折れてバランスを崩し、前方にスライディングしながら倒れる鹿さん。

 その隙に俺は一気に詰め寄って、ワイルドディアーの頭部にめがけて拳を振り下ろした。


「グギャ!」


 やはり生物には頭部への攻撃が一番有効だ。

 心臓でもいいのだろうが、どこにあるかよく分からないし。

 ともかく今の一撃でワイルドディアーは完全に沈黙した。


「問題無しだな。別にすごい強い相手ではないが、あんなツノで体当たりされたらすげー痛いだろう」

「おせんべいあげれるしかさんがいいの」

「あいつらも意外と凶暴だぞ?」


 結構頭突きしてくるみたいだからな。

 と、ここで異変に気付いた。


「あれ? 何で消えないんだ?」


 倒したはずのワイルドディアーが消えずに、そのまま横たわっている。

 もしかしてまだ生きているのだろうか?


「・・多分消えないわ」

「なんだって?」


 倒した魔物が消えないなんて聞いたことがない。

 そんなのあのマッチョ達ぐらい理不尽じゃないか。


「・・とりあえず魔物はアイテムボックスに回収しといた方がいいわ。切り落としたツノも一緒にね」

「・・何なんだこのフロアは」


 さすがウチにできたダンジョンなだけあるのか、おかしな事が起こる。

 だがこの後、さらにぶっ飛んだことが起きるのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] お?まさか異世界に繋がったのか?!
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