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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第七十二話 アイテム袋

 他愛もない話をしながら飲み会は進んで行く。

 みーちゃんとちーちゃんは自分の注文したものや、お姉さん達からの餌付けを食べ続けた。

 さすがにお腹もいっぱいになってきたのか、今二人でメニューを開いてどのデザートを頼むか考えている。

 俺も含めた男性陣はいつも通り酒を飲みつつ、ガンガン料理を食べ続けている。

 酒を飲みつつしている話は、主に俺についての事が多い。

 ソロでボスを倒した時の話や、みーちゃんやちーちゃんと出会った時の話。カイザーナックルを買った時の話など。

 話せない部分もあるが、可能な限りはみんなに話してやる。


「私も召喚魔法が欲しいです。みーちゃんやちーちゃんを喚びたいです!」


 北川がそんなことを叫ぶ。

 だいぶ酔ってるのか目が血走っているのが怖い。


「みーちゃん、ちーちゃん、こっちのパーティーに来ませんか? 毎日美味しいおやつあげますよ」

「俺の前でよくもそんな引き抜きをできるな?」


 西園寺もまた酔っ払ってるようで、保護者(おとうさん)を前にして寝言を抜かしている。


「ゆーちゃんのごはんもおやつもおいしいから、そっちにはいかないの」

「・・ゆーちゃん以外の人について行かないわ」


 ちみっこ二人も嬉しいこと言ってくれる。

 明日のご飯も美味しいものを用意してあげよう。


「召喚魔法もそうですけど、それ以上にアイテムボックスは本当に羨ましいですね」

「ああ、全くだ。俺なんていつもデカいからってたくさん荷物を持たされるし・・」


 男性陣はやはりアイテムボックスの方に目が行くらしい。

 ってか、安藤への仕打ちが酷くないか?


「そうだ、そういえば本題を忘れてた」

「本題ですか?」

「今日ここに来た理由だよ。別にただ飲みに来ただけなわけじゃない」


 みんないい感じに酔いが回ってる。これ以上グダグダになる前にさっさと渡そう。


「お前達にこれを渡しに来たんだ」


 そう言って俺はポケットからアイテム袋を取り出し、レンにそれを渡した。

 受け取ったレンはその革の袋をまじまじと見つめる。


「何ですかこの袋?」

「お前がご所望だったアイテム袋だよ」

『えっ⁉』


 『れんちょんズ』の声がハモった。

 全員の視線がレンの持つ袋にそそがれる。

 その反応も当然だろう。アイテム袋なんて存在するかどうか怪しいものだったんだから。

 俺のアイテムボックスはスキルだし、実際にこうして形のあるアイテム袋は見たことない人がほとんどだろう。

 一応海外では数例の報告あるらしいが・・


「こんな巾着袋みたいなものがアイテム袋なんですか?」

「確かにサイズ的にはそんなもんだが、入る量は桁違いだぞ」


 見た目に比例しなさすぎて若干不安はあるだろうか、これがサンタクロースが担いでるようなでかい袋だったらそれはそれで邪魔くさい。


「一応あらかじめ試しておいたが、中に入る量は大体俺のハイエース一台分ぐらいかな。運転席までギッチギチに詰め込んだ場合だが。それと時間経過はする」

「すごい! 今まであきらめていた化粧品なんかもこれで持っていける!」

「着替えなんかもたくさん持って行けますね」


 女性陣はどうも俺たちと考えることが違うようだ。

 俺たちなら真っ先に食料持っていくことと戦利品を持って帰ることを考えるのだが・・


「ちなみにゆーさん、これどうしたんですか?」

「十階のボスをソロで倒したら出てきたぞ。五階の時と同じ感じだ」

「ソロの特別報酬ですか。ハードルは高そうですね」


 レンもソロの難しさを十分理解しているようだ。

 自分で言うのもなんだか、今の桜木亭に未攻略のボスをソロで倒せるやつなんかいないだろう。


「そうだな。だから当分他のアイテム袋なんかお目にかかれないと思うぞ」

「それなのに僕にくれるんですか?」

「約束したからな」


 おそらくレンとしては特に期待もしてなかった、冗談まじりの約束のつもりだったのだろう。

 しかし実際手に入ってしまったのだから、俺は約束を守る。


「だったらあの時言ったように、僕の持っている全財産を出しましょう」

『は⁉』


 そういえばそんな事も言ってたっけ。

 実際このアイテム袋の価値は計り知れない。冒険者でなくても欲しい人はたくさんいるだろう。

 ダンジョンに入るには冒険者にならなくてはいけないが、きっとアイテム袋を使うために冒険者になるというおかしな事が発生するはずだ。

 それはダンジョン攻略のためではなく現実世界での荷物の運搬に使われる、特に悪事に使われる可能性が高いだろう。

 いち冒険者としてそんなことは許さない。

 オークションに出して誰かわからない人間にこの袋が渡るのはよろしくない。

 信頼出来るレンに渡すのが一番いいのだ。


「お前から金をもらったら、俺はフラワージュエルを譲ってくれたあの冒険者に顔向けができないよ。今日の飲み代だけ出してくれればいいさ」

「わかりました。せめてじゃんじゃん飲んでください」


 もとよりそのつもりで今日は来ている。

 デザートまでしっかり食べ尽くして帰ろう。


「てか、俺らの知らない間にとんでもない話し合いばっかりしないでください」

「まったくだな。袋を譲る約束だの、全財産払うだの、話がぶっ飛びすぎてる」


 神と安藤がそう苦言を呈してきた。

 確かに安藤が言うように、初耳の人間にはぶっ飛んだ話だったろう。


「悪いな。電話口での軽い冗談みたいな約束だったんだ。本当にアイテム袋が手に入るなんて思わなかったからな」

「ですね。最近のゆーさんならワンチャンあるかなと思いましたけど、さすがに期待は出来なかったですね」

「期待を裏切って申し訳ないな。まあこれで二十階の攻略も捗るだろうし、さっさとボスを倒してPVの撮影でもしたらどうだ?」

「ゆーさんすいません。やっぱりこれお返しします」


 そう言って俺にアイテム袋を返そうとしたレンだが、当然他のメンバーにボコボコにされていた。

 仲のいいパーティーで何よりだ。

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