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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第七十一話 レンのパーティ

『かんぱぁーい!』


 俺たちの飲み物が届き八人で乾杯をする。

 蓮たちは既に乾杯をした後だが、俺達に付き合って再度乾杯をしてくれた。

 女性陣に関しては、野郎なんかどうでもいいというかの如く、みーちゃんとちーちゃんのグラスに合わせに行った。

 その二人はくぴくぴとジュースを飲んだ後に、女性陣が差し出してくる料理をぱくぱく摘んでいく。

 居酒屋のメニューだと、普段家では作らないようなものが多いので二人の興味を引くようだ。


「そういえばゆーさん達は昨日PVの撮影に行ったんでしたっけ? ついでにボスも倒したんですよね?」

「ボスをついでと言うな」


 そりゃ俺以外の人間からすればPVの方が主眼となるだろうが、こっちは頑張ってボスを倒したんだ。

 ついでなのはあくまで撮影の方だ。

 無論『ファースト』のための大事な撮影なことは分かっている。

 ただ中身はプロレスと魔法少女の動画であるが・・


「みーちゃんとちーちゃんがとても可愛かったぞ」

「二人も出たんですか?」

「ああ。魔法少女の格好をして魔物を倒すところを撮影した――」

『見たいです!』


 俺のその言葉に女性陣二人が超速度で反応した。

 首の向きが一瞬でこちらに変わったぞ・・


「そこは完成してのお楽しみだ。リユニオンやアレン達が頑張って編集してるだろうよ」

「ゆーさんは手伝わないんですか?」

「素人の俺に何ができるよ。アレンなら力になれるんだろうが、俺は完成品を見るだけだ」


 編集もできないし魔法少女だって詳しくない。

 俺にわかることを質問されたら答えはするが、基本的に手伝いは必要ないだろう。


「いいなあ。レン、私たちもPV作ろうよ。みーちゃんやちーちゃんにも出てもらってさ」


 女性陣の一人北川 雪乃(きたがわ  ゆきの)がそんなこと言い出した。

 ちょっと残念なお胸で、陸上部女子といった感じのショートカットの女性だ。


「僕らがそんなもの撮ってどうするんだよ? ネットにアップするのかい?」

「いや、悪くはないかもな。ネットにアップするかどうかともかく『れんちょんズ』の記念として残すのはいいと思う」


 インテリ眼鏡をかけた男性メンバーの神 圭佑(じん  けいすけ)がそう発言すると、レンの顔がとたんに苦々しくなった。

 彼はそんなメガネをかけているが、別に嫌味な人間ではない。そして逆に頭がいいわけでもない。

 『れんちょんズ』――それはレンたちのパーティーの名前だ。

 女性陣が半ば強行的に決めてしまった名前らしいが、レン以外の男性陣はすでに割り切れているらしい。

 逆にレンだけは未だに納得がいかなく、できるだけパーティー名を口にしないようにしている。


「やっぱりなしだね。ただの冒険者の僕らには必要ない。これはリーダー命令です」

「大人気ないな。リーダーの株だだ下がりじゃねえの?」

「構いません。そんなことしてる暇があるならさっさと二十階を攻略するべきです」


 よほど『れんちょんズ』を残したくないらしい。

 とはいえレンたちは最前線組だ。ぶっちゃけ桜木亭の冒険者たちで『れんちょんズ』を知らない者などほぼいない。

 さっさと諦めて認めちまえばいいのにな。


「それってつまり、二十階を攻略した後でしたら作ってもいいのですね?」

「なるほど。だったらさっさと二十階を攻略しよう」「え? いや、そういう意味じゃなく・・」


 巨乳のお嬢様系冒険者の西園寺 瑠璃(さいおんじ るり)に揚げ足を取られるレン。

 巨漢のメンバー安藤 劾(あんどう  がい)もそれにのった。

 身長190cmの筋肉質な彼だと、座敷はちょっと窮屈そうだ。

 この四人がレンのパーティーとなる。

 安藤が盾役、レンと神が前衛、北川が弓とバッファーで、西園寺が魔法アタッカー。

 やはり貴重なヒーラーはおらずポーション頼みになるが、それ以外はバランスのいいパーティーとなっている。

 最前線のレン達でもそんな状況だ。いかにみーちゃんの回復魔法が貴重か分かるってもんだ。


「別にいいじゃないか。思い出作りも大事だぞ」

『ですよね!』


 俺がメンバーのフォローしてやると、女性陣が分かってると言わんばかりにそう言ってきた。

 男性陣もレンに対して、諦めろと言わんばかりの視線を向けている。


「ゆーさん、どっちの味方ですか!」

「そりゃ駄々こねてるお前より、思い出を残そうとしているメンバーの方を支持するさ。冒険者を楽しんでる彼らの方が俺は好きだ」

「さすが本城さんだ! ささ、よかったらこのカキフライ召し上がってください。レンにはエビフライぶつけときますんで」


 そう言って安藤が俺の前にカキフライを差し出す。

 揚げたてだし、せっかくなんで頂いておこう。

 ちなみに横からちーちゃんがカキフライを一つ摘んでいった。君は今日は揚げ物の日なんだね。


「・・仕方ない」


 さすがに四面楚歌なこの状況でレンは折れることにしたようだ。

 これ以上ゴネると、みーちゃんとちーちゃんも怒り出すかもしれない。

 別に『れんちょんズ』、可愛くていいじゃないか。

 もし俺がパーティーを組むとして『ゆーちゃんズ』になっても全然OKだけどな。


「二十階を攻略した後に改めて話し合おう」

「諦めないんかい!」


 この男は思った以上に強情だった。

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