表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/200

第六十話 リユニオン

 ひどい悪夢を見せられたが、とりあえずはゆっくり休んだ翌日。

 いよいよボス戦の日だ。

 三人で朝食をとった後、いつも通り準備して桜木亭に向かう。

 特に緊張もしてなければ気負いもない。

 唯一の不安要素といえば撮影の事だ。

 戦闘中に気にならなければいいけど・・

 桜木亭に入ると、龍二さんやアレンを中心として数人の冒険者が集まっていた。


「おう、豊」

「おはようございますユタカさん」

「おはようございます龍二さん、アレン」


 挨拶して近づくと、他の冒険者たちが色々と機材を持ってるのが見えた。


「他の人たちは撮影クルーですか?」

「そうだ。冒険者の中でこういうのが得意なやつらを募集した。ここの職員じゃ中に潜れないしな」


 それもそうだ。冒険者資格もなければ当然ワープポータルだって使えない。

 必然的にスタッフは冒険者になってしまう。


「初めまして本城さん。一応このグループのリーダーの甲斐(かい)です」

「初めまして本城です。今日はよろしくお願いします」


 甲斐さんと名乗った若い男性と握手する。

 と言うか甲斐さんを始め、撮影スタッフがみんな若い。

 髪を染めてたり、アクセサリーをつけてる人も結構いる。


「甲斐たちは動画投稿サイト『ゴムチューブ(Gum Tube)』のグループなんだよ」

「ええ、パーティー名と同じく『リユニオン』というグループ名でゴムチューバーをしてます」


 なるほど全員仲間だったか。

 それにゴムチューバーだったら撮影にも慣れてるからうってつけだろう。


「いつか本城さんとコラボして撮影したいと思っていたので、今回の話は渡りに船でした」

「今回のこれはコラボになるのか?」


 PV撮影なわけで、別に彼らが出るわけでもないだろう?

 コラボであるなら両方が出てないと。


「実は事後承諾になるんですが、もう撮影してるんですよ」

「えっ⁉」


 その言葉に辺りを見回すと、確かにハンディカメラ構えてる冒険者が一人いた。


「僕らのチャンネルで実際のPVと、その舞台裏を撮影したものを流す予定です」

「こいつらのチャンネルは登録者数もかなりいて、いい宣伝にもなる。撮影も任せられるから一石二鳥なんだ」


 だったら舞台裏の撮影の話も先にしといて欲しかった。

 恨みがましい目で龍二さんを睨む。

 それに気付いたのか龍二さんはこう言ってきた。


「わりぃ、言うの忘れてた」


 この人はこういう人だよ・・

 再びカメラの方を向くと今はみーちゃんとちーちゃんを撮影している。二人とも楽しそうだ。

 と、そこでアレンが近づいてきた。

 その瞬間俺は嫌な予感がした。

 なぜならアレンはその手に大きなトランクを持っていたからだ。


「ユタカさん。実は衣装に関してお話が・・」

「聞きたくねえ」


 そっぽを向いて拒否るが、アレンは素早く俺の視線の先に回り込んできた。


「まあそうおっしゃらずに。とりあえず話だけでも」

「・・何だよ?」


 どうにも拒否できないようなので仕方なしに話を聞くことにする。

 そしてなぜか龍二さんも近づいてきた。


「一応俺から話をした方がいいだろう。これはお前と二人の許可が必要になるが、みーちゃんとちーちゃんもPVに参加させたいんだがどうだろうか?」


 おっと、思っていた話から変わってきた。

 さすがにあれは夢だったようだ。


「何で二人も出すんですか?」

「ちゃんと精霊と説明した上で、マスコットキャラとして出てほしいんだ。二人は男だけじゃなく女性人気も狙えるからな」


 どうもこの前俺が思った事と同じ考えになったみたいだ。

 俺を写すよりも、よっぽどこの二人が出た方が人気が出るだろうよ。


「二人が出るなら俺が出る必要はないんじゃないですか?」

「さすがに二人が出てるだけじゃ、何のPVだかわからんだろう? メインはお前だよ」


 嬉しくないメインだ。

 まあとりあえずは二人に確認を取ってみよう。


「みーちゃん、ちーちゃん。ちょっといいか?」

「なーに、ゆーちゃん?」

「・・何かしら?」


 俺は二人に先ほどの話をしてみる。

 二人の許可がない限りはこの話はなしだ。


「でたいの! おもしろそうなの!」

「・・私も構わないわ」


 二人はあっさりとOKした。

 まあそんな気がしたんだが・・


「OKが出たところで私の出番です。こんな時のために作っておいた二人の衣装も持ってきました」


 そう言ってアレンがトランクを床に置いて開け始めた。

 なるほど。あれは二人用の衣装を持ってきたということか。

 みーちゃんとちーちゃんも興味があるのか、アレンの取り出すものを見ている。


「こっちがみーちゃん用、こっちはちーちゃん用です」


 アレンが両手に掲げた二着は、やはりフリフリスカートの魔法少女の衣装だった。

 みーちゃんのは青がベース、ちーちゃんのは黄色がベースのものとなっている。おまけにステッキもあるようだ。


「かわいいの! あれんすごいの!」

「・・確かに、着てみたいわね」


 どうやらちみっ子二人の琴線に触れたようだ。


「ん? 何でちーちゃん用の衣装があるんだ? おととい会ったばかりなのに」


 そもそも二人のサイズだって測ってないだろうに。


「みーちゃん用の型紙があったんですぐに作れましたよ。ちなみにみーちゃんの時は目視でサイズを測りました」


 お前はプロの仕立て屋か?

 目視でサイズ測るとか熟練じゃなきゃできないだろ。

 てか、みーちゃん用は前々から作ってたということか?


「もちろん大人であっても目視でサイズを測れますので、こちらにユタカさん用の――」

「みーちゃん、ちーちゃん! 今のうちに着替えておいで!」


 猛烈に嫌な予感がしたので、アレンの話を遮って二人を着替えに行かせることにした。

 俺には予知夢の才能でもあるのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ