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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第五十八話 もてもて

「安心しろ。ちゃんと編集でかっこいい戦いにしてもらうから」

「都合よく色々編集されそうだなぁ・・」

「レジェンドとも言われた山さんが引退したからな。これからお前がこの桜木亭の顔として売っていかなきゃならん」


 確かに山さんは、日本どころか海外の冒険者にも知られるほどの有名人だった。

 まさにここ桜木亭の顔だったと言って過言ではない。

 ただし代わりにこの俺を桜木亭の顔だなんていうのは、過言でしかないと思う。

 まあそれでもここが賑わってくれるなら協力も吝かではない。


「わかりました。協力しますよ」

「さすが豊だ! 話がわかるな」

「ユタカさん、頑張ってボスを倒してください」


 ただボスを倒すだけのはずだったのに、何故こんな話になるんだろう?

 撮影が気になって、ボス戦で集中を切らさなければいいけど・・


「明後日にボス戦に挑むって事は、すぐに十階に向かうのか?」


 そんなバカなことはない。こっちは今帰ってきたばかりなのだ。

 ただ龍二さんの言いたいことは理解できた。

 通常ならボス部屋到着まで一日かかるわけだから、あさって戦うならすぐに出発してもおかしくはない。


「俺なら四時間で着くので、明後日の朝に出発する予定です」

「・・お前何気に凄い事言ってるからな」

「クレイジーな速度ですね」


 確かに神速ありきでの移動なので、常人から見れば異常な速度だろう。

 とはいえ俺は逆に四時間かかる。撮影係は十階を攻略してる人間ならそれこそすぐに到着できる。


「なら当日の朝ここで合流しよう。一緒に出発してもこっちも撮影の準備もあるから、時間的にはちょうど良くなるだろう」

「わかりました」


 撮影に関してはすべて龍二さんの方で何とかしてもらおう。

 こっちは万全の状態で戦うだけだ。


「じゃあ今日はそろそろ帰っ・・あれ?」


 帰ろうと思い、みーちゃんとちーちゃんの方を向いたが二人の姿がなくなっていた。

 それを察したアレンが俺に告げてきた。


「二人なら女性職員たちに連れて行かれましたよ」


 早くも拉致されたか! しかも全く気付かなかった。

 彼女たちは暗殺者に向いてるんじゃないのか?

 結局二人が解放されるまで、俺たちは食堂でお茶にすることにした。



「二人ともモテモテだな」

「ゆーちゃんも、もうすぐゆうめいになってもてもてなの――っは! だめなの! ゆーちゃんはみーちゃんのなの!」


 俺が誰のものだって?

 帰りの車の中でさっきの話が再び話題になっていた。

 今日はちーちゃんが助手席で、みーちゃんは朝に取り付けた後部座席に座っている。

 当然のように席をめぐって二人が争ったが、結局じゃんけんで決着がついた。


「・・確かにゆーちゃんが有名になるのはいいけど、モテるのは困るわ」


 俺の春は遠い・・

 俺が誰かと付き合う場合は、この二人は壁となって立ち塞がるのだろう。

 『・・ゆーちゃんと付き合うなら私達を倒してからにしなさい』『こむすめにはわたさないの!』とか言って。


「とはいえ、せっかくのPVなのに俺の戦いを流すだけじゃつまらないと思うがな」

「ゆーちゃんがうつってるのなら、そくよやくなの」

「・・間違いなくミリオンヒットね」


 いや販売はしないだろ。

 あくまでもネットにアップしたり、桜木亭の電子掲示板で流したりするぐらいだ。たぶん。


「どうせなら二人も出してもらったら? その方がよっぽど見てくれる人は多いと思う」

「たしかにみーちゃんはかわいいから、にんきばくはつなの」

「・・心配しないで。私たちが人気者になってもゆーちゃんとずっと一緒にいてあげるから」


 自分で言っといて何だか、すごい自信だね二人とも・・

 だが少なくとも桜木亭では誰よりも二人の方が人気があるとは思う。

 なんせ冒険者とは全く反対のベクトルのちみっ子二人だ。

 観光客だったらそのぐらいの年齢の子も家族連れでいるだろうが、ダンジョンに入る者としては異色と言える。

 無論二人は精霊なのだから特におかしいことはないが、やはり見た目の問題なのだ。

 しかしそういう二人だからこそ桜木亭の人気マスコットとも言える。他のダンジョンにはない特色だろう。


「冒険者やっててこんな事になるとは思わなかったな」

「きっと、もっとたのしいことがいっぱいおきるの!」


 おやぁ? みーちゃんは何を不吉なことを言ってるのかな?

 楽しい事というより、おかしな事ではないのか?


「・・そうね。大精霊様の加護があるのだから、きっと色々な事が起きると思うわ」


 平穏無事な人生はつまらないだろうが、波乱万丈もどうだろう。

 イベントも食事もバランス良くが大切だと思うよ。

 もしかして大精霊様にご飯をあげると、イベントを奮発してくれるみたいな事があるのかな?

 しばらく断食させるか?


「・・ゆーちゃん。大精霊様はゆーちゃんのご飯を楽しみにしてるから、できれば出してあげてね」

「・・ちーちゃん、心読まないでください」


 そんな話をしていると、あっという間に家の近くまで着く。

 明日一日はのんびりするとしよう。

 メイジ・ウィーズルを倒した後のことを考えるのもいいかもしれない。

 家のダンジョンを進んでもいいし、他の県にあるダンジョンにも行きたい。

 車で旅をしながらダンジョン巡りなんかも面白いのかもしれない。

 そしてふと思う。

 結局考えることはダンジョンの事ばかりなんだなと。

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