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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第五十七話 ちーちゃんデビュー

 昼食の後夕方まで狩りを続け、俺たちはダンジョンを出た。

 念のため明日一日休んでからメイジ・ウィーズルと戦うことにした。

 しっかりと体を休めながら、戦いのイメージを練っていくつもりだ。

 それよりもここからが大事だ。今日のメインイベントであるちーちゃんの紹介をしなければならない。


「ぎるどはうすにいくと、おねーさんたちからおかしがもらえるの」


 みーちゃんがちーちゃんに桜木亭の話をしてあげている。

 それは俺から捕獲(拉致)して、お菓子をあげ(餌付けし)てる事かな?

 若干お姉さん達の目が危ないことになってるから気をつけてね。

 色々と不安なことはあるがとりあえず桜木亭に入る。


 ざわ・・ざわ・・


 俺達が中に入った瞬間、あの人の漫画のようなざわめきが起こった。

 端的に聞こえてきた言葉としては、


『一人増えてるぞ』

『ロリコン確定だな』

『また誘拐してきた』


 など。

 こいつら全員殴り飛ばしてもいいよね?


「ユタカさん。こんばんわ」

「豊、おつかれ」


 俺の目の前に珍しい組み合わせの二人が現れた。

 魔法少女コスのイケメンとむさいおっさん、アレンと龍二さんだ。

 二人が並ぶとひどい絵面だ。


「お疲れ様です二人とも」

「ユタカさん。プリティな子が増えましたね」


 アレンがうまい具合にちーちゃんについて聞いてきた。

 ちょうどいいのでここで説明すれば皆にも伝わるだろう。


「この子はさっき新しく召喚した精霊のちーちゃんだ。地の精霊だそうだ」


 俺はそう言ってちーちゃんを抱き上げる。

 目線の高くなったちーちゃんは、二人に自己紹介をする。


「・・精霊のちーちゃんです。今後ともお願いします」

「ほう、今度の精霊は大人っぽくてしっかりしてるな」


 龍二さんがそう言ってちーちゃんの事を褒める。

 そしてそう言われたちーちゃんはみーちゃんの方を向きドヤ顔した。


「りゅうじー! みーちゃんだってしっかりしてるの!」


 当然怒ったみーちゃんは龍二さんの足をぽかぽか叩く。

 和む絵面だ。


「すまんすまん。みーちゃんもしっかり豊のサポートしてるもんな」

「そうなの! みーちゃんがゆーちゃんのあいぼうなんだから! とくめーなんだから!」


 みーちゃん、そっちの特命は相棒が結構変わるぞ。


「ユタカさん、二人に魔法少女のコスプレを是非」

「アレン、自重しろ」


 アレンは可愛らしい二人を見て何かビビっときたらしい。

 まあアレンのコスプレと違って、二人が魔法少女の格好をしたらとても可愛いだろうが。

 許可するとこのコスプレ野郎は暴走しそうなんでやめておこう。

 とりあえず周囲の冒険者や職員達には、ちーちゃんの事が伝わったようだ。


『なんであいつばっかり・・』

『今度はあの子も拉・・誘ってお茶にしましょう』

『俺、必ず召喚魔法のスキルブックを見つけてやるんだ!』

『うちの鬼嫁とあの子を交換してくんねえかな』


 何かちらほら物騒な事も聞こえるが気にしないことにしよう。

 女性職員の目なんか血走ってて怖く、直視できるものではない。


「ところで豊、ちょっと聞きたい事があるんだがいいか?」

「何ですか?」

「お前いつ頃十階を攻略するつもりだ?」


 これはまた随分とタイムリーな質問が来たものだ。

 もしかして、俺が明後日攻略するのを気付いての質問なのだろうか?


「明後日の予定ですけど」

「え⁉ そんな直近なの?」


 さすがにそこまでは気付いてなかったらしい。

 まあ龍二さん的には、さっさと十階以降も突破して最前線に出て来いと言いたいのかもしれない。


「十階を突破したらしばらく他の事をやるつもりですけど」

「いやそれは構わないんだが、お前のボス戦を撮影させてほしいんだ」

「撮影?」


 なんか変な話になってきた。

 スマホで撮って家族にでも見せるつもりだろうか?


「ギルマスと話してな、『ファースト』と桜木亭のプロモーションの一環としてお前のボス戦を撮影して、PVを作ろうという話になったんだ」

「ちょっと待ってください。いろいろ聞きたいことができました」

「何だ?」

「一応俺ギルド会長ですよね? 俺抜きでそういう話が進むんですか?」


 だとしたら俺、完全にお飾りじゃねえか。

 やっぱり龍二さんがギルド会長をやればいい。


「だってお前その場にいたら絶対に拒否するだろう? だからお前抜きで話を進めたんだ」


 大人って汚い。


「だとしてなんで俺なんですか? 蓮たちの方が映えるんじゃないですか?」


 こういう時のためのイケメンじゃねぇか。

 ついでにアレンも普通の格好させて戦わせればいい。


「初めて攻略をするリアル感が欲しいんだ。蓮たちがそれをやるためには二十階のボスまで到達しなきゃいけない。それだと見通しが立たないんだ」

「だったらアレンたちのパーティーでも、他のパーティーでも初攻略するボスに近いグループがあるでしょう?」

「お前どうせ今回もみーちゃん達の力を借りずに、一人で戦うつもりだろ?」


 龍二さんは俺の性格をよく分かってる。

 さすがは長い付き合いの兄貴分だ。


「ソロ攻略者としてのお前は、現役の冒険者以外でも割と有名なんだよ。例えばこれから冒険者を目指している若い連中とかな」

「何それ、はずっ!」

「まあつまりパーティーで初攻略はいくらでもいるが、ソロでボスに挑むのはお前しかいないんだ。今思えばシロタイツの時も撮影しておけば良かったと思うよ」


 俺の戦闘シーンを撮影されて動画で晒されるのか・・


「すごいの! ゆーちゃんゆうめいじんなの!」

「・・まあ、ゆーちゃんなら当然よね。ハリウッドデビューも近いわね」

「世界のユタカさんになりますね・・ぷぷっ」


 君たち、そんな目でこっちを見ないで。

 アレンは後で殴る。

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