第五十四話 豪華な昼食
草原をうろちょろしていると、セーフエリアを発見した。
洞窟のように部屋になってるわけではなく、草原の一部が十m四方に薄い光の壁に囲われている。
魔物は中に入れないが、俺たちは中への出入りは自由にできる。
ちょうど昼時なのでここでご飯にしようと思う。
「二人ともここでお昼にするけどいいかな?」
「たべるのー!」
「・・問題ないわ」
二人の了解もとれたのでちーちゃんを肩から降ろし、アイテムボックスから椅子とテーブルを取り出す。
とりあえず活躍した二人にはオレンジジュースを出してあげる。
頑張って魔法使ってくれたので俺の出番がなかったほどだ。
「きょうはかれー? しちゅー?」
「それもまだいっぱいあるけど、今日はせっかく手に入れたこれにしよう」
そして俺がアイテムボックスから取り出したのは、先ほど手に入れたミノ肉だ。
積極的に魔物を倒してないが、三時間ほどうろちょろしていたのでそこそこの素材は手に入った。
魔物肉もミノ肉三つ、オーク肉一つ、コカ肉二つが手に入っている。
しかも通常肉は100gぐらいで手に入るのだが、ここは一つにつき200gぐらいの量で手に入った。
なのでお昼はこれを使ってステーキ丼にしよう。
「・・魔物の肉なんて初めて食べるわ」
「みーちゃんもはじめてなの」
前回レンと食べた時にはみーちゃんはいなかったからな。
二人の頑張りで手に入れたので、是非とも食べさせてあげよう。
「美味しいから期待しててね」
そう言って俺はカセットコンロとフライパンを取り出す。
ミノ肉は包丁の背で叩いて柔らかくし、筋を切り、あらかじめ塩コショウ振っておく。
まあ元々いい肉なんで叩かなくてもある程度柔らかいし、筋もそこまでない。
肉に塩コショウがなじむまでの間にステーキ用のソースを作る。
まずは玉ねぎをすりおろしてフライパンの中に入れ、さらに醤油・砂糖・赤ワイン・酢・おろしにんにく・少量の水を入れる。
しばらく火にかけ玉ねぎにある程度火が通ったらバターを少し入れて溶かす。
これでシャリアピンソースの完成だ。一旦丼にソースを移し、フライパンを綺麗にする。
「いいにおいなの」
「・・本当ね。お腹のすく匂いだわ」
ちみっ子二人が、目の前で出来上がったソースに釘付けになる。
もちろんそれも美味いが、メインはステーキの方だ。
フライパンに軽く油を引き、ステーキニ枚を焼いていく。
フライパンのサイズ的に三枚は焼けないので、二人の分を先に作る。
表面を強火でしっかり焼き、内側には火は通さず熱だけ通す。
すぐに肉汁滴るレアステーキが出来上がる。
冷めないうちにすぐ肉をカットしていき、ご飯を入れた丼に先ほど作ったシャリアピンソースを軽くかけて、その上にステーキを乗っける。
さらにステーキの上からもシャリアピンソースをかけ完成だ。
二人にステーキ丼とバランスも考えてサラダも出す。
「冷めないうちに召し上がれ」
「いただきますなの!」
「・・いただきます」
二人はまずお肉を一切れ口に放り込んだ。
美味しいからか二人とも笑顔が溢れている。
「みのにくおいしいの!」
「・・とっても美味しいわ。このソースもすごく合ってる」
二人ともお気に召してくれたようだ。
二人が食べてる間に俺も自分の分を作る。
美味しそうに食べてる姿やステーキ丼の匂いを嗅いで、俺の腹は鳴りっぱなしだ。
「ゆーちゃん、あーんなの」
肉を焼いているとみーちゃんが近づいてきて、お肉を一切れあーんと言って差し出してくる。
せっかくなので俺もあーんと言って食べさせてもらう。
一噛みすると口の中で肉汁が溢れ出す。甘めのソースと相まって素晴らしい美味しさだ。
このステーキ丼に値段つけたらえらいことになると思う。
なんせ、有名なブランド和牛A5ランクに負けないぐらいの値段がつくお肉だ。
そんなお肉を丼にして食べてるんだからなかなかに罪深い。
「・・ゆーちゃん、あーん」
ちーちゃんも俺にあーんしてきた。
せっかくの肉なんだし二人に食べてほしいが、好意を無にするわけにもいかないのであーんして食べさせてもらう。
「ありがとう二人共。すごい美味しいよ」
二人はそれで満足したのか再び食事に戻った。
俺の分もその間に完成し、丼に盛り付ける。
サラダも用意して席について、手を合わせる。
「いただきます」
ちみっ子二人は口が小さいので少しずつ食べ進めているが、やはり丼ぶりというのはかき込んでこそナンボだ。
肉と米を豪快に口の中に入れて咀嚼する。
もはや至福だ。
肉の旨みを米が支え、肉だけ食べた時よりもさらに美味しく感じる。
こんなの食べてしまったら、今後魔物の肉は買取には出せない。
というかスーパーで売ってる肉が食えなくなってしまう。
「ゆーちゃん、このあとはおにくさがしするの!」
「え? いや、普通に探索を――」
「・・お肉狩りよね?」
ちみっ子二人が肉食系に目覚めてしまったようだ。
まあ別に肉がいっぱいあって困ることなんか全くないから、それでもいいのだけど。
大精霊様もおそらくステーキ丼が食べたいとか言い出しそうだし。
「じゃあ午後は狩りを中心に行こう。二人もまた頑張ってね」
「まかせるの!」
「・・お肉をドロップする魔物を全て狩り尽くすわ」
・・絶滅とかしないよね?
そんなことを考えながら俺はまだ残っているステーキ丼をかき込む。
「あー、美味い」




