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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第五十三話 再突入

 朝食後。

 家のダンジョンに突入するための準備を行っている。

 と言っても大体のものはアイテムボックスに入っているので、忘れ物が無いかどうかの確認だけだ。


「食料は十分あるし、ちーちゃんの椅子なんかも持った。一応日帰りの予定だから、とりあえずベッドは後回しでもいいな」


 今日はあくまで様子見だ。

 一階層を散歩するくらいの気持ちで見て回る。

 どんなフィールドか、モンスターの出現状況、セーフエリアの場所など諸々の確認だ。


「二人とも準備はいい?」

「だいじょうぶなの」

「・・問題ないわ」


 まあ二人には準備は特に必要ないか。

 とりあえず二人の頭をひと撫でして地下室に向かう。

 ダンジョンの入り口まで進むと入り口を封鎖していたテープはなくなっていて、金属製の扉は開かれていた。

 ワープポータルの方は特に変化はない。

 そしてそばにある石碑にはこう書かれていた。


『ようこそ夢の国へ。今日はいっぱい楽しんでいってね』


 どこのランドだ。

 ネズミーマウスみたいなマスコットキャラとかいないだろうな?


「たのしそうなの」

「まあ楽しみではあるがな・・」


 さっきまでのやる気が、緊張感の抜ける入り口によって無くなってしまった。


「・・ゆーちゃん、まだ続きがあるわよ」

「え?」


 ちーちゃんの言葉に俺は再度石碑を見る。

 先ほどの文字の下の方に追記が書かれていた。


『入場料代わりに、何かご飯置いてってください。大精霊より』


 イラぁっ。

 カレーにデスソースでもぶち込んで置いてってやろうかな。

 それともからし入りの豆大福がいいか?


「・・あんまりそんな顔しないで。大精霊様はゆーちゃんがここに来ることや、ゆーちゃんのご飯を食べるのが楽しみなんだから」


 ほむ・・

 そう言われては悪い気はしない。

 俺の飯を美味しそうに食べてくれてるちーちゃんとみーちゃんの姿が思い出される。

 大精霊様もそんな感じなのだろうか?

 そう考えるといろいろサービスしたくなってシチューをはじめ、ハンバーグ・肉じゃが・刺身の盛り合わせなど一通り出して入り口に置いておく。


「これだけあれば満足してくれるかな?」

「きっとだいじょうぶなの。ゆーちゃんのごはんはおいしいから」

「・・そうね。きっと喜んでくれるわ」

「じゃあそろそろ中に入ろうか」


 ようやく新生ダンジョンの中に突入する。

 ダンジョン入口から階段を下っていくと、すぐに視界が開けてきた。


「一階は草原エリアか」


 見渡す限りの大草原。所々に木が生えていたり、川が流れてるところもあるようだ。

 視界が開けているので魔物の姿もよく見える。

 空を見上げれば、流れて行く雲や空を飛ぶ鳥の姿も確認できる。

 さらには適度な風や暖かい日差し。異空間だからこそ出来る芸当だ。


「なんかダンジョン攻略よりピクニックをしたい気分だ」

「さんせーなの! おべんとうをたべておひるねしたいの」

「・・魅力的な提案だけど魔物もいるのよ」


 そう、散見する魔物は数は多くないもののピクニックをしてられるほどではない。

 セーフエリアなんかだったらいいのかもしれないが・・


「魔物をざっと見た感じ、確かにお肉をドロップする魔物が多めな気がする」


 お肉をドロップするのとそうでないのとで、大体半々ぐらいの割合な感じだ。

 これは狩りのしがいがある。

 とはいえ今日はそこまで積極的に戦ってはいかない。

 さっきも言った通り、様子見がてらの散歩だ。

 向かってくる魔物以外は特に相手するつもりはない。

 こちらも洞窟タイプ以外のダンジョンは初めてなわけだから、慣れていかないとな。


「ゆーちゃん、だいふくは?」

「ああ、今出すよ」


 みーちゃんに言われてアイテムボックスからダイフクを出すが、そこでふと気づいた。

 これ一人乗りじゃん。

 ダイフクを手にしたまま、みーちゃんとちーちゃんを見る。

 別に三人で歩いて探索でもいいのだが、この広さでは時間がかかりすぎる。

 カートの方の対策は後々考えるとして、とりあえず今は・・


「じゃあいつも通りみーちゃんはダイフクに乗って、ちーちゃんは肩車かな」

「みーちゃんがかたぐるまがいいの!」

「でもみーちゃん、ダイフクを使ってあげないの?」

「うぅー、だいふくもだいじなの・・」

「・・なら決まりね。私が肩車の方」


 みーちゃんがとても悔しそうな顔をしているが、それでもダイフクを捨てないみーちゃんは好ましい。

 とりあえずちーちゃんを肩車して、みーちゃんがダイフクにライドオンする。

 するとちーちゃんが俺の頭にぎゅっとしがみついてきた。


「そこまでスピード出さないようにするから、そんなにしがみつかなくても大丈夫だぞ」

「・・大丈夫、みーちゃんに見せつけてるだけだから」

「ちーちゃん! もっとはなれるの!」


 しがみつくのもあれだが、離れるのは危ないよ。

 とりあえず二人がポジションに収まったので移動を開始した。

 軽く神速を使って周りの様子を見ながらまっすぐ進んでみる。

 自然の中をランニングするのは気持ちいい。

 たまに接近してくる魔物は、二人が魔法で片付けてくれる。

 今の俺は移動砲台みたいなものだ。

 

 ちみっ子戦車は草原を疾走していく。

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― 新着の感想 ―
[一言] これだけして貰ってるのにご飯の要求くらいで苛つくのは人として駄目じゃないかな(笑) むしろ言われなくてもお供えするレベルだと思います
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