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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第五十二話 二人目よ

 若返りの薬や不老不死の薬など、歴史上の権力者達が血眼になって探していたものではないか。

 伝説やおとぎ話などを信じて部下たちに探しに行かせ、結局そんなものは見つからず失意のうちに死んでいく――まさに秘宝と言うにふさわしい逸品だ。


「・・ダンジョンだもの。そういうものがあっても不思議ではないのでは?」

「確かにゲームなどでは不思議ではないかもしれないけど、そんなものがあると知れたら今度は大企業ではなく世界の金持ちがダンジョンに攻め込んできそうだ」


 企業が欲しいのは名声だろうけど、大富豪たちが欲しいのは若さだ。

 いくら金を持っていてもあの世にまでは持っていけない。

 金持ち人生を長く謳歌するためには、それこそ若返るか不老不死になるしかない。


「ゆーちゃんもみーちゃんたちと、いっぱいいっしょにいられるの」

「みーちゃん・・」


 みーちゃんの純粋な言葉に思わず頭を撫でてしまった。

 同時にそれなら若返りの薬を手に入れるのもありだとも思ってしまう。


「・・そもそも見つけられなかったらしょうがないんだし、今はそんなに深く考えることないんじゃないの?」

「それもそうだな。見つけた時に考えよう」


 思考放棄というなかれ。

 現物が手元にないのにあれこれ考えてもしょうがない。

 今はまず、新装開店したダンジョンのことだ。


「とりあえず今日は休んで、明日から潜ってみよう」

「・・その前に私の契約を済ませましょう」


 そういえばそんな話だった。


「契約はダンジョン内でする必要があるの?」

「・・ここでも大丈夫よ」


 みーちゃんの時以来の契約だ。

 どうすればいいんだったか?


「・・じゃあゆーちゃん、ちょっとしゃがんで」


 そうだ、確か俺の胸に手を当てて契約をするんだったか。

 言われた通り俺はちーちゃんの前でしゃがむ。

 ちーちゃんはそんな俺の胸に右手を当てて、契約の言葉を口にした。


「・・ちーちゃんはこの者と契約します。期間はこの者が死ぬまでです」


 ちーちゃんがみーちゃんの時と同じセリフを口にすると、あの時同様ちーちゃんの触れている手から何かが俺の中に入ってきた。

 今は開けないけど、きっとステータスウィンドウを開けば『契約・ちーちゃん』となっているのだろう。

 後はみーちゃんの時のように、『ファースト』でちーちゃんを召喚しよう。


「・・よろしくねゆーちゃん」


 ちゅ。

 そう言って顔の高が合っている俺のほっぺに、ちーちゃんがキスをしてきた。


「ちーちゃん! だからそれはみーちゃんのやくめなの!」


 だからそんな役割分担はねーっての。

 とりあえず俺はおませなちーちゃんの頭を撫でてあげる。


「これからよろしくねちーちゃん」

「・・こちらこそ末永くよろしくねゆーちゃん」

「すえながくするのはみーちゃんなの!」


 こうして二人目の精霊が仲間になった。

 というより、気分的には二人目の娘ができた感じだ。

 みんなで楽しくやっていきたいものだ。



 その後、早速ちょっと問題が起きた。


「ちーちゃんはひとりでねればいいの!」

「・・みーちゃんこそ、ずっと一緒に寝てたのだから譲りなさい」


 三人で寝るにはベッドが狭いのだ。

 元々シングルベッドなので俺とみーちゃんまでだったらギリ寝れたのだが、三人は無理がある。


「今日のところは俺はソファーで寝るから二人はベッドで寝なさい」

「じゃあみーちゃんもそふぁーにいくの」

「こっちで二人は無理だ。ベッドで仲良く二人で寝なさい」


 とりあえず近いうちにダブルベッドでも購入しよう。

 それなら三人でも寝れ・・あれもしかしてまだ増える可能性があるのかな?

 まあその時はその時だ。

 とりあえずちみっ子二人を寝かしつけ、俺はソファーで横になりながらスマホで新しいベッドを探してみる。

 しばらくすると眠気が襲ってきた。

 明日は新ダンジョンに潜るわけだしさっさと寝よう。



「・・おはようゆーちゃん」


 朝目が覚めるとちーちゃんが目の前にいた。

 今朝はなんだか体が重い。


「おはようちーちゃん。随分朝早いんだね」

「・・本来精霊は寝なくてもいいものだから、ゆーちゃんの寝顔見に来たの」

「恥ずかしいじゃねーか」


 ちみっ子とはいえ美少女なちーちゃんに、こんなおっさんの寝顔見られてはさすがにたまらん。

 よだれとか出てないだろうか?


「・・ところでゆーちゃん、それ重くないの?」

「それ?」


 ちーちゃんの視線の先に俺も視線を合わせてみると、俺の腹の上で寝ているみーちゃんの姿があった。


「Oh・・」

「・・全く油断も隙もない子ね」


 人間の子供ほど重いわけではないが、猫がお腹の上に乗ってたらそれなりに寝苦しい。


「ちーちゃん、精霊って体重はみんなこんなもんなの?」

「・・リンゴ三個分よ」

「は?」

「・・リンゴ三個分よ」


 どこの猫のキャラクターだよ。

 いや女の子に体重を聞いた俺が悪かったか。


「とりあえず起きて朝飯にするか」

「・・この前食べたフレンチトーストがまた食べたいわ」

「準備してないからこの間と同じとはいかないが、それでもよければ」


 キャンプの時に食べたやつは、漬け込んでおくのに時間がかかる。

 まあ、浅漬けのものでも美味しいので構わないだろう。


「・・もちろんそこまで贅沢は言わないわ」

「それじゃあ準備しようか・・の前にこの子をどうするか?」


 幸せそうに俺の上で寝ているみーちゃん。

 起こすのも少々忍びない。


「・・ダンジョンに放り込んでくればいいんじゃない?」

「ちーちゃんもなかなか辛辣だね」


 これは早急に新しいベッドを買わなきゃならないようだ。


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