第四話 酒と男とすき焼きと
まだ書き始めたばかりの話なのに感想や評価を下さりありがとうございます。
とても励みになり、夜中なのにテンションアゲアゲですw
ちなみにタイトル詐欺とは言わないでください。レアダンジョンはもう少ししたら出ますので・・
ただ、脇道の話がえらいはかどっちゃってるだけですw
夜中に仕事から帰ってきたらもう一話くらい上げる予定です。
明日は休みだし、いっぱい書けるといいな。
車に荷物や装備品を放り込み、蓮司を乗せて出発。
家に向かう道にはスーパーがないので、ちょっと遠回りをして買い出しに向かった。
店に到着しカートを手にした後、レンに引っ張られてまずは酒のコーナーへ。
実はレンは酒が大好きだ。
俺は500mlのレモンサワーを3本カゴに入れたが、レンは500mlのビールとハイボールを各4本、赤ワイン1本をカゴに入れてきた。
「明日があるんで、今日はこのくらいにしときます」
これは抑えた量じゃないだろ・・
確かに飲み会でもレンがいる場合は飲み放題にしとかないと、会計がえらいことになる。
ドン引きしながらも、次は食材コーナーへ。
すき焼きなので、焼き豆腐・白菜・春菊・しらたきだな。
それと亀の甲羅のマークのメーカーの割り下を取って、肉のコーナーで無料の牛脂を回収する。
「他に何かつまみはいるか?」
「白米ですね」
「それならうちにたくさんあるよ」
笑いながらそう言う。
ご多分に漏れず、冒険者の大半はよく飯を食う。それは飲み会の場合でも同じで、締めに焼き肉を食べに行ったりもする。
冒険者でない友人から、俺らにとっての締めってなんだよと聞かれたときには、
『腹をいっぱいにすること』
と答える。何故かドン引きされるが・・
体を動かして、魔法を使ってと、かなりカロリーは消費されるのだから仕方ない。
とりあえずこれ以上は買わなくていいようなので、会計を済ませにレジに向かった。
さっきレンに言った通り、ここは俺持ちだ。
レンのほうがよっぽど収入は多いが、ちゃんと年上を立てて余計なことは言わないでくれる。
「よし、さっさと帰って飯だ」
「ごちになりまーす」
酒だらけの袋を二人で分けて持ち、車に積み込む。
ウキウキ顔のレンを見てさっさと家に向かって車を走らせる。
そうしないと車の中で飲み始めるかもしれない・・
俺の家は住宅街の一角にある。
二階建ての一軒家で地下に倉庫があり、家の横には屋根付きの車庫もある。
両親は仕事の関係で数年前に福島県に家を買って引っ越した。
なので今では俺しか住んでいない。掃除が面倒です・・
車を車庫に入れ、また二人で買い物袋を持って家に上がる。
一階のリビングにレンを通し酒だけ置いて、俺はキッチンに食材を持っていこうとする。
「あ、ゆーさんこれ」
レンが俺を呼び止めて袋を渡してくる。
中を見ると紙に包まれた、おそらくミノ肉であろうモノが10包みほど入っている。
一つ包みを開いてみると、適度に白いサシの入った美しい赤い肉。思わずつばを飲み込んでしまった。
合計1㎏ほどの肉。一つ一つは100gの塊なので、すき焼き用に薄くスライスしなければならないが、その手間を惜しむ必要もない美味しさだろう。
とりあえず米を炊く。二人分だし10合位でいいか。
冷蔵庫に白菜の漬物があったのでレンに渡して、先に飲んでろと言っておく。
その間にミノ肉をスライスして皿に盛る。また野菜類も食べやすい大きさに切って盛り付けていく。
そうこうしているうちにご飯が炊きあがりそうなので、リビングのテーブルに食材やカセットコンロを持っていく。レンが待ってましたとばかりに運ぶのを手伝ってくれた。
我が家にすき焼き鍋はない。普通の鍋でもいいが、今回はフライパンを使う。
「今回は関西・関東両方の食べ方をしよう」
「両方ですか?」
「そう。まずは醤油と酒と砂糖で関西風に食べる。そのあと割り下を入れて関東風に食べていく」
「いいですね。お腹もすいたし、煮えるのを待つ前に食べたいですしね」
そう。腹が減ってるのに煮えるのを待つなんてできない。
さっと食べれる関西風でまずは軽く食べていく。
ちょうどご飯が炊きあがったので、どんぶりに二人分よそっていざ実食。
まずはフライパンを温めて、牛脂をひいていく。
次に肉を焼き、砂糖と醤油と酒をかける。暴力的なにおいが充満する。
「もう食べていいですか!?」
「GO!」
もはや一刻も待てないとばかりにレンが箸を伸ばす。
肉を取った箸はそのまま用意した生卵にくぐらせレンの口に運ばれる。
「どうだ?」
「グレイト!」
満面の笑みでサムズアップをするレン。
そのままどんぶり飯をかき込む。実に幸せそうだ。
俺は生卵が苦手なので、肉をオンザライスして食べてみる。
口に入れた瞬間、脂の甘みと肉のうまみが口の中でパレードを始めた。
某ランドのパレードにだってきっと負けない。
そのまま二人で、半分くらいの肉を関西風で食べた。
少しテンションが落ち着いたので、今度は関東風を作る。
落ち着いたはずなのに、具材が煮えてくると否応にもテンションは上がってくる。
「ゆーさんまだですか? お酒でごまかすのも限界です」
「漬物を食ってろ。あと五分くらいだ」
レンの手元を見ると酒の残量がハイボール二本だけになっている。
まずい。早く煮えてくれないと、料理酒まで飲みだすかもしれん。
永遠にも感じた五分間。ついにすき焼きが煮えてくれた。
レンにGOサインを出すと、獣のように食べ始める。
レンの冒険者らしい食いっぷりを見ながら、俺も負けじと食べ進めていく。
この日買った食材や酒、肉も白米もすべて食べつくし、ようやく俺たちは満足した。