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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第三十六話 気配

 後は炭を熾せば焼き始められるので、杏ちゃんを誘いに行ってみよう。

 お昼まだ食べてないといいけど・・


「みーちゃん、杏ちゃんのところに行こう」

「おさそいしにいくの?」

「ああ。ついでにその後遊べるかも聞いてみよう」

「やったーなの! あんずちゃんとあそべるの」


 オーナーに聞いてみないとだが、用事がないなら大丈夫だろう。

 俺とみーちゃんは管理棟に向かうために林に入っていく。


「――んん?」

「どうしたみーちゃん?」


 林を進んでいる最中に、みーちゃんが周りをきょろきょろしだした。

 何か動物でもいたのだろうか?


「けはいがしたの」

「気配? 野生動物とか?」

「ちがうの。せいれいなの」


 精霊の気配? 知識がなくて反応に困る。

 精霊ってそもそもどこにいるものなのか。数はどのくらいいるのか。何も知らない。

 みーちゃんがいるのだから聞いてみればよかったのだが、あまり気にしてなかった。


「ちょっとだけけはいがして、もうなくなったの」

「精霊ってこういう所にはいないの?」

「みーちゃんはだんじょんうまれのせいれいなの。いまかんじたのも、だんじょんのせいれいのけはいなの」


 なるほど。みーちゃんは特別として、普通ダンジョンの精霊はダンジョンにいるはずなのだろう。

 もちろんここにはダンジョンはない。未発見という可能性もあるが、限りなく低いと思う。


「ダンジョンの精霊がここにいるとマズいことがあるの?」

「ないの。おかしいだけなの」

「じゃあとりあえず気にしなくてもいいか」

「いいけど、ゆーちゃんはきにならないの?」

「気配が消えちゃったんならどうしようもないだろうし、こっちに用があるなら、また出てくるだろうよ」

「わかったの。いまはあんずちゃんのほうがだいじなの」


 そういう事だ。さっさと迎えに行こう。

 その後は何事もなく管理棟に到着した。

 ドアを開けて中に入ると、オーナーと杏ちゃんが二人ともいてくれた。


「こんにちは。オーナーさん、ちょっとお話いいですか?」

「はい、どうしましたか?」


 俺は杏ちゃんのお誘いの話をオーナーにしてみる。

 その間にみーちゃんは杏ちゃんの手を取ってこちらにやってきた。


「ご迷惑じゃないですか?」

「気にしないでください。むしろこっちが無理を言ってるようなものですから」

「わかりました。ちょっと待っててください」


 オーナーはそう言って、受付の奥のドアに入っていった。

 位置的に隣の売店に繋がってるようだ。

 せっかくなので今のうちに杏ちゃんにも聞いてみよう。


「杏ちゃん。今お父さんとも話したんだけど、よかったら一緒にお昼ご飯を食べて、その後遊ばないか?」

「あんずちゃん、いっしょにいこうなの!」


 みーちゃんも杏ちゃんの手を取って説得する。

 杏ちゃんは来たそうな顔をしている。


「えっと、お父さんがいいって言ってくれるなら」

「じゃあ大丈夫そうだね」


 さっきの様子なら問題なさそうだ。

 大丈夫そうなので、みーちゃんも嬉しそうにはしゃいでる。


「お待たせしました。杏がお世話になりますし、これよかったらみんなで食べてください」


 と、オーナーは飲み物やお菓子の入った袋を渡してくる。


「いや、気にしないでください。食材は多めに買ってきてますし、うちのみーちゃんが杏ちゃんと遊びたがってただけですし」

「それこそ気にしないでください。杏は歳の近い友達がまだいないので、誘ってもらえるのはとても嬉しいんです」


 そう言って袋をみーちゃんに渡すオーナー。

 みーちゃんに渡されては断れない。うまいやり方だ。


「みーちゃん、杏の事をよろしくね」

「ありがとうなの。あんずちゃんといっぱいあそぶの!」

「杏、夕方までには帰ってくるんだよ?」

「うん。わかった」


 オーナーは二人の頭を軽く撫でてあげた。


「では本城さん、杏の事をお願いします」

「わかりました。夕方になったら送り届けますので」


 みーちゃんは我慢しきれないのか、杏ちゃんの手を引いて表に向かい始める。

 俺も後に続いてドアに向かう。

 みーちゃんは右手に袋、左手は杏ちゃんと手を繋いでるので、俺がドアを開けてあげる。


「お父さん、行ってきます」

「はい、行ってらっしゃい」


 みーちゃんの持つ袋は飲み物が入っているので少し重そうだ。手も繋いでいるので危ないかもしれない。

 俺はみーちゃんから袋を受け取って身軽になってもらう。

 二人はそのまま走ったりスキップしたりと楽しそうだ。

 そして三度林に入っていく。みーちゃんはしゃいでるけど気配とかわかるのかな?

 まあ、特に何事もなく林を抜けた。


「杏ちゃんはバーベキューは好きかい?」

「はい。お肉も野菜も好きです」

「じゃあ、たくさんあるからいっぱい食べてね」

「みーちゃんもいっぱいたべるの!」


 ちみっ子二人はいい食欲を見せている。

 俺も腹が減ったし、さっさと戻って火を熾さないと。


「おにくっ、おにくっ、おやさいおにく♪」

「牛、牛、豚、鶏、牛、豚、鶏♪」


 二人が不思議な歌を歌いだした。

 早く準備しないとまずそうだ。そして杏ちゃん、野菜はどうした?

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