第三十一話 恐るべき敵
夜中に一本更新です。
昨日の昼間大掃除をしました。
思い切って断捨離したら、ゴミ袋10袋になりました。俺の部屋ゴミだらけだったって事かい?
さっきの襲撃者はみーちゃんがいても攻撃してきた。
いや見えない位置で爆竹に火をつけて、さらに煙に巻かれる俺たちに攻撃してきたから、こちらの姿は見てないのかもしれない。
不意打ちやトラップの形だと、みーちゃんがいても攻撃は受けるだろう。
俺たちは再び移動を開始する。
いろんな方向から戦闘音が響いてくる。
こんなにダンジョンが賑やかなのは初めてだろう。
「みーちゃん、誰か見つけたら問答無用で攻撃していいからね」
「まかせるの。みーちゃんのろけっとがひをふくぜなの」
確かに火を噴きながら飛んでいくけどね。
しばらく歩いて角を曲がった時、通路の先に若い男性冒険者がいた。
「みーちゃん!」
「はっしゃなの!」
みーちゃんが四発同時にロケット花火を発射した。
向こうも反射的に二発放ってきた。
二発くらいなら躱せる。そう思ったが甘かった。
一瞬見えた飛来するロケット花火には、後ろの持ち手の方に何かが付いていた。
そして二発を躱す直前、
バババッババババババ!
「――だっひゃあ!」
ロケット花火が通過前に破裂した。
というか、花火に付いていた爆竹が破裂したのだろう。
躱すことを見越して、相手の側で爆竹が破裂するように仕込んだようだ。
よく考えるなまったく。
「みーちゃん、だいじょうぶ・・か?」
みーちゃんを心配して見ると、さらに四発のロケット花火を放ったところだった。
「みーちゃんはだいじょうぶなの。けど、てきににげられたの」
今しがた放った四発は彼が避けた後ろの壁に当たり、冒険者はそのまま逃げていった。
先ほどの相手といい、良い引き際だ。
そしてみんな随分と工夫をしてるじゃないか。
さっきの通路の爆竹なんか、おそらく海外の強力なタイプの爆竹だろう。
輸入物を使ったり合体させたりと。
こうなると火薬量を増やした、違法なロケット花火を作ってきてる奴もいるんじゃ・・
本気で殺る気だな。
みーちゃんバリアも通用しなさそうだ。
「ゆーちゃん、はなびってたのしいの」
みーちゃん、これは断じて正しい花火の楽しみ方ではないよ。
そう言いたかったが、イベントを企画した俺が言うのもな・・
まあ楽しいならいいか。
と、後方から誰かが近づいてくる気配がした。
俺は急いで先ほどの冒険者がいた位置まで進む。
ロケット花火を構える俺とみーちゃんの前に現れたのは、
「豊とみーちゃんか。ここで会うとはな」
龍二さんだった。
しかし龍二さんの声色は、仲間を見つけたというよりは獲物を見つけたといった感じだ。
「・・やりますか?」
「愚問だな。そういうイベントだろ?」
龍二さんの言うとおりだった。
しかし絶対この人はまともな事をしてこないはずだ。
出来れば逃げたいが・・
「やってやるの! かかってこいなの!」
「みーちゃんが殺る気満々!?」
意外と血の気が多いのね、この子は・・
仕方ない。見敵必殺だ。
「よし、みーちゃん行くぞ」
「おうなの!」
「かかってこい!」
こうして強敵との戦いが始まった。
先手は龍二さんだった。
手に持ってた球状の物体をこちらに投げてきた。
その隙にこちらも数発のロケット花火を発射したが・・
足元に転がってきた物体は無理矢理球状にした爆竹だった。
蹴とばそうかと思ったが、一瞬見えた導火線はかなり短かった。
俺は肩の上のみーちゃんごと後方へ飛んだ。
どおぉぉん!
爆竹からしちゃいけない音がした。
あのおっさんは何て物を作ったんだ!
戦慄しつつ龍二さんに視線を向けると、何か筒のような物を肩に担いでた。
もはや嫌な予感しかしない。
「これは避けれるか?」
反射的に通路の角を曲がった。
追ってくる足音と同時に、
ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅん――
数十発、もしかすると百近いロケット花火が連射される。
そして龍二さんが角から姿を現し、壁に当たっていたロケット花火が一斉にこちらに飛んでくる。
こうなったら奥の手!
俺はカートから白いシートを取り出して目の前に壁のように広げた。
ぱぱぱぱっぱっぱぱぱぱっぱっぱ・・
シートの表面で破裂し続けるロケット花火。
これは工事現場などで使う防炎シートだ。
溶接の火花などを防ぐ厚手のシートで、こんな時の為に持ってきておいた。
「汚ねえ! そんなのありかよ!?」
「身を守ることを一番に考えるのが冒険者の基本ですよ。それにそっちだって爆弾みたいな爆竹や、ガトリングガンみたいな装置まで用意したくせに!」
「使ってるもんは爆竹とロケット花火なんだからルールは守ってるぞ」
ルール通りなら何してもいいってか?
それなら・・
「みーちゃん。ごにょごにょごにょ・・」
「わかったの!」
龍二さんのガトリングロケットがようやく全弾を撃ち尽くしたようだ。
しかし側に置いてあるカートにはまだ筒が二つほど見える。ついでに爆竹爆弾もいっぱいあるようだ。
龍二さんはすぐに次の筒に手を伸ばす。
「今だみーちゃん!」
「ふるふぁいあなの!」
俺とみーちゃんはシートを手放し、持てるだけのロケット花火を斉射した。
「しゃらくさい! こんなの避けるなり弾くなり――」
ちゅどおおおおおん!
俺たちのロケット花火を避けていた龍二さんが突如、大爆発に吹っ飛ばされた。
こっちにまで爆風が襲ってくる。
俺たちはとっさに足元にある防炎シートを被った。
「・・収まったか?」
爆風が過ぎてから防炎シートをどかす。
そして目に入ったのは、遠くでこんがりと真っ黒になって倒れてる龍二さんの姿だった。
さっき俺たちが放ったロケット花火は龍二さんを狙うように見せかけて、横にあった爆薬庫のようなカートを狙ったのだ。
てか、最早こんなの花火の爆発じゃないだろ。
龍二さん。ちったぁ反省してくれ。




