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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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32/200

第三十話 爆裂花火大会

良い子はマネしないでください。

二本目です。

「よくこんなイベント考えましたね」


 地下一階のポータルに向かいながらレンが言ってきた。

 楽しい事や普段できない事をやりたいと思っただけなのだが・・

 この企画をダンジョンでやることにはいくつか利点がある。

 まずは一般人への危険性がないこと。

 次にイベントで出るゴミはダンジョンが吸収してくれること。これはみーちゃんに聞いたら、ここの精霊に話して吸収しても宝箱に入れないように言ってくれた。

 そしておそらく、人様に見せられないくらい地獄絵図になるかもしれないということだ。

 それはさっきの冒険者たちの目が語っていた。

 ちなみに参加費は無料だが、得物は自腹で買って持ってくることとなっている。


「お前はこのイベントどう思う?」

「いいと思います。こう言っては何ですが、今までのイベントは別にどこでも出来るものでしたし。それが悪いわけではないですが、こういった冒険者特有のイベントはみんな待ち望んでいたと思います」


 そうか。それなら企画したかいがある。

 後は盛り上がってみんな無事に帰還してくれればいい。

 俺たちはポータルを通り地下六階に着いた。

 時間はまだあるしのんびり行こうと思ったが、そこで待ち構えていた女性冒険者たちにみーちゃんを奪われた。

 まあ、彼女らもこっちと一緒に行くつもりなようなので、しばらくはみーちゃんを預けておこう。

 みーちゃんもお菓子をもらえてご機嫌のようだし。


「みーちゃん()人気ですね」

「レン。それは喧嘩の販売か? 買うぞコラ」


 レンの首を絞めながら、みんなで地下四階に向かう。

 しかしこの穏やかな空気は、地下四階に着いた時点で一変した。



「殺気ってこんなに感じれるもんなんだな・・」

「ボス戦でもここまでではないですけどね」


 地下四階についた途端に感じる殺気。

 俺に向けられてるというよりはフロア全体に充満している感じだ。

 女性冒険者たちも俺にみーちゃんを返して、各々フロアに散っていった。


「にんげんはかくも、こうせんてきないきものなの」

「全く否定できん」

「この現状ではそうですね・・」


 みーちゃんの言葉はきっと真理だ。

 だがその人間としては何とか否定材料を探すが・・

 通路の先からこちらを伺う狂気の視線を感じると、もはや無理だ。


「じゃあ僕もどこかに行きますね」

「頑張れよ」

「ぐっどらっくなの」


 レンはそう言って自分のカートを引きながら、奥へと消えていった。


「俺たちも移動しよう。まだ時間はあるしな」

「わかったの」


 少しでも殺気が少ないところに行きたい。

 みーちゃんの教育にも悪そうだ。



 しばらく歩いて、周りに人のいない場所に着いた。

 道中魔物に遭遇したが当然瞬殺した。

 出現率が少ない気がしたので、みんなしっかり狩りもしてるようだ。


「みーちゃん、今回は魔法禁止だからこれを持ってて」


 俺がみーちゃんに渡したのはターボライターだ。

 普通のライターよりも早く火がついてくれる。


「はなびたのしそうなの」

「・・楽しめるといいね」


 そう言いながらみーちゃんにゴーグルをつけてあげる。

 俺も装着して今回の得物を確認する。

 ルールで使用可能としたのは爆竹とロケット花火だ。冒険者達はみんな大量に持ってきている。

 そしてこれで他者を攻撃するのが今回のイベントだ。

 普通人に当たったら危険なものだが、冒険者はレベルのおかげで『痛い』くらいで済む。

 

 何度も言うが、良い子は人に花火を向けてはいけません。


 残り一分。

 みーちゃんに花火の打ち方を教えてると、いよいよ決戦の時が近づいてきた。

 みーちゃんを肩車して、俺は固唾をのみ周囲に気を巡らせる。

 5・4・3・2・1・・


 ゼロ!

 ぴぴぴぴぴ! リーンリーン! 『さあ殺しの時間だ!』

 各所からアラームが聞こえてきた。一部変なアラーム音があったが・・


 ひゅううぅぅん――ひゅぅぅんひゅんひゅん――

 パンパンパンパンパパパン!


 同時にロケット花火の飛翔音や破裂音が響き渡る。

 こちらも通路の先に誰かが現れた。

 指の間に構えたロケット花火をこちらに向けるが、みーちゃんを見たのかハッとなり別方向に発射した。

 だが俺は容赦しない。


「みーちゃん、GO!」

「くらえなの!」


 みーちゃんの小さな手で構えた二本のロケット花火が、その冒険者に向かって飛んでいく。

 

 ひゅひゅぅぅん――パパン!

「ぐあっ!?」


 自分は攻撃しなかったのだからこちらも攻撃しないと思ったのか、別方向に意識を向けていた冒険者はもろに直撃を喰らった。

 彼がよろけている隙に俺たちはその場を離れて、次の獲物を探し出した。

 いくつか角を曲がった時に何か違和感を感じた。

 だがここには誰もいない。

 慎重に通路を進んでいくと、かすかに導火線が燃える音がした。

 前! は誰もいない。

 後ろ! と振り返るが誰もいない。

 と、


 ババババババババババババ!

「うおっ!?」


 通路の両角が前方からすごい勢いで破裂してきた。

 どうやら予め、すごく長い爆竹を通路の両端に仕掛けてあったみたいだ。

 逃げる間もなく爆破の波に飲み込まれる。


 ひゅんひゅぅん!


 さらにその瞬間を狙ってロケット花火も数発飛んでくる。

 飛翔音が聞こえたが、爆竹の煙で本体が見えない。

 急いで破裂の終わった爆竹の壁に張り付く。


 ぅぅぅぅん――パンパンパンパン!


 避けた俺たちの背後をロケット花火が通過していき、後方で破裂した。

 襲撃者は失敗を悟ったのか、すぐにその場を離れたようだ。


 この(ダンジョン)は地獄だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ]_・)どっかの国のお祭りみたいだ………………(笑)
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