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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第二十六話 冒険者の絆

何とか今日中投稿がに間に合いました。

今回のお話は次で終わる予定です。

場合によってはいつもより長めの話になるかもです。

 あれから7日が経った。

 再びダンジョンに入り、やはり収穫無しで帰還。

 そして再アタック。

 多くの冒険者が入れ代わり立ち代わり狩りをしてくれているが、いまだに発見の報はない。


「そろそろまた帰還の事も考えないとな。これならボス戦の方が楽だ・・」


 自分の言葉に思わず苦笑いする。

 しかし、レンたちのような最前線攻略組は数週間ダンジョンにいることもざらだ。

 この程度で根を上げてちゃ、この先下層へ進むことなんてできないだろう。

 

 『これも訓練だと思うんだ。自分の糧にするんだ』


 そう言い聞かせて狩りを続ける。

 だが不意に腹が鳴った。

 時刻を確認すると十八時になっていた。


「みーちゃん、そろそろご飯にしようか」

「わかったの。じゃあせーふえりあにいくの」


 腹が減っては戦は出来ぬ。考えもネガティブになる。

 みーちゃんと楽しい癒しのひと時を・・

 と思ったときだった。


「出たぞ! フラワージュエルだ!」


 遠くから誰かの叫び声が聞こえてきた。

 待望の報告だ! こうなって夕飯は後回し。


「みーちゃん、行くぞ!」

「がってんしょうちなの!」


 俺は神速を使って、みーちゃんの乗ったカートを引っ張っていく。

 声のした方へ全力だ。一分一秒が惜しい。

 すると三十秒ほど走ったころに、冒険者達のざわめきが聞こえてきた。

 さらにそちらへと急ぐ。


「あ、本城さん! こっちです!」


 顔見知りの若い冒険者が俺を見つけて手招きをしてきた。

 その冒険者の目前で急ブレーキをかけて停止する。

 『神速』を知らない何人かの冒険者たちはびっくりしているが、かまってられない。


「見つかったって本当か!?」


 いつかは見つかるものだし疑いたくはないが、やはり実物を見ない事には信じられない。

 すると顔見知りの冒険者は、別の若い冒険者の背を俺の方に押し出した。


「彼がゲットしました。確認してみてください」

「これです」


 ゲットした冒険者が俺にフラワージュエルを差し出してくる。

 それを受け取り、宙にかざして見てみる。

 名前の通り単一の色ではなく、たくさんの色が宝石内に点在している。

 写真で見たのと同じ、まるで花束のような宝石だ。


「間違いないと思う。本物を見るのは初めてだから断言できないが・・」

「それを言ったら、今このダンジョンにいる奴で見たことある奴なんて誰もいないだろうよ」


 聞こえてきた野太い声に振り向くと、龍二さんが後ろに来ていた。

 彼はパーティーメンバーに他の冒険者への通達を指示して、俺の手元のフラワージュエルをのぞき込む。


「こういうレアな物を見ると、冒険者やっててよかったと思えるな」


 確かにそれは冒険者の醍醐味だろう。

 これをドロップさせた若い彼も、これを見た瞬間はとても興奮したことだろう。


「じゃあ確かにフラワージュエル、お渡ししましたね」

「いいのか? これを売れば大金が手に入るんだぞ?」


 あっさり俺に渡してきた彼。さすがにそう聞かざるを得ない。

 そんな俺に彼はかぶりを振って告げてきた。


「これを探してた彼は僕よりももっと若い奴だったんですよね。まだまだ将来があったのにきっと無念だったと思います。これは彼に対するせめてもの弔いです。そして何より、これが冒険者の絆だと思うので」

「わかった。ありがたく使わせてもらう」


 気持ちのいい奴だ。下の世代は真っ直ぐに成長してるようだ。

 俺はたくさんの想いのこもったフラワージュエルを、しっかりとボタン付きのポケットにしまった。


「若いのよく言った! 今日は俺が飯でも女でも何でもおごってやるぞ!」

「え? あ、ありがとうございます」


 龍二さんが熊のような腕で、彼の肩を抱き寄せてそう吠えた。

 彼はちょっと引きつりながらお礼を言うのだった。

 かわいそうに・・彼は今日、上機嫌な龍二さんにつき合わされて帰れないぞ。


「あ~、やっと着きましたよ」

「レン。お疲れさん」


 ここでレンのパーティーも合流した。みんな急いで来たようで、息を切らしている。

 場の雰囲気から一件落着したのだと察したようで、俺にサムズアップをしてくる。

 俺もそれに返し、周りにいるみんなに告げる。


「みんな先の見えない狩りに付き合ってくれてありがとう。みんなの想いのこもったこのフラワージュエルは決して無駄にしない」

「でも僕らが出来るのはここまでです。この先はゆーさん達に任せますので」

「ああ、ちょっと胃が痛くなるが任せろ」


 苦笑いをしながらそう言って、軽く胸を叩く。

 そうして冒険者達は三々五々帰路に就いた。

 フラワージュエルを手に入れた彼は、龍二さんに半ば引きずられるようにして連れていかれた。

 俺とみーちゃんも出発しようとしたところで、腹が再び鳴った。


「みーちゃん、豆大福食べようか」

「たべるのー!」

「数があれば僕も一つ欲しいです」


 興奮が収まってきたからか、体が空腹を思い出したようだ。

 まだ豆大福は十個ほどあったので、レンのパーティーにも配ってあげた。

 やはり一仕事の後の甘いものは最高だ。

 みんなで豆大福を齧りながら、荷物が羽根だらけの事などを笑い合いながら地上へと向かった。


 後は彼の願いを叶えるだけだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 読者に対しての情報を止めている状態のまま、ストーリーを進めるのはまだしも、「最悪の事態」というのが年間多数の死者を出しているダンジョンでは当たり前だと思うのですが? 最悪の事態ってモン…
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