第二十三話 自由な人生
三日ほど投稿できずに申し訳ないです。
年末近くて仕事がなかなか大変です。
とりあえず今日書いた二話分を上げます。今日はもっと頑張って書く予定です。
「まずはゲートの出入りのログを調べて、該当する人を探してみよう」
高倉さんは渡したものを俺に返しながらそう言った。
だが恐らくは・・
「もし該当する人がいた時はどうするつもりだい?」
「大したことは出来ませんが、代わりに『フラワージュエル』を手に入れようかと」
「君がそこまでする必要もないのだよ?」
確かにそうだ。
これを高倉さんに預けておしまいでも問題はないだろう。
だけど俺がこれを手に入れて中を見てしまった以上、知らん振りは出来ない。
自分に出来ることはしたいんだ。
「俺はたくさんの冒険者に助けられていました。今度は俺が冒険者のために動きたいんです」
「わかった、私も出来る限りの事はしよう。記載されていた『自由な人生』にも連絡を取ってみる」
「ありがとうございます」
お礼を言って、俺は部屋を後にした。
この後は準備だ。しばらくダンジョンに籠ることになるかもしれない。
俺はみーちゃんを迎えに行き、そのまま買い出しに向かった。
悪い予想がハズレている事を願いながら・・
次の日、事態は早速動いた。
高倉さんから連絡が入ったのだ。
ゲートのログを調べたところ、やはり該当する人がいたそうだ。
そしてパーティ『自由な人生』のメンバーに連絡したところ、その人にひと月以上前に個人的な用があるので1ヶ月ほど一人で活動すると言われたらしい。
とりあえず『自由な人生』達と、桜木亭で合流することにした。
みーちゃんにはこの後ダンジョンに籠もり続けるので、一度うちのダンジョンに帰ったほうがいいと言ったところ、
「ゆーちゃんがつらそうなかおをしてるのに、ひとりにはできないの」
と言われた。どうやら酷い顔をしてるらしい。
なので、みーちゃんも連れて桜木亭へ向かった。
ギルマスの部屋には高倉さんと4人の20代の男性冒険者がいた。
四人の冒険者たちは一様に赤い目をしていた。
「初めまして。『自由な人生』のリーダーの葛西です」
「本城です。早速ですがこれを見てもらえますか?」
俺は葛西さんに宝箱から出たものを手渡す。
葛西さんはそれを受け取り中を確認していく。
「・・間違いないですね。内容は我々や彼の事と一致します」
「そうですか・・」
正直、間違いであってほしかった。
問題の先送りで事態は進まないが、それでもそう思ってしまう。
外堀が埋まるにつれて、やるせない気持ちも積もっていく。
コンコン・・
「『自由な人生』の山岸です」
と、ギルマスの部屋のドアがノックされて訪問者が名乗る。
どうやら彼らの仲間らしい。
「どうぞ」
高倉さんが入室を許可すると、彼らと同じく20代の男性冒険者が入ってきた。
彼の表情もまたみんなと同じく暗いものだった。
「山岸、どうだった?」
「・・アパートの人はここひと月くらいはあいつの姿を見てないそうだ。部屋には入らなかったが、ドアノブに埃が積もってたから、しばらく帰ってないと思う」
どうやら住居の方も確認してきたらしい。思わしくはなかったようだが・・
アパートに帰っておらず、ダンジョンから出た跡もない。そして宝箱から出たこれ・・
「ここまで状況証拠がそろっては・・」
高倉さんが言葉を濁す。何人かから嗚咽の声が聞こえてくる。
皆わかっているんだ。だが認めたくない気持ちがある。
ただそれで時間を無駄にするくらいなら・・
「俺は予定通り、フラワージュエルを手に入れに行く」
「本城さん。これ以上あなたの手を煩わせるわけには・・」
「すまないが最後まで付き合わせてくれ。これが俺の前に現れたのは、彼からの最後の願いだったのかもしれないと思ってな」
葛西さんはこの先は自分たちで片を付けようと思ったのだろう。
これ以上はおせっかいなのかもしれない。それでも俺は彼の想いに報いたい。
「わかりました。なら僕らも探しに行きます。人数は多い方がいいでしょうし」
「ああ。俺一人よりもその方が確率は上がる。ぜひ頼む」
そして彼らは準備後にすぐダンジョンに潜ると言い、部屋を辞していった。
俺とみーちゃんも出発するとしよう。
「本城君。彼の実家に行くときは私も同行させてもらうよ」
「高倉さんもですか?」
「ああ。これでもここの責任者だからね。君たちだけに背負わせるわけにはいかないよ」
高倉さんは常に冒険者の事を考えてくれている。冒険者の相談にもよくのっている。
冒険者はよく言えば自分で考えて行動する、悪く言えば人の話を聞かない連中が多い。
それでもほとんどの冒険者はルールを破ったり、一般の人に迷惑をかけたり(飲み会の時は別)はしない。
それは高倉さんが冒険者の為にいろいろ動いてくれていることを知ってるからだ。
高倉さんに迷惑をかけない。顔向けできないようなことはしない。
なりたての冒険者はともかく、しばらく冒険者を続けた者ならそう思うようになる。
今回のような場合でも当然のように一番つらい役目を買って出る。
桜木亭のギルマスはそういう人なんだ。
「わかりました。その時はお願いします」
「本当は私もダンジョンに潜りたいが、足手まといにしかならないだろうからね」
「その気持ちだけで充分ですよ。では行ってきますね」
さて、ここから長い戦いが始まりそうだ。




