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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第二百四話 奇々貝々

 キョロキョロと周囲の木を見ながら緩やかな登山道を登っていく。

 地面に生えている貝はちみっ子達三人がどんどん見つけている。数は力だな。

 一方木の上の方の貝はなかなか見つからない。

 しじみに関してはさっき山ほど採ったのでもう必要ないが、他にもいろいろあるはずだ。


「ゆーちゃん、あれは違うかな?」


 一本一本木を見ている俺の後ろからふーちゃんがそう聞いてきた。

 振り向いてふーちゃんの指さす方を見ると、木の幹に何かが張り付いているのが見えた。


「コイツは・・やっぱりアワビだ!」


 ついに高級な貝を発見したぜ! アワビなんて普段手を出せる食材じゃないからな。それが無料で採れるなんて素晴らしい山だ。

 俺でも手の届く場所に張り付いていたので、力を込めて引き剥がした。


「ふーちゃんナイスだ。よく見つけたな」

「えへへ」


 ふーちゃんの頭を撫でてやると目を細めて喜ぶ。

 そしてそれを見ていたみーちゃんとちーちゃん。


「ふーちゃんばっかりずるいの! ゆーちゃん、あそこにもあるの!」

「・・こっちにもあるわよ。いっぱい撫でて欲しいわ」


 あれぇ、俺の目が節穴なのか?

 散々探して見つけられなかったのに、ちみっ子達はどんどん見つけてくれる。

 ともかく、二人の見つけた貝も採っていく・・お、こっちはサザエだ。

 みーちゃんもちーちゃんもさあ撫でろと言わんばかりに胸を張って待っているので、もちろんたくさん撫でてあげる。

 二人が満足するまで撫でてやりふと視線を奥にやると、貝のなる木が目に入った。

 山道から外れた場所で、ここからでは何の貝だかはわからない。


「あそこに貝が生ってるから行ってみよう」

「ほんとだ! ゆーちゃんよく見つけたね」

「・・さすがゆーちゃんだわ。大物を見つけたわね」

「ゆーちゃんすごいの!」


 ちみっ子達が口々に褒めてくれる・・いやヨイショなのかもしれないが、それでも嬉しいのがお父さんという生き物だ。

 さっそくちみっ子達を引き連れて奥へと進んでいく。


「おお、すげぇ・・あれはカキじゃねぇか」

「柿なの? 貝じゃないの?」


 柿じゃない、牡蠣だ。牡蠣の木だ。

 一個ずつ枝からぶら下がっていて、ぱっと見ただけでも二十個はあるだろう。


「よし、全部いただこう!」

「がってんなの!」


 四人総出で牡蠣を乱獲していく。

 俺が届かない位置は三人が飛んで採取してくれるので、こっちは手の届く範囲を回収していく。

 そして全ての牡蠣を回収完了。見えない場所にも結構あったのか、最終的に四十三個となった。

 サイズも結構大きいので四人で十分楽しめるだろう。


「セーフエリアまではまだあるから、どんどん探していこう」

「いっぱいみつけてほめてもらうの!」

「・・もっと探していっぱい撫でてもらいましょう」

「僕は大きいのを見つけるよ!」


 いつの間にか採取の目的が褒められるためになってるが、それでモチベーションが上がるのならいくらでも褒めてあげよう。

 やる気満々なちみっ子達とこの後も貝をたくさん集めて回った。



「流石に疲れてきた・・」


 コツを掴めたのかあれから俺も貝を見つけられるようになり、じゃんじゃんゲットしていった。

 ただ上の方を見ながら探したり、木に登ったりしたもんで疲れも出てきた。

 ちみっ子達はまだまだ元気に探し回っている。

 何度もビニール袋を交換して集め続けているのに子供達のバイタリティは凄いな。

 俺は一休みするべく近くにあった岩に腰掛けた。

 アイテムボックスからペットボトルのお茶を取り出して喉を潤す。

 疲れはしたが山の中でマイナスイオンに包まれているからか、とても気分がいい。

 ちみっ子達も呼んでおやつにでもするかな。


「三人ともこっちおいで! おやつにしよう!」


 バラバラに探しているちみっ子達に聞こえるように声を張って呼ぶ。

 どうやら聞こえたようでこちらへ向かう気配がする。

 最初に現れたのはみーちゃんだ。

 そのみーちゃんはこっちを見てこう叫んだ。


「おっきいかいをみつけたの!」


 ほう、それはぜひ見せてほしいな。

 俺は立ち上がってみーちゃんの方へ歩いていく。

 ちょうどちーちゃんとふーちゃんもそこで合流した。


「みーちゃん大きいのを見つけたの?」

「・・私は普通のしか無かったわ」


 二人は羨ましそうにみーちゃんを見るが、俺はふと疑問に思った。

 みーちゃんの持つビニール袋はそんなに大きな貝が入っているようには見えない。

 もちろんみーちゃんが手に貝を持ってるわけでもない。

 もしかして回収できなくてとりあえずこっちに来たのかな?


「その貝はどこにあるんだ? 持ってないみたいだけど、持てないくらいデカいのか?」

「きっともてないの! すごいおおきいの!」


 大興奮のみーちゃんだ。そんなに大きいのなら俄然興味が湧いてきた。


「じゃあ見に行こう。どこにあるんだ?」

「あそこなの!」


 みーちゃんが指さす先には・・さっき俺が座っていた岩がある。

 いや、待て。このパターンはお約束のアレなのか?

 俺達は件の岩に近づいていく。見た目はちょっと波打った岩だ。

 だが少し離れた場所から見たので気付いた。アレは確かに貝だ。


「座ったときは近すぎて気が付かなかったのか・・」

「ゆーちゃんこれに座ってたんだ・・」


 全幅二メートルはありそうな巨大な貝。シャコ貝だろうか?

 こんなデカい貝なんて見たことない。見た目も岩の色をしているので勘違いしても仕方ないと思う・・

 しかし・・これどうしたものか?

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シャコガイ出たー! とりあえず殴るしかないでしょ、グーパンで!
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