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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第二百話 渓流釣り

 キャンプが好きな俺なので、海よりも山のほうが好きだ。

 空気は美味いし景色もいい。季節によって表情を変えるので、いつキャンプに行っても楽しい。

 好き勝手な場所にテントを張るわけにはいかない。なのでいつか自分の山が欲しいなんて思ったりもしたが、そんな金も管理する責任も俺にはない。

 結局手の届く範囲で楽しむのが一番だ。やり過ぎはヨクナイ。


「・・モンスターがいなければいい場所ね」

「そうだな。セーフエリアにしか宿泊できないのが惜しい」


 地下九階、河川の上流エリア。

 下流側とは違い大きな川ではなく、川遊びができるような場所だ。

 この階にはピンクベアーという熊が徘徊している。

 文字通り林家もビックリなド派手なピンク色の熊で、自然に紛れる気などゼロのモンスターだ。

 戦ったことはないが、おそらく日本に出没する熊よりは弱いのではないだろうか。それでもここでは何度もエンカウントするので、危険なことには変わりがない。


「またくまさんがきたの」

「オッケー」


 とはいえ俺達の敵ではない。

 ピンクベアーには魔法も打撃も通る。レベルが高い俺にはコイツのパワーにすら負けない。

 良さげな釣りポイントを探しながら、エンカウントしたら殴って又はちみっ子達の魔法で倒していく。

 ちなみにドロップアイテムは肉ではなく毛皮だ。どうせなら熊肉が食べてみたかったが、文句を言ったところでドロップが変わるわけでもない。

 もちろん金にはなるので回収していくが。


「あの辺りにしようか」

「よーし、いっぱいつるの!」

「僕もやる! いっぱい釣っていっぱい食べるんだ」


 広く開けた見通しのいい川原があったのでそこに下りていく。

 ここならピンクベアーが来てもすぐに分かるだろう。

 川の側まで来た俺達は早速釣りの準備を始める。

 今回釣るのはちみっ子達に任せる。俺は釣ったそばから締めてアイテムボックスに放り込む役だ。

 釣り竿は一本だけなので、釣り役以外の子はピンクベアーが来た時の迎撃に回ってもらう。


「まずはみーちゃんからなの!」


 釣りの順番はじゃんけんで決めていたようで、最初はみーちゃんからのようだ。

 ギルドのお姉さんの話では、渓流釣りの場合でも海釣り用の竿でいけるそうだ。

 実際の渓流釣りは魚の警戒心が強く素人には難しいのだが、ここの魚にはそんなものはなくジャンジャン釣れるとの事だ。

 俺が焚き火の準備をしていると、さっそくちみっ子達が騒がしくなった。


「つれたの! ゆーちゃんぱすなの」


 魚のかかった竿をこちらに向かって振ってくるみーちゃん。

 俺は振り回されて来た魚をキャッチして針から外してやり、餌を付けて手を放す。その間にみーちゃんは次の釣り手のふーちゃんに竿を渡している。

 交代したふーちゃんは竿を再び川に向かって振り次の魚を狙っていく。実にシステマチックだ。

 ちなみに釣れた魚はお目当ての黄金の鮎ではなく普通の鮎だった。

 話によれば黄金の鮎がかかる確率は数%位らしい。一人一匹は難しそうだが、ちみっ子達の強運に期待しよう。


「さて、ここで食べる分は下処理をしないとな」


 焚き火に火を付けて、先程受け取った鮎をまな板に乗せる。

 ピチピチと活きの良い鮎の頭に包丁を入れて締めてから鱗を落とし、お腹を切ってワタを取り出していく。

 別に俺はワタごと食べてもいいがちみっ子達は苦いのは嫌だろうから、焼く分は全部取り出すことにする。

 水魔法で身をきれいに洗ってから全体に塩を振っていく。さらに尾とヒレには化粧塩もしておく。

 最後に串に刺して焚き火から少し離した地面に刺しておしまい。

 あとはじっくりと時間をかけて焼いていくだけだ。


「ゆーちゃん、僕も釣れたよ!」


 元気な声とともに魚がこちらに飛んでくる。

 先程同様に魚を受け取って餌をつける。今度はちーちゃんの番だ。

 今回も黄金の鮎ではない。身に斑点があるのでイワナだろう。

 川魚はどれも美味いのでどんどん釣ってほしい。

 俺は先程の鮎同様に下処理をして焼いていく。

 実際の渓流キャンプではこんな風に釣った魚を焼いて食べるなんてまず無い。

 先程も言ったが素人にはまず釣れないからだ。今みたいに焚き火で魚を焼いて食べるなんてテレビの中の世界の話。

 一般人に出来るのは川原でバーベキューをするくらいだろう。

 当然だが俺だって初めてだ。管理釣り場でニジマスなんかを釣って焼いて食べたことはあるが、やはり今みたいなシチュエーションはキャンプ好きには夢のような体験だ。

 ベストはここにテントを建てて寝泊まりしたいが、さすがにここでは無理だな。現状で満足しよう。


「・・ゆーちゃん! 金色よ!」

「マジか!?」


 珍しいちーちゃんの大声に振り向くと、確かに光を受けてキラキラと輝く魚がこちらに飛んできている。それをしっかりとキャッチして針を外す。

 さすがにちみっ子達も一旦釣りをやめてこちらへと集まってくる。


「きれいなの! おたからなの!」

「・・本当にキレイね。食べるのがもったいなく思えるわ」

「持って帰って水槽で飼ってみたい!」


 飼うのはちょっとなぁ・・

 黄金の鮎は全身が金色なのではなく、背中の本来黒い部分が淡い金色に置き換わっているようだ。あと尾やヒレも金色だ。

 ちーちゃんの言う通りちょっと食べるのがもったいなく感じるが、飼う気もない以上美味しくいただきましょう。

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