第百九十九話 川に眠るお宝
さてエビだ。色々と出てくれた。
伊勢海老が五個、ロブスターが二個、ウチワエビが二個、名前のわからないエビがたくさん。
とりあえず小さいサイズのものは今回は除外しよう。甘エビの場合は火を通したくないからな。
よく聞くクルマエビ、ブラックタイガー、バナメイエビあたりが火を通して食べるのに向いている。ここらへんはそこそこサイズが大きいはずだ。
まずは下準備から。それぞれのエビの頭と殻を外していく。揚げ物用は尻尾を残しておく。この際に剣先を切って中の水分を出して、揚げた際にパーンとなるのを防ぐ。あれ怖いのよ。
次に爪楊枝で尻尾の付け根あたりから背ワタを取り出す・・ダンジョン産だからかまったくワタがないな。まあ一応取っておく。
最後に片栗粉をまぶして身を洗えば下処理は完了だ。あとはお好きな料理に使っていく。
ってなわけで頑張って作りました。
まずはエビフライ。今回天ぷらは無しにした。美味しく揚げるためには準備が必要なのでめんどくさかった。
さらにその油を使って海老の頭の素揚げ。塩を振ったシンプルなものだが、酒のツマミには最高だ。
もちろん今は飲めないので半分はアイテムボックスにしまって、今度晩酌のときにいただこう。
お次はエビチリ。ちみっ子達向けに辛さ抑えめになっております。
最後に八宝菜だ。野菜も食べないとね。
本当は伊勢海老も食べてみたかったが、疲れていてこれ以上の気力はないです・・
「おまたせ、ごはんだぞー」
「すごい! エビだらけだ」
「・・作ってる最中からエビのいい匂いがしてたわ」
テーブルに集まってくるちみっ子達。
俺は食べ始める前に一人前ずつ料理を別皿に取って、貢ぎ物の準備をする。
「大精霊様、よかったらどうぞ」
ちゃんと白米も用意して大精霊様に料理を送り出した。
さて俺達も食べるとしよう。
『いただきます!』
まずは素揚げから行くかな。
揚げたてサクサクでシンプルな塩味のお陰でずっと食べてられるな。飲み会で出てきたら秒でなくなるやつだ。
ただし口先の尖った部分がたまに刺さって痛い。ゆっくり噛んで食べましょう。
次はえびふりゃーだ。もちろんタルタルソースは用意したが、自作する気力はなかったので市販のものを付けて食べる。
それでもやはり美味い。衣が分厚くエビが小さい悲しいエビフライとは違い、ちゃんとした洋食店のエビフライと同じく噛んだ瞬間にエビのプリプリ感が感じられる。
・・エビって感想が『プリプリ』しかないよね。食レポさせたらみんな必ず使うと思う。
次はエビチリ。俺はちゃんと辛いほうが好きなので個人的には物足りない。けどちみっ子達は美味しそうに食べているのでこれでいいのだ。あと紹興酒が欲しい。
最後に八宝菜。こちらは濃い味のものが多いのであっさりめに作った。
特に白菜の水分が口の中をさっぱりさせてくれる。
餡にはしっかりと海老の味が出ていてどこを食べてもエビを感じられる。
「えびふりゃーがおいしいの! みーちゃんのからだがしゃちほこになりそうなの!」
ならねえよ。どんなホラーだ。
まあ仮にしゃちほこになったとしたら、ウチの屋根に飾ってやるから安心しなさい。
「・・エビの頭も美味しいわ。こんなところ捨てそうなのに」
「確かに普段は捨てるが、今日は揚げ物をやったからついでに作ってみたんだ。美味しいしな」
「・・そうね。これはおやつにも良さそうだし、帰ったらさっきアイテムボックスに入れた分を出してもらおうかしら」
俺のツマミが狙われてるぜ・・
別のものをおやつに出して有耶無耶にしなければ。気付かれる前に食べてしまえばこちらの勝ちだ。
「ゆーちゃん、海って美味しいものがいっぱいあるんだね!」
「そうだな。まだまだ食べてないものがたくさんあるしな。楽しみがいっぱいだ」
「・・明日は何を倒して食べるのかしら?」
何かそのセリフは狩猟生活してる人みたいだな・・あながち間違ってはないのだが。
だが明日は狩りはお休みだ。
この地下六階からは川フィールドなのだが、その中でも二つのフィールドに分かれる。
今いる場所は下流部分。土手を歩いていると金◯先生を思い出すあんな場所だ。地下六階と七階はこの造りだ。
明日行く地下八階から十階は上流部分、渓流エリアになる。
思わず川原に降りて川遊びやバーベキューをしたくなるような場所だ。
子供の頃に秋川渓谷に連れて行ってもらって、釣りやバーベキューをした思い出が蘇ってくる。
そして渓流エリアでは今回また釣りをする。
とはいえ前回の五目釣りだった海釣りとは違い明確な狙いがあるのだ。
渓流エリアでのみ釣ることの出来る川魚のキングオブ女王(?)。
黄金の鮎が明日の狙いだ。
「おうごんなの? たかくうれるの!」
別に金で出来てるわけじゃないぞ。インディーが狙うお宝じゃないんだから。
ただ高く売れるのは間違いではない。それだけ希少な魚なのだ。
鮮度を保ったままギルドに持ち込めば一匹で二万前後になるそうだ。
俺なら鮎を締めた後でアイテムボックスに入れれば、最高の鮮度を維持したまま納品することも出来る。
・・もちろん俺達が食べるのが優先だけどな。




