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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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201/217

第百九十六話 季節外れの海水浴

 至福の時間も終わり、食後のお茶を飲みながら明日の予定を考える。

 今日はちみっ子達に無理をさせてしまったので、明日はみんなの希望を聞いてあげようと思うのだが・・


「明日何かやりたいことはあるか?」

「僕、せっかく海にいるんだし遊びたい!」

「そうなの。うみにきたらかいすいよくなの!」

「・・スイカ割りもいいわね」


 ダンジョンで海水浴ですか!?

 わざわざこんな危ないところじゃなくて、外でやればいいのに。

 そう言ってやるとちーちゃんから反論が出た。


「・・外では海水浴の時期にはちょっと遅いんじゃない? 仮にちょうどいい時期だったとしたら他のお客さんでいっぱいでしょうし」


 確かに、まだ暑いとはいえもう十月だ。海水浴シーズンではない。

 サーファー達ならいるのかもだが、海水浴をしていたら変な目で見られそうだ。

 ここなら誰の目を気にすることもないし浜辺を独り占めできる。

 

「でも水着はないぞ?」

「別に泳がなくていいよ。波打ち際で遊べればいいし」

「ぬれてもせんじょうまほうがあるの」


 便利ね洗浄魔法。

 まあ俺も海水浴なんて子供の時以来だ。次の海水浴が俺自身がちみっ子達を連れて来ることになるとは思ってなかったが、せっかくだしやってみてもいいか。


「じゃあこの階で海水浴に行くか。のんびりと羽根を伸ばそう」


 という事で明日は一日遊ぶことにした。

 ダンジョン内ではあるが、たまにはそんな日があってもいいだろう。



 ってなわけで次の日。

 朝食を食べてからセーフエリアを出発して、道中イールドッグを倒しながら浜辺へと着いた。

 昨日はイールドッグを倒すのが目的で見るのも嫌になっていたが、今日は遊びに行くとあってルンルン気分でキモ犬を倒してたまに戦利品も手に入れられた。


「やっぱりうみはいいの。みーちゃんのふぃーるどなの!」


 水の精霊のちみっ子はテンションが爆上がりである。

 北海道とかに連れていけばちーちゃんのそんな姿も見れるのかな? ちょっと気になる。

 とりあえずベースキャンプとしてテーブルとイスを出しておく。

 ビーチチェアやパラソルなんてものはないのでこれで我慢だ。キャンプ椅子はあるのでこれを代用としよう。

 あとイールドッグがいつ襲ってきてもいいようにカイザーナックルも側に置いておく。

 仮に装着が間に合わなくても強化スキルや魔法もあるので時間稼ぎは出来る。もちろん素手では触りたくないが、イールドッグ程度なら素手で殴り倒すこも出来るだろう。

 ちみっ子達はさっそく海に向かって走っていった。

 俺は周囲を確認してからキャンプ椅子に座る。ちなみにせっかくの海水浴なんで、Tシャツ短パンといった格好だ。

 リクライニングになっているキャンプ椅子に体を預けてのんびりとちみっ子達を見ていると、本当に父親になって子供達を海に連れてきたように思えてくる。

 そのちみっ子達は水を掛け合ったりサンドアートをしたりと楽しんでいる。

 ・・たまに魔法も使ってはいるが危険なことはしないだろう。魔法に関してはちみっ子達はベテランなわけだし。


「こうしてると眠くなってくるな・・」


 さすがにセーフエリアでもない場所で寝るわけにもいかない。

 一旦立ち上がり、缶コーヒーを取り出して飲む。


「ゆーちゃん! こっちにくるの」


 みーちゃんの声に振り向くと、三人揃ってこちらを見ていた。

 一緒に遊べということだろうか? とりあえず缶をテーブルに置いてそちらへと向かった。


「ゆーちゃん、ここに上を向いて寝そべって」


 到着するやふーちゃんが地面を指さしてそう言う。これは砂に埋められるパターンだろうか。

 子供達に砂をかけられる父親――そんなシーンを思い浮かべて楽しそうだと仰向けで寝そべった。


「じゃあちーちゃんやるの」

「・・任せなさい」


 みーちゃんがちーちゃんにGOサインを出すと、周囲の砂が蠢いて俺の体に被さってくる。ちーちゃんが魔法で操作してるようだ。

 あれ? なんか思ってたのと違うな・・

 そこそこの量の砂が俺の体を包み込むと、今度は各所のディティールを整えるべく砂が削れていく。

 そして完成したのが・・


「あはは、ゆーちゃんむっきむきなの」

「・・なかなかの完成度だわ」

「ゆーちゃんカッコいいよ(笑)」


 首をひねって自分の体を見てみる。なんか見覚えのあるマッチョボディだ・・

 あ、シロタイツ・マッチョの体になってるのか! 超バッキバキじゃん!


「ちーちゃんの言う通りすごい完成度だな。あとふーちゃん笑うんじゃないよ」


 ちーちゃんならここの砂で、等身大の家でも城でも作れるんじゃないだろうか?

 三人はひとしきり俺のマッチョボディを鑑賞すると、満足したのか砂をどけてくれた。


「ゆーちゃん、いっしょにかいがらあつめをするの!」

「はいよ。お付き合いしましょう」


 次のちみっ子らしいイベントに参加するために、立ち上がって砂を払い落とす。みーちゃんが浄化魔法でキレイにしてくれたが、どうせなら今日は外に出て福寿荘の温泉に入りたいな。

 後でちみっ子達の意見も聞くことにして、今は貝殻選手権に参加しよう。

 これが終わったらスイカ割りをして、お昼はやっぱり焼きそばだな。

 俺は海水浴の黄金ルートを考えながらキレイな形の貝殻を探すべく目を凝らした。

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