第百九十五話 ウナギ美味し蒲焼き
皆さんいつも感想ありがとうございます。
イールドッグがウナ◯イヌだと気づいた皆さん、私と同世代かな?w
ちみっ子達と協力して一日中イールドッグを倒し続け、目標の百個に到達した。倒した総数は千体くらいいったかもしれない・・
ちなみに昼飯はセーフエリアに行かずに、砂浜にイスとテーブルを出して堂々と食べた。
もちろん食べてる間もイールドッグが襲ってくるのでイスに座ったまま返り討ちだ。ドロップ品はメシの後でまとめて拾った。
ウナギの身百個・・とは別に少量だが肝と骨のセットも手に入った。これで肝吸いも作れるぜ。
「さすがに疲れたな。ってか飽きた」
「もうきもちわるいわんこはみたくないの」
全く持って同感だ。夢に出てきそうで怖い。
ちーちゃんとふーちゃんもさすがにお疲れモードだ。
イールドッグを倒しつつセーフエリアに向かっていたので、すぐに到着できたのが救いだった。
みんなでログハウスに駆け込んで、とりあえず床にゴロンと寝転んだ。
「もう動きたくなーい」
「・・ゆーちゃん、甘いものが食べたいわ」
もちろんすぐにお嬢様の要求に応える。頑張ってくれた三人にはちゃんとご褒美をあげなきゃだ。
アイテムボックスからカップアイスを三つ取り出す。
「これおいしいやつなの!」
「一日頑張ってくれたからな。これくらいお安いもんだ」
出したアイスはお高いやつ。いちご味のダッツだ。
普段は百円くらいのアイスだが、今日はあげてもいいでしょう。
ちみっ子達はさすがに床で食べることはせずに、アイスを手にテーブルに向かった。
さて俺は俺でウナギの仕込みを始めないとな。
骨を使ってタレを作るのでちょっと時間がかかるだろう。その点、ウナギの身がすでに開かれているのは助かる。
みんなの腹が限界を迎える前に出来上がるといいな。
間に合いませんでした。
バーベキューコンロを使って炭火でじっくりとウナギを焼いているのだが、何度もタレつけては焼くのを繰り返すと暴力的な匂いが建物内に広がる。
ちみっ子達の目はウナギに釘付けになっていて、俺も含めてみんなの腹が大合唱を奏でている。
「ゆーちゃん・・まだ食べられないの? 僕もう限界だよ・・」
「気持ちはすごくわかる。俺だってこのウナギにかぶりつきたいんだ」
『ウナギは匂いを食わすもの』と言うが、匂いだけでは腹は膨れるどころか減る一方だ。
もはやアイスを食べたことなどちみっ子達の中では忘却の彼方だろう。
すでに肝吸いは出来ているので、ウナギさえ焼き上がればすぐに食べられる。
本来は丼の上にウナギを乗せたら蓋をしてしばらく蒸らすのがいいらしいが、そんな事をしてたらちみっ子暴動が起きるだろう。
革命軍を抑えるためにも焼き上がったらすぐに食べよう。
「そろそろ先頭の方はいい感じかな?」
焦げてしまっては台無しだ。このあたりでいい・・と思う。
ちみっ子達に肝吸いを用意してもらい、俺は丼にメシをよそう。
焼き上がったウナギをまな板の上に置いて慎重に串を外していく。
後はウナギを丼に乗せて、タレを回しかければ完成だ!
「俺は全部焼いてから食べるから、先に食べてていいぞ」
『いただきます!』
俺がそう言うと一切の躊躇もなくうな丼に食らいつくちみっ子達。
俺もさっさと食べたいが、おかわり分とストック分で20枚ほど焼いている。
アイテムボックスに入れておけばいつでも焼き立てのウナギが食べられるのだ。
腹の虫をスリッパで叩きながら、なんとか全部焼き上げた。
その頃にはちみっ子達が食べ終わり――
『おかわり!』
二杯目を要求してきた。あの丼普通に一人前あるんだけどな・・
ちみっ子達のぽっこりお腹を心配しつつ、ご飯軽めで二杯目を作ってやる。
そしてそれとは別に普通盛りと大盛りを一つづつ。
「大精霊様、よかったらどうぞ」
と、昨日に引き続き大精霊様に奉納を行う。どうせタカられるだろうし。
目の前でフッと消える二つの丼。
「おおぉぉぉ・・よくばり大精霊め・・」
鳶に油揚げを攫われてorzとなった俺。
まだまだウナギはあるとはいえ、目の前でお預けを食らうこのやるせなさよ・・
気を取り直し俺分の大盛りうな丼を作る。二度と奪われまいと丼からは片時も手を離さない。
さすがに二杯目はゆっくり食べているちみっ子達と共に、俺もようやくうな丼を食べ始めた。
「ゆーちゃん、これすごくおいしいの!」
「お箸がぜんぜんとまらないよ!」
「・・これがあのイールドッグから出たなんて信じられないわ」
まあ普通はウナギは川で捕れるものだしな。あんなキモ犬から出るのがおかしい。
興奮しているちみっ子達をよそに俺も丼をかっこむ。
まさに至宝。
プロが作ればもっと美味しくなるのだろうが、これでも十分に美味い!
焼き立てのふっくらパリッとしたウナギとタレとの激烈な味を、白米が絶妙に中和して無限に食える味になっている。
酒を飲むならウナギ単体でもいいが、やはり丼にしてこそその真価を発揮するものだ。
手間暇と労力はかかるが、これがぼぼタダで食えるなんて最高じゃないか。
外で食べたらン千円はするだろううな丼も、ここでならおかわりも自由だ。
今ならさっきの大精霊様のご無体も余裕で水に流せる。
結局俺は大盛りうな丼を三杯食べて満足できた。




