第百九十一話 ゾンビは墓へ
朝食の時間となったのでみんなで食堂へと移動する。
・・あの屍達はみんな帰ったのだろうか? 二日酔いの呻きを上げるゾンビたちの中で朝飯は食べたくないのだが・・
「おはようさん。ちゃんと起きてきたな」
「おはようございます。ちみっ子達は夜ふかしせずに寝たので問題なしですよ」
食堂に入ると味噌汁の香りとともに康介さんが迎えてくれた。
康介さんが配膳をしてくれているところを見ると、女将さんは別の仕事をしてるのか?
「ウチのは動けない酔っぱらいどもを車で家に運んでるところだ。朝からあんな惨状を子供達に見せるわけに行かないからな」
「助かります。お祝いで騒ぎたいのはわかりますが、アレはちょっとね・・」
あんな大人のダメな部分を見せるのは、ちみっ子達の教育によくありません。
酒は飲んでも飲まれるな。程々に楽しむものだ。
「ぼうけんしゃなんていつもあんななの」
「・・ゆーちゃんも今朝まで飲んでたのよね?」
「別に珍しくもないよね」
「本城さん・・」
おっとちみっ子達よ、それ以上はノンノンだ。
事実を知った康介さんが呆れて白い目で見てるじゃないか。
冒険者たちの飲み会は立派な情報交換の場なんだぞ・・二割くらいは。
「とりあえず冷めないうちに食べちまいな。俺はちょっと仕事をしてくるから、おかわりはここから自由にしてくれ。食べ終わったらそのままでいいからな」
テーブルに置かれた炊飯器と味噌汁の入った鍋を指してそう言った。
ダンジョンに入るのだししっかりと食べさせてもらおう。
『いただきます』
康介さんが去っていき俺達はさっそく朝食を食べ始めた。
内容はシンプルな和食だが品数が豊富に揃っている。
メインは鯵の干物だ。これだけでも美味そうだが、他にもだし巻き卵やしらすおろし、好きに使えとばかりの納豆や瓶に入った海苔の佃煮など、十種類以上のおかずがある。
こんなの無限に白飯が食えるぞ。
「おにくはないけど、みんなおいしいの」
「胃に優しい朝食だな。まあおかわりしまくってたらあまり意味がないけどな」
最近はこんなにまともな朝飯は宿に泊まったときくらいしか食べないが、やはり和朝食は体と心に染みるものがある。
自分ではなかなか作らないが、たまには常備菜くらいはいくつか作ってみるか。パンばかりでは味気ないしな。
さて、ゆっくりと朝飯を楽しんでいると玄関の開く音が聞こえてきた。女将さんが帰った来たのだろう。
遠くから聞こえた足音がこちらに近づいてきた。
「みんなおはよう。ちゃんと食べてるわね」
「朝から大満足ですよ」
そう言うと女将さんは満足そうに笑った。
ちょうどいいのでこれからの事を話しておくか。
「女将さん。俺達はこれから数日ダンジョンでキャンプして地上に出てを繰り返す予定です。表に出た日はまたここを利用しようと思うんですが、混雑状況はどんな感じですかね?」
「アンタたちならいつでもOKだよ。満室の場合でも予備の部屋は必ず用意してあるよ。そもそも繁忙期でもなければ満室になんてならないしね」
そういえば前回も今回も他の客を見ないもんな。
・・経営は大丈夫なのか気になってきたぞ。
「じゃあダンジョンから出たときにはすぐに連絡しますね」
「ええ。遅い時間の連絡でも大丈夫だから、無事にダンジョンから出てくるんだよ」
「わかりました」
水神社の地下一階ではモンスターは全く現れないがそれ以降は別だ。
観光気分とはいえ、気を抜きすぎるものじゃない。
俺達は残りの朝食もしっかり食べ、荷物をまとめて宿を出発した。
「まずは買い出しからだな。いろいろな魚料理を作れるように買っておかないとな」
「僕お刺身が食べたい!」
買い出しのかいのない料理が出たな・・
たしかに美味しいのはわかるが、もうちょっと何かないのかい?
「・・新鮮な魚は塩焼きにするだけでも美味しいわよね」
・・もう醤油と塩だけでいいかい?
確かにウチでは肉料理ばかりで魚はたまにしか食べなかったから、ちみっ子達があまり魚料理を知らないのもわかるが・・
こうなったら美味しい魚料理でちみっ子達にわからせだ!
気合も十分に女将さんに教えてもらったスーパーへと向かう。
九時開店だそうなので、時間的にもちょうどいい店だ。
「おかしもひつようなの!」
・・みーちゃんはせめて魚料理を言おうか。
買い出しも終えて、俺達は水神社のギルド『竜宮館』に到着した。
料理用の食材や調味料をこれでもかというくらい買って、ついでに三人におねだりされた『レディース魔法少女 深紅の響子』のフィギュア付き食玩も買った。
最近の食玩は良いお値段するよな・・
子供達はグ◯コのおまけでは満足できない時代なのか。
まあアレは大人になってからこそ味わい深さがわかるおまけだものな。
それにあの飴ちゃん自体もなかなか美味しいし。
一粒で300mというバフまで付く脅威の食品だ。ぜひ運動会のときにでも食べさせてあげてください。
・・まあここまで語ったが、結局グリ◯だとポッ◯ーばかり食べてるんだけどね。
子供の頃はサイダーの入ったグラスにポ◯キーを刺してるのを見てオシャレだと思っていました。
きっとバブル期あるあるさ。




