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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第九十八話 手に入れた物の価値

「泣いちゃってごめんなさい。僕ふーちゃんです」


 あれから泣いているふーちゃんをあやして、龍二さんはちゃんと人間であると説明した。

 みーちゃんとちーちゃんも龍二さんをペシペシ叩き、襲ってこないよと見せてあげた。


「泣いたことよりも魔物扱いの方が・・まぁいいか」


 釈然としない龍二さんだったが、とりあえずは気にしないでいいようだ。

 そしてこの騒動のおかげで良くも悪くも俺へのヘイトは龍二さんに移った。

 あとは女性職員たちの目がギラついてはいるが、これだけ混んでいては3人を連れ去りには来れないだろう。

 

「私たちはこれから夕食なんだが、君たちも一緒にどうだい?」


 高倉さんが俺達も食事に誘ってくれたので、アレンも含めて食堂に向かうことにした。

 元々は仕事仕事でろくに休んでいない高倉さんを、龍二さんが強制的に仕事を終わりにさせて夕食に引っ張り出してきたようだ。


「ふーちゃん、ここはぱふぇがおいしいの!」

「・・あんみつもいいわよ」

「君たち、まず食事にしなさい。甘いものはその後で」


 隙あらば甘いものを食べようとするちみっ子達にそう釘を刺してから、俺もメニューを見て自分の注文を考える。

 最近肉ばかり食べてる気がするから、今日は刺身定食にでもしようか。

 どうせなら飲みたいけど、まだ車の運転があるから駄目だな・・

 みんな注文が決まったようなので、呼び出しボタンを押して各々注文をお姉さんに告げた。


「豊、とりあえず連絡ついたぞ。今日は電話の後から潜ってるそうで、8時ぐらいに上がるそうだ」

「ならメシの後待ってればいいかな。アレンも時間があれば付き合ってくれないか? 渡したいものがある」

「いいですよ。でも渡したい物って何ですか?」

「それは後でのお楽しみだ」


 アレンにも魔導具を渡すつもりだったのでちょうどよかった。

 ちなみに連絡を取ってもらったのは以前フラワージュエルを譲ってくれた冒険者、名前は尾崎(おざき) 倫也(ともや)というそうだ。

 少しでも彼にお礼をしたくて、今回の魔導具を渡すために以前彼を飲みに連れて行った龍二さんに連絡を取ってもらったのだ。

 彼らもパーティーを組んでるそうなので今回の魔導具は役に立つことだろう。


「豊、気前よくみんなにあれを渡してるが、売りに出す気はないのか?」

「ないですよ? 知らん奴に売るぐらいなら、知ってる人達に配ります」


 そもそもこの魔導具はお土産として買ってきたものだ。

 転売する気などさらさらない。

 しかし龍二さんも高倉さんもそんな俺の言葉に苦笑いをする。


「アイテムボックスのスキルブック、アイテム袋、それに今回の物もだが、オークションにかければどれでもすごい値が付くんだぞ」


 アレンの手前、一応魔導具の事は伏せてくれてるようだ。

 龍二さんの言うとおり、スキルブック一つ売っただけでも一生遊んで暮らせるくらいのお金が入って来ただろう。

 しかし俺は金持ちになるために冒険者をやってるわけじゃない。

 何より大精霊様が俺のために用意してくれたスキルブックやダンジョンなわけだ。それを売って金を手に入れようとは思わない。

 お金に関しては魔石やドロップアイテム、異世界の方では素材を売ればいいだけの話だ。

 それに大金持ちになっても妬みややっかみを受けるだけ。そんなのはごめんだ。


「欲の無いやつだな。普通なら売っぱらって大金を手に入れて冒険者やめるだろうに」

「もちろんお金は必要でしょうけど、そのために冒険者になった訳じゃないですからね」

「ははっ、本城君らしいね」


 そんな感じで笑いあってると、ふとアレンが静かなのに気付く。

 アレンの方を見ると何やら青い顔をしていた。


「どうしたんだアレン?」

「ユタカさん、何か今の話の流れだと随分と高価なものをくれようとしてませんか⁉」

「値段はよくわからないよ。便利なアイテムってだけ」

「まあ、もし売りに出したとしたら合わせて200万ぐらいかね? そのぐらいだったら出すやつはいると思う」


 水の出る魔導具に関しては、セーフエリアで水が確保できることと水魔法が使える人がいれば必要ないので、そこまで高値はつかないだろう。

 しかしキャンプセットの方は別だ。アイテムボックスでもなければそんなもの持っていけない。

 長期間潜る人ほどこのアイテムの価値は高くなる。

 金のある前線組であれば数百万ぐらいポンと出しそうな気がする。


「そんなの貰えませんよ! 攻略の役に立つものならレンさん達にでもあげてください」

「今のあいつらには、ぶっちゃけ必要ないんだよね」


 アイテム袋を手に入れたレンたちにはキャンプセットは必要ない。もちろん水だって十分に持っていける。

 なんせハイエース一台分入るんだ。椅子もベッドも・・

 あれ、ベッド四台はきついか? まあそれならあげてもいいけど。


「数はまだあるし、気にしないでもらってくれ。ちみっ子達の衣装も作ってもらったわけだし」

「でも・・」

「ちなみに龍二さんは、足りないからもっとくれとねだってきたぞ」


 俺がそう話してやるとアレンと高倉さんが白い目で龍二さんを見た。

 さすがによろしくないと思ったのか龍二さんは慌てて弁明に入る。


「いや、最初にもらった分だけじゃパーティー解散の危機だったんだよ! そりゃもっとくれって言うだろう?」

「龍さん・・」

「それならばいっそ受け取らなければ良いのでは・・」

「あんな便利なもの貰わないわけないだろ!」


 あんた弁明する気あるのか?

 高倉さんとアレンの中で龍二さんの株は下がり続けているようだ。

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