三題噺第29弾「朝」「いけにえ」「最初の幼女」
今回選ばれた“いけにえ”は“最初の幼女”だった。
意味がわからないかもしれないけれど、この村には古き伝統、いけにえという制度がある。
いけにえにされた子は一年間、供物として祀られる。
供物として一年間祀られた後は、晴れて自由の身となる。
そんな中で、最初の幼女がいけにえとして選ばれるのは異例であった。
選ばれるのはだいたい、成人を過ぎた若者。
今回なぜ幼女が選ばれたのかというと、神のお告げという、いかにも不確かなもので決められた。
そして儀式の“朝”が迎える。
「神の烏帽子よ参られよ。今朝もまたいけにえをささげましょう」
「アーメン、ソーメン、ラーメン、タンメン──」
ただメンとつく言葉を適当に言っているだけだった。
「よいか、この一年間、自分の行いを全うするのじゃぞ」
「はい、わかりました」
幼女はうなずくだけで本当の意味はわかってないのかもしれない。
「さぁ行ってまいれ」
幼女は本殿へと収められてしまった。
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