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脳筋乙女の異世界花道(改訂版)  作者: 藤沢正文
第1章 命短し走れよ乙女 〜己の拳で切り開け〜
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就活生、ジョブチェンジする!



「どうすんだい、アンタ?」

「うぅ……どないしよ……」


 私は無銭飲食してしまった事実を女性店員(おばちゃん)に説明し謝罪した。

 勿論、逃げるつもりは毛頭ない。その事は店員も理解してくれているのだろう、少し困った様子で私の事を眺めていた。


「嬢ちゃん、見た所悪い人には見え無いし、お金は持ってるみたいだしね。見た事ないお金だけど」

(うち)も『食い逃げ』するつもりで注文した訳ちゃうねん」

「わかってるよ、けどねぇ。銀貨一枚分のお代を無かった事にする訳にはいかないからね」


 私は何度も頭を下げ、店員もどうしたものだろうと頬に手を置いて考えている。

 おばちゃんの話によると銀貨1枚はこの辺りの平均日給より随分と多いらしい。そんな話を聞かされれば食べた分は皿洗いで、などと提案しづらい。


 「「…………」」


 そんなやり取りをしている最中、聞き覚えのある声が店の入り口から聞こえてきた。

 お客さんが来店した為、店員は『いらっしゃい』と笑顔を向けて声を掛ける。


「さっきは酷い目に遭いやしたね〜」

「全くだッ! 今度会ったら……」


 席につき、何やら話こむ二人組に私は視線を送る。どこかで見たことある二人組(チンピラ)だ。

 まじまじと見つめる私の視線に向こうも気がついた様子で、二人はふとこちらを振り向いた。


「あッ!」

「「げッ!」」


 視線が合ったと同時に、お互い声を上げた。

 私は彼らを指差し、チンピラは注文もせず慌てて店を出ようと逃げる。


 逃げられると不味い。


 そう直感で感じた私はすぐさま彼らを追いかけ、店から出る直前で二人を捕まえた。

 注文を取りに戻ってきた店員に、私は二人の首根っこを掴みながら微笑んだ。


「おばちゃん。私のお代、このお兄さんが払ってくれるわ!」


 思いつきで喋った私の話に『あら、知り合いがいたのね!』と自分の事のように店員は安堵した。

 一方で、何が何だからわからないと混乱している二人組は暴れはしないが、鋭い視線を私に向ける。


「おい! ちょっと待て、どういう……」

「そやんなぁ?」


 お兄さんの話を遮って、私は微笑む。



【ステータス情報】


【名 前】 朝比奈 薫

【年 齢】 17

【職 業】 異世界から来たチンピラ

【レベル】 2

【体 力】 210

【魔 力】 110

【攻撃力】 110

【防御力】 120

【俊敏性】 110


※スキルなどの詳細は後ほど

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