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脳筋乙女の異世界花道(改訂版)  作者: 藤沢正文
第1章 命短し走れよ乙女 〜己の拳で切り開け〜
4/22

就活生、勘違いに気づく。



 私の隙の無い完璧な謝罪にお兄さんは為す術を知らない様子だった。


 勝った。


 私はそう確信し、顔を上げた。


「それじゃあ、有り金全部出しな」

「はい?」


 このお兄さんは何を言っているのだろう。意味がわからず、私は首を傾げた。

 いや、意味はわかる。寧ろ私がよく知る状況だ。でも……


(まさかやけど、面接中に恐喝(カツアゲ)すんの?)


 いや、もしかすると社会人には、恐喝にあった際に必要な立ち振る舞いがあるのかもしれない。手早く、解決する方法は私も知っている。けれども、私が知っている方法で解決してしまえば、この面接は文字通り『終わり』だ。


(クソッ何で先生(センコー)は、そんな事も面接の練習で教えてくれんかってん)


 まあグタグダ言っても仕方ない。ここは私自身の力で乗り切るしかないだろう。

 私は覚悟を決めて、お兄さんに向かって再び視線を向ける。


「だ・か・ら! 持ってる金目の物を出せって言ってるんだよ」

「申し訳ありません。今持ち合わせが無くて……」


 もう一度お兄さんに謝罪し、出来るだけ穏便に済ませれるように事情を説明する。


「別にお嬢ちゃんの身体で払ってもらってもいいんだぜ〜」


 お兄さんの取り巻きが話に割り込んで来たかと思えば、録でも無いことを言い始めた。私に非がある手前、邪険に扱う訳にもいかない。


(あー。完璧に変なこと考えてるわーコイツ。マジキモい)


 ねっとりと付き纏うような視線を向ける取り巻きの男を殴りそうになるのを堪えて、私はお兄さんに視線を向ける。


「俺は嬢ちゃんみたいなのも好みだぜ〜」

「すいません。そうゆーのはちょっと……」


 もしかしたら上司や取引先でセクハラ紛いの事をされた時にどういう反応をするのか試しているのかもしれないと、出来る限りの笑顔を取り繕って取り巻きの話を断る。


「取り敢えず一緒に来てもらう」


 一通りのやり取りを終えるとお兄さんが話を終えて歩き始めた。


(あれ? なんかやってもた?)


 もしかすると私は失敗してしまったのかもしれない。できる限り取り繕った筈だが、もしかすると顔が引きつっていたかも知れない。

 まあ、あれこれ考えても仕方がない。とりあえずこれで面接は一旦終わりだろうと、私はお兄さんの後をついていく。


(ん? なんかおかしいで)


 後をついて行くのはいいが、どうも行き先は裏路地のようだ。どう考えても、こもままついて行くのは不味い気がする……

 あ、でも単純にこの場所の出口へ案内する為にお兄さんは誘導してくれているかも知れないし……


 でもあれや、明らかに取り巻きのコイツは私をいやらしい目で見てくるし、ここで逃げなきゃ確実にヤバい気が。


(あーもぉ! どうしたらいいねんッ!)



 ***



 っという訳で、付いて来てしまいました。明らかに路地裏です。薄暗いです。他に人がいないです。


 …………。


(これはもう聞くしかないな。)


こういった状況で面接官に質問すると減点になるって言われていたが、流石に聞かないと不安だ。私は意を決して、お兄さんに質問することにした。


「すいません。これって面接……です、よね?」


 私が声を掛けると、先を歩く二人は足を止め振り返った。


「はぁ? 何言ってんだ。お前『馬鹿』なのか?」


 …………。


 どうやら私は勘違いをしていたらしい。お兄さんの言葉と二人の表情から嘘や冗談を言っている訳ではないと何となくわかる。


 という事は、先程のやり取りは面接でもなんでも無く、ただチンピラに絡まれて恐喝(カツアゲ)されていただけらしい。私が頑張って我慢してたあれこれは無意味だったという事だ。


 更に言えば、お兄さん(コイツ)は私の事を『馬鹿』と言いやがった。『阿呆』ならまだしも『馬鹿』と言いやがったのだ。


「人が下手に出てると思って、調子に乗んなやワレ!」



【登場人物紹介】


【朝比奈薫】

 府立入江高校三年生 女 17歳


 趣味:喧嘩

 特技:空手

 備考:一刻も早く卒業してほしい生徒(担任談)



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