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脳筋乙女の異世界花道(改訂版)  作者: 藤沢正文
第1章 命短し走れよ乙女 〜己の拳で切り開け〜
3/22

就活生、実力を試される?



「……はろぉ〜。はうあーゆー?」


 確か初対面の人への挨拶はこれだったはず。と私は笑顔を取り繕い、知っている英語で話しかけてみる。が、通じていないようで強面のお兄さんは間も変わらず腕を組み私を睨みつけている。


「えーっと……ワタシ、ニホンゴ、ワカ……じゃないわ。ワタシハー、エイゴー、デッキマセーン」


 もう一度、お兄さんに私が英語ができない事を伝えようと、ジェスチャーを含めて私は意思疎通を図る。すると、ようやく通じたのかお兄さんは重い口を開いた。


「何を訳のわからない事を言ってるんだ。ぶつかってきて謝罪もないのかよ」


(わー。思いっきり日本語やん)


 私は恥ずかしくなって、思わず顔を伏せてしまった。頭から湯気が出るんじゃないかってってくらい恥ずかしい。多分耳まで真っ赤だ。


(あちゃー、やっちまったー。めっちゃ恥ずいやんッ!)


「おい! お前! 舐めてるのか!?」

「兄貴アニキ、こいつ上等な服着てますぜぇ」


 羞恥心に打ちひしがれそうになりながらも私が顔を上げると、逆に顔を真っ赤にしたお兄さんが仁王立ちしている。よく確認していなかったが、お兄さんは良い体格(ガタイ)をしてて如何にも腕っぷしで何でも解決しますよって感じだ。

 そして、その取り巻きだろう少し小さめの……というか小太りの、なんか小狡そうな感じの若い男が私の服を指差し、体格のいいお兄さんに何やら耳打ちしていた。


 どう考えても、体格のいいお兄さんはご立腹だ。そう言えば英語で話す事ばかり考えていて謝罪がまだだったことに気がつき、私は慌てて頭を下げた。


「申し訳ございませんでした!」


 …………!


 我ながら見事な謝罪である。最敬礼の更に上、謝罪会見でも滅多に見られない90度頭を下げての謝罪。これなら多少のミスも許して貰えると、面接の練習でまず一つ目に先生から教わったのだ。


「わ、わかればいいんだよ、わかれば」


 少したじろいでいるように見えたが、私の誠意が伝わったのか、お兄さんは謝罪を受け入れてくれた。


(行ける! これやったらこの面接を突破出来るかもしれんッ!)


 私は心の中でガッツポーズをした。



【登場人物紹介】


【朝比奈薫】

 府立入江高校三年生 女 17歳


 趣味:料理、読書

 資格:簿記4級

 備考:面接資料より


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