表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋乙女の異世界花道(改訂版)  作者: 藤沢正文
第1章 命短し走れよ乙女 〜己の拳で切り開け〜
2/22

就活生、異世界に立つ!



 目の前の状況に、(うち)はめっちゃパニクってる。


 さっきまで志望企業の面接会場にいて、自分の名前がいつ呼ばれるのかとハラハラしながら待っていたのだ。もう何社目かってくらい面接を受けてるけど、未だに面接には慣れない。


(というかそんな事はどうでもええねん。これはどういう事やねん、責任者出てこいや)


 と心の中で叫びながら私は辺りを見回した。案内されたドアをくぐった先は面接室……ではなく、全く知らない街の中なのだ。


 普段の私なら先の心の声をそのまま口に出していただろう。しかし流石の私も両手で数えきれないくらいの企業に落ちれば学習する。

 思った事は口に出したらいけないという事。そして、もしかするとこの状況が面接なのかもしれないという事をだ。


 最近の流行なのかタシュタヨーな人材を求める企業は『グループなんたら』や『なんたらかんたら』を面接に取り入れているらしい。それを踏まえて考えると、もしかするとこの状況も面接……なのかもしれない!

 しかし、しかしだ。どれだけ頭が悪い私でも、この状況が普通じゃない事くらいは理解出来る。勿論、私の頭が余りよろしく無いのは自分でも理解しているし、それは企業に提出した成績書にも書かれている事だ。


 私は無い頭をフル回転させて、精一杯考えた。


 …………。


「よ、よろしくお願いします。」


 やっぱり、もしかするとこれは私の社交性を見極める為の面接の一環なのかもしれない。そう思った私は人々が行き交う道に向かってまず一礼したのだ。


 …………。


 だが、人々が私を見る視線はとても冷たい。


 それもそうだろう、『黒髪』で『スーツ』を着ているような人物は見渡す限り私しかいない。取り敢えず、道端で立ち止まっているのも不自然なので、私は人の流れに任せて歩く事にした。



 ***



 歩きながら行き交う人々を観察してるとまず目に着くのが人々の頭髪だ。金髪、茶髪や赤髪、それから青髪や緑髪など様々で逆に私のような黒髪は今のところ見当たらない。

 その次が人々の服装だ。海外ドラマとかで見た事のある服装で、シャツとかジャケットとかでは無くなんか安っぽい服を着ている。あと鎧を着た騎士なんかも中にはいた。


(ここは外国なんやろか?)


 ヨーロッパっぽい街並みが広がる通りに出店が所狭しと立ち並ぶ通りを歩きながら私はそんな風に思った。その時、私はある事に気がついた。


 もしかすると、この面接は英語でのコミュニケーション能力も試すものかもしれないという事だ。


(せやったら、どないしよ……)


 そう思った私は顔を伏せ溜息を吐いた。私は英語がまったく出来ないのだ。どうにか出来ないかとあれこれ考えても出て来るのは冷や汗だけ。

 私は考える事をやめて、顔を伏せながら溜息を漏らした。


 きっとこの会社も落とされるだろう……。これで何社目だろうか?


 確かに私の素行は他の女生徒に比べればあまりよろしくなかったのは確かだが、他の就職組の同級生は全員が内定を貰っているというのに私一人だけ未だにどこからも内定を貰っていない。

 血生臭い泥に塗れた生活から抜け出し、社会人となり仕事をして、時に叱られ、時にはオフィスラブで心をときめかせる。そんな理想のOLライフを満喫する、その一歩目を私は未だに踏み出せないのだ。


 ドンッ。


 下を向いて歩いていた為か、何かにぶつかってしまったようだ。慌てて顔を上げると、そこには強面のお兄さんが私を睨みつけながら立っていた。



【ステータス情報】


【名 前】 朝比奈 薫

【年 齢】 17

【職 業】 召喚された就活生

【レベル】 1


※詳細は後ほどに


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ