砂漠ガエルを調理
「捕まえてきましたよ。」出かけていたアオは戻ってきて言った。
手には3匹のまだ生きたままの砂漠ガエルを持っていた。
砂漠ガエルは体長20センチはある大きなカエルである。
シロはうんざりした顔をしたが、
「何も食べないわけにもいきません。」
アオは短剣を持つと、手際よく砂漠ガエルの頸椎を刺し、皮を剥ぎ、内蔵を取り出した。
「じきに夜が来る。夕食だ。」
シロはズタ袋から、枯れ葉やら小枝やらを取り出して、虫メガネを使って火を起こした。
「焼いて食うのだ。」
皮を剥がれた砂漠ガエルを枝に刺すと、火にくべた。
シロが言うように、少しすると砂漠は夜になった。
「まずい。やっぱり、まずい。本当は塩でもあれば良いのだがな。」ぶつぶつ言いながらもシロは砂漠ガエルを食べていた。
昼間に比べると、砂漠の夜はずいぶんと寒く感じた。
クロ王子は焚火に近づき、シロからもらった衣をよりいっそう強く体に巻き付けた。
王子にとっては(当たり前のことではあるが)、砂漠の夜というのは初めての体験だった。
満天に無数の星が見えた。
これまでも夜空の星はいくらでも見てきた。王子は星が嫌いだった。なぜか冷たく淋しく感じるからだ。
しかし、こんな星空は初めてだった。今夜は淋しくは感じなかった。
≪登場人物紹介≫
・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。
・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。
・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。