砂漠の衣服
「それにしてもお前、その王子様みたいな服はいかんな。それと髪の毛もな。」
シロはクロ王子の髪の毛を無造作にバサバサと触った。
「お前の頭、いい匂いがするな。それにサラサラだ。」
ああ、そういえば父王に白い粉をかけられたのだと、クロは思い出した。
シロは、持っていたズタ袋から、やや小さめの布と大きめの布を取り戻した。
「小さい布は頭に巻け、大きい布は体に巻け。」とシロは言い、クロに渡そうとした。
クロは受け取って良いのか、一瞬戸惑った。
「あはは、良く洗って良く干してある。そう汚くはないな。少しはくさいかもしらんが。」とシロは笑った。
「余は、余は、別に、汚いなどどは、、思うておらぬ。」
クロは布を受け取り、大きめの布を羽織り、小さめの布を頭に巻いた。
しかしシロは、頭の布の巻き方を気に入らなかったようで、
「なんだターバンの巻き方を知らんのか。」と言い、小さめの布を取り返すと、
「砂嵐がきたら、お前のそのサラサラ髪の毛もすぐにボサボサになるぞ。」と言った。
シロは、クロの頭にその布切れを丁寧に被せると、おでこのところで何回か交差させて、クロの頭を完全にターバンで覆った。
それは手際が良くてクロ王子は関心した。
「ありがとう。」クロは小さな声で言った。
≪登場人物紹介≫
・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。
・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。
・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。