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漂流挿話(1)
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クロ・ト・ジュノーは、西域の王の城の地下の遺跡から消失した後、元の世界へ戻る途中、様々な空間軸・時間軸を漂流していた。
ある時、ある場所では、彼の体は半透明であったし、
ある場所では、おしゃべりな朝顔と楽しく会話した。
ある時、ある場所では、彼の体はまったくの別人のようであったし、
ある場所では、深く誰かと恋をした。
ある時、ある場所では、ざあざあ振りの雨の中、
二匹の雨蛙を捕まえようとした。
ある時、ある場所では、決して見てはならぬモノを見た。
それはすぐさま彼の記憶から消されてしまったけれど。
ある時、ある場所では、そこは島であり彼はとても穏やかな気分でいた。
島の名は限界島といった。博士が愛した島である。
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