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森と海の王国 (雨蛙は苔の中へ)  作者: 森野うぐいす
第四章 ≪世界の物語≫
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ゲンカイジマのゲンカイ・ナダ

雨が降っていた。森の中で。


男とシロとカモノハシ二匹は、大きな樹の下で雨宿りをしていた。


「ナダ殿はなぜこの世界に来たのだ?」野良のカモノハシが聞いた。


「さあ、俺が望んで来たわけじゃないが。このあたりは ' ゲンカイジマ ' か? 」


「そうですよ、この森の辺りの地域は ' ゲンカイジマ ' と呼ばれていますね。」


カモノハシはそんなの常識ですよ、というふうに答えた。


「ということはジュノー王家ゆかりの地であるな。」


「ゆかりも何も、ジュノー王国の領地なのだ。」カモノハシは言った。


「そうか、そうであったな、ついさっきまでクロ・ト・ジュノーと一緒にいたのだ。」


「クロ・ト・ジュノー?あの伝説の暗黒王か?、ということはお前は過去からやって来たということか?」男が聞いた。


「いや、未来のはずだが。ああ、しかし、話しがややこしくなるからどちらでもいいのだ...。」


「それより、お前はラド・シエナであろう?」シロは聞いた。


男はたじろいだようだ。


「なぜ、俺のことを知っている?」男......ラド・シエナは聞いた。


「俺はだいたいどんなことでも知ってるんだ。ほぼ全知なのだ!」


全知?


「だが安心しろ、俺はほぼ全知ではあるが、全能とまではいかない。けっこういろいろできるけどな。」とシロは言った。


シロは、ほぼ?全知ではあるが、全知全能ではないと言っている。どういうことであろうか。


「お前は何をいっている?お前は何なんだ?」


「俺はシロだ。さっきも言っただろ?本当の名はゲンカイ・ナダだ...。」


「あのな、名前を聞いてるんじゃなくてな、何者なんだ?」


「知らん。」とシロは言った。


ほぼ全知と言うわりには、自分のことは知らんというのか。言いたくないということだろうか。


「知らん......というかうまく説明できないんだ。自分のことを言おうとすると、アタマの中がうすぼんやりして言葉が出てこなくなる。」


「ナダ殿のことは、厳重にアクセス・コントロールがかけられているからね。」カモノハシは言った。


「まさか、ナダ殿自身にもコントロールがかけられているとは思わなかったが。」もう一匹のカモノハシも言った。


「ねえ、もしかしたら大僧正様ならアクセス・コントロールを解くことができるかもしれないよ。」


「いや、無理だろ。」


シロは言ったが、カモノハシは大僧正に会いに行きたいらしい。シロにとっては()()()()()()()()()()()()であったが、しつこく行こうと言うので、雨が止んだら大僧正のところへ行ってみることになった。


やがて、雨は止み二人と二匹は歩き始めた。


「気を付けてね。この辺りはたくさん穴があるから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あいつ、空から()()()()をたくさん落としたんだ。」


カモノハシは、先の大戦にてゲンカイジマがドラゴンによる空襲を受けたことを言っているのだろう。そのため、この辺りは次元の穴と呼ばれる穴がたくさん開いている。


カモノハシは ' 時 ' を見ることはできたが、彼らが見ることができるのはあくまで ' 時という次元 ' であり、' 空間の事象 ' ではない。彼らが見た ' 時 ' をこの世界の ' 空間の事象 ' として説明しようとすると、ドラクレアが行ったことのように認識されるようである。


後の歴史家も大蛇・ドラクレアを悪く考える者が多かった。しかし、実際のところその大戦については不明な点も多く、本当にドラクレアが行ったことなのかどうか実は真相は明らかにはなっていない。


≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。


・男 ・・・ 謎の男。名前はラド・シエナ。


・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。

・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。

・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。

・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。

・蒼井瑠香 ・・・ 医者。


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