表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森と海の王国 (雨蛙は苔の中へ)  作者: 森野うぐいす
第三章 ≪西域の王国≫
37/52

祈りの儀式

「大僧正様!」とニジュウヨジは叫んだが、もうそこにイチジ大僧正だったモノはいなくなっていた。


ニジュウヨジが新しいイチジとなったのである。



***



青い布で覆われた祭壇の上には、' ホウセイの木の花 ' が三つ並んでいた。


「もう絶滅してしまったと言われておりますが、かつて' ヨウセイの木' という木があったそうです。' ホウセイの木 ' は ' ヨウセイの木 ' ほど力がありません。」


「ですので、この町の僧侶達とともに祈りを捧げ、' ホウセイの木の花 ' の力を強めてございます。」ニジュウヨジあらためイチジは言った。


新しいイチジは、祭壇に向けてさらに祈りの言葉を捧げた。すると、祭壇の上の ' ホウセイの木の花 ' の放つ光が強くなった。


その光によって辺り一面が、よりいっそう青く照らされた。青く照らされたその空間はまるで"透明な青い海の中"であるように感じられた。


そして不思議なことに森の中をすり抜けるように、実際に魚たちの群れが泳いでいったのである。


「この辺りは太古の昔、大陸と大きな島に囲まれた海だったようでございます。より厳密に言えば、ここはその海にぽっかりと浮かんだ小さな島だったようでございますが...。魚たちは幻影、もしくはこの空間の記憶でございましょう。」


太古の昔の海を再現すること、それが ' 祈りの儀式 ' なのである。


「祈りの儀式は、この森を守るための儀式でございます。」



「ああ疲れました。この祈りにかける集中力、ワタクシにはこれが精一杯でございます。しかし、' 森の精霊 ' も ' 海の精霊 ' もこれくらいで許して下さいましょう。」とイチジは言った。


海のように見えたその空間は、元の森へと戻っていた。


「さてクロ殿、ワタクシはあなた様の ' 王の試練 ' にもう少しお付き合いいたします。」


' 西域の王 ' がお待ちかねのようなのでございます。


クロ殿、ナダ殿、 ' ホウセイの木の花 ' にお触れ下さいませ。とイチジは言った。


花に触れた瞬間、' ホウセイの木 ' の瞬間移動の力が発動した。もうその瞬間には、彼らは ' 西域の王 ' の王の間に移動していた。


「おお、待ちかねていたぞ。」玉座に片肘をついて座っていた ' 西域の王 ' は突然現れたその三人に特に驚くでもなくそう言った。


≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。

・ニジュウヨジ ・・・ オアシスにいたカモノハシ。アオの能力により少女の姿になっている。

・クロウ ・・・ 門番の少年。


・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。

・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。

・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。

・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。

・蒼井瑠香 ・・・ 医者。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ