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森と海の王国 (雨蛙は苔の中へ)  作者: 森野うぐいす
第三章 ≪西域の王国≫
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騎士の血

「技師といえば、この町には"カ・モギ博士"がいる。」とシロは言った。


「"カ・モギ"は、"植物型生命兵器"が専門だからな、 ' G.G.R・ネイチャー ' の修理までやらんだろう。」


「それに、門のところにいた小僧が"カ・モギ"も出稼ぎに出かけてしまったと言っていた。」


「博士まで出稼ぎに出てるのか。あいつあの博士の弟子なんだぜ、いちおう。」


「あの小僧はなかなか俊敏だった。鼻をそいでやろうと思ったが、私のレイピアをほんの少しの動きでよけた。並の人間ではよけることはできまい。」


「たぶん、あいつ騎士の血が少し混じってるんだと思うよ。俺なんか棒で叩かれたもん。」


そう、予想外だったとはいえ、"すん止め"するつもりだったとはいえ、シロの頭に棒を命中させるというのは ' 騎士の血 ' でも引いていなければできないことであろう。


「『白蛇しろへび殿』に棒を当てたか。」とその女騎士は笑いながら言った。



***



その頃、その門番の少年達は薬草に詳しいという子の家の扉を叩いたところだった。


中から少女が出てきた。


「お前、くさいぞ。」少女は開口一番に言った。


「風呂、入ってないだろ?」


「あ、ああうん、もう一週間くらい入ってないかな...。」と門番の少年は言った。


本当を言うと一週間以上入ってなかったのだが...。


「いまは親方もいないからさ、親方がいたらうるさく言われるから風呂も入るんだけど...。」


「いっ...いっ...」少女は絶句していた。


「あ、あの、この子が花粉症みたいなんだ。」少年はクロを指さして言った。


「そっちの奴らはまあまあ綺麗そうだな。花粉症の薬くらいなら作ってやる。」


「そう、良かった。」と言って門番の少年は家の中に入ろうとしたが、


「お前は入るな。」と少女に止められた。


「えっ、なんで?、ひどいよ。」


「ひどくない!ひどいのはお前だ!自分が汚いという認識は無いのか?風呂入ってから来い!」と少女は言った。


そういった経緯で、門番の少年は風呂屋に行き、王子とニジュウヨジだけが薬草屋の少女の家の中に入って行った。


≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。

・ニジュウヨジ ・・・ オアシスにいたカモノハシ。アオの能力により少女の姿になっている。


・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。

・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。

・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。

・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。

・蒼井瑠香 ・・・ 医者。


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