表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森と海の王国 (雨蛙は苔の中へ)  作者: 森野うぐいす
第三章 ≪西域の王国≫
29/52

王子のくしゃみ

町の中には石造りの質素な家がところ狭しと並んでいた。


「べーっくしょん。」とクロがくしゃみをした。


シロはそのくしゃみは無視して、カモノハシのニジュウヨジに、


「お前はこの町に何か用があるのか?」と聞いた。


「はい。ワタクシはクロ様の ' 王の試練 ' のお手伝いをすることになっております。」


「この町には大僧正がいるはずでございまして、大僧正とともに祈りを捧げることになります。」


「そうか。」シロはあまり興味がなさそうであった。


「俺は、たまたまこの王子様と出会っただけだ。砂漠の真ん中に置いていくのもなんだから、近くの町まで連れて行ってやろうと思っただけなんだ。だから、お前らとはここでお別れだ。」


「べーっくしょん。」とまた王子がくしゃみをした。


ニジュウヨジも、そのくしゃみは無視して、


「ワタクシ達はこの後、' 西域の王 ' に謁見し、できれば ' 西のドラゴン ' にもお会いしたいのでございます。できれば、せめて ' 西域の王 ' の居城までお付き合い頂けませぬでしょうか?」


「' 西域の王 ' に ' 西のドラゴン ' ?、あの龍はまだ生きているのか?」


「のはずなのです。これが ' 王の試練 ' であるならば、' 西のドラゴン ' はいるはずなのでございます。しかし、' 王の試練 ' を完了させるためにドラゴンに会うことは必ずしも必須では無いのでございますが...。」


「べーっくしょん。」とまた王子がくしゃみをする。


「この町なんか変だよ。さっきからすごいくしゃみが出る。」と王子は言った。


「町が変というより、お前が変なんじゃないか?」


とそこへさっきの門番の少年がやってきた。


「さっきから見ていると、その子、くしゃみばかりしてる。」


「お前、門の番してなくていいのか?」


「うーん、べつにいいんじゃないかな、ほとんど誰も来ないし、まちの大人たちも祈りの儀式の準備でいそがしいみたいだし。」


「でも仕事してないの見つかったら、怒られるだろ?」


「うん、でも大丈夫。ぼく怒られるの慣れてるから!」と門番の少年はまた得意げに言った。


「それより、そのくしゃみ、ぼく薬草にくわしい子を知ってるよ。きっと治してくれる。紹介してあげるからついて来なよ。」


「そうか、じゃあクロとカモノハシはそのくしゃみを診てもらえ。俺はここに来ている騎士とやらを見てみたい。' 西域の王 'のことは考えておく。」


シロと王子達はいったん別行動をすることにした。


そして、王子はまたくしゃみをした。


≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。

・ニジュウヨジ ・・・ オアシスにいたカモノハシ。アオの能力により少女の姿になっている。


・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。

・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。

・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。

・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。

・蒼井瑠香 ・・・ 医者。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ