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森と海の王国 (雨蛙は苔の中へ)  作者: 森野うぐいす
第三章 ≪西域の王国≫
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町の門番

その町は小さな貧しい町であったが、町の周りは"古代コンクリート"で造られた壁で囲われていた。


壁には門があり、小さな門番がいた。小さなと言っても、シロ達と同じくらいの年齢の少年であった。



シロはその少年に近づいていくと、少年は、


「何者ぞ!」と言い、いきなり、持っていた棒をシロの頭めがけて振り下ろした。


降り降ろされた棒は、そのままシロの頭を打ちつけた。


「ううっいってぇっ」とシロは叫んだ。


棒を降り降ろした少年は、おろおろしていた。


シロが避けようともしなかったのは、彼にとっては予想外の展開であったからだ。頭をかかえてうずくまってしまったが、よほど頑丈な頭をしているのか、しばらくすると立ち上がって言った。


「てめえ、何しやがる!」


「あ、ごめん。申し訳ない。申し訳ない。本当は頭の前ですん止めするつもりだったんだよ。本当だよ。ごめんね。」


「すん止めするなら、きちんとすん止めしろ!このどアホが!」


「ごめんね。ごめんね。」門番の少年は平謝りしていた。


シロとこの少年は、いちおう知り合いであったのである。



「何でお前が門番なんかやってるんだよ。」シロは怒りながら聞いた。


「ひとで不足なんだよ。大人たちは出稼ぎに行ってる。今ここに残っている大人は僧侶ばかりだよ。あとはみんな子供だ。」


「人手不足でも、いきなり人を叩くなよな!」


「だから、ごめんて。」


「この門、開けてくれ。」シロは不機嫌に言った。


「うん、あ、そうだ、ちょっと待って、その前に...」


「何だ?」


「合言葉を言って、『西のドラゴン』」


「『大蛇ドラクレア』だ!」シロは合言葉を答えた。


' 大蛇ドラクレア ' はいにしえのドラゴンの名前だ。かつて西域に棲んでいたという。合言葉にしては分かりやすすぎるかもしれない。


「じゃあ、開けてくれ。」


「うん、あ、そうだ。」


「まだ何かあるのか?」


「こないだ、赤の騎士団が来た。まだ中にいるよ。」


"赤い衣を纏った騎士がいるはずだ。" アポトーシス・オルガもそう言っていた。


「お前がそいつらを通したのか?」


「うん、あ、でも、"合言葉"も聞いたし、通していいかちゃんと大人に聞いてきたんだよ。」


少年は得意げに言った。


≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。

・ニジュウヨジ ・・・ オアシスにいたカモノハシ。アオの能力により少女の姿になっている。


・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。

・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。

・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。

・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。

・蒼井瑠香 ・・・ 医者。


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