太ったカモノハシ
「ああ、あの子は〈太ってしまう植物〉を食べてしまったの。」と彼女は言った。
〈太ってしまう植物〉?
男は少し訝しみ、まあどんなものでも沢山食べれば太るだろうと思った。
しかし何かをするわけでもなく、その ' やたらと太ったカモノハシ ' は廊下の暗闇の中へと戻っていった。
彼女はカモノハシについては何も説明しなかった。
「オナニー不全症よ」
「この国の王の息子、つまり王子ね、が〈ホウ精の木〉の花粉症になったの」
「それで〈ホウ精の木〉をほとんど伐採してしまったわ、今では絶滅危惧種よ」
おかげで、あなたのようなオナニー不全症が増えた。と彼女は言った。
女医は男の股間のモノに〈ホウ精の木〉の花から作った軟膏を塗布した。
その間、男は女医の胸の谷間を見ていたが、男の股間のモノが反応を示すことはなかった。
「これで 〈ホウ精の木〉の花のストック も終わり。この相談室も閉めるわ」と彼女は言った。
***
この相談室も閉めるわ、と女医は言った。男は何かを考えるのをやめた。
相談室を出るとき彼女は、くれぐれも 〈ホウ精の木〉の実 には気をつけてと言った。
部屋を出ると、男は軽くため息をついた。