第3話:身氣術と大氣術
僕は、上を見上げた。
ここは、ちょうど葉に隠されずに空が見える位置だった。
「え・・・?」
僕の世界には、無かったものがある。
空には、3種類の色があった。
青い空、白い雲、そして薄い緑の帯状の何か・・・
「すごい・・・」
それは、とても美しかった。
オーロラのように輝きながら、川のように流れているようだ。
「あれは・・・なんですか?」
目を離さずに聞いた。
「レイラインと呼ばれてる。この星のエーテルの流れだ。」
「えーてる?」
やっと目をおろし、おっさんと向き合った。
おっさんは、「どうだオレの言ったとーりだろ!へへん!」
みたいな顔をしている。なんかムカツク
「エーテルとは、力の流れ、生命の力の流れだ。大気中にもあり、人の体の中にも存在する。これを利用することで、魔法の行使が可能となる。」
と、生徒にものを教える教師のように話した。
ところで、一つ気になる言葉があった。
「まほー?」
「おいおい・・ここまできて信じないのかよー
俺がビッグボア蹴り飛ばしたの見たろー」
ビッグボアってあの猪のことか・・
まあ普通あんなことできないしなぁ
「じゃあ、もう一度見せてやろう。
魔法ってのは、大体二つに分類される。
身氣術と大氣術に分けられる。
今から見せるのは、身氣術のほうだ。」
そう言うと、おっさんは少し離れた場所にあった、岩の前に立った。
岩からは10メートルほど離れた位置だ。
あの位置からどうするんだ?
「いくぞー。」
おっさんは少し腰を落とし、左を前にして構えた。
次の瞬間、おっさんの右手が霞んだように見えた。
と同時に
ドカンッ
という何かが爆発したような、音と振動を感じた。
いつの間にか、腰の位置にあった、おっさんの右の拳が前に突き出されている。
岩のほうを見ると・・・
「えぇぇぇーーー!!!」
岩は、大きな穴を開けていた。
衝撃は貫通して、岩の後ろにあった大木もなぎ倒していた。
「今のは、東方の国で言うところの<発剄>というやつだ。
どうだ?すごいだろー、感心しただろー、敬ってくれてイイゼ」
後半の言葉で敬う気持ちが、いっきに少なくなったが
やはりこの人は、すごいのだと感じた。
そして、僕が違う世界にいることを確信させた。