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異界の旅路  作者: Posuto
35/53

第34話:桃色入院生活

忘れていた。


ルーリアと始めて会った時、誰かに似ていると思っていたじゃないか。

僕が寝ているベッドの横にセラとルーリアが並んで座っている。


そーいえばよく似ている。

セラは銀髪ストレート、ルーリアは金髪縦ロールとちがうが、顔の造形はそっくり。目元とか特に似ている。


 「セラの写真に写ってる方がわたくしの母によく似ていましたし、母の旧姓はランドグリフでしたから、状況から考えてセラは母の妹であるセリア・ランドグリフの娘であると思いますわ。」


へぇーセラのお母さんの名前ってそんなのだったのか。


 「私は母の名すら知らなかったからな。ルーリアの話はとても興味深かったよ。」


セラはうれしそうだ。


 「じゃあ、お母さんの行方は分かったの?」


 「いや、どうも母は何年も前に失踪していたらしい。」

 

 「えー!?なんで?」


せっかく明確な情報が入ったと思ったのに・・・・


 「わたくしが母から聞いた話では、何かを研究しに行くと言って、消息を絶ったそうです。」


研究?

研究者だったのか?


 「はい。セラのお母さまは、かなりの天才肌だったようで、剣術などの武芸の腕があるだけでなく、研究機関ではエーテル技術開発や大氣術スペル開発にも携わっていたそうですわ。」


ど、どんな超人だよ・・・・・

セラのお母さんだから完全に体育会系だと思ってた。


 「でも、良かったじゃないか。血縁のある人が見つかったんだし。」


 「ああ。よかった。」


セラのその言葉には大きな喜びが感じられる。

その横でルーリアもにこにこしている。


 「セラとは、とても気が合うようですの。いろいろ話してみて、楽しかったですわ。」


ほー・・・・・

仲良さそうだね。


 「セラとわたくし、男性の好みのタイプなんかは特に似てますわ。」


 「ちょっ・・・・・ルーリア!?」


セラが慌てている。

好みのタイプですと!!

それは聞いてみたいですな!


 「教えて!!」


 「黙れ!!」


顔を赤くしたセラに怒られた。

ひどい・・・。



〜〜〜〜〜〜



その後、二人はしばらく世間話をした後、帰って行った。


夕方には、病院の夕飯が来たのだが、味が薄くて量が少ない。

もっと濃い物を、一杯食いたいのだが、5日間も寝ていたのでダメなんだそうだ。


夜になり、部屋の明かりが消される。


ベッドに横になって思考する。

セラとルーリアが血縁だったのは驚きだ。

これまでの話から、セラのお母さんは帝国の実家を出て、龍の国に行き、セラを産んでから龍の国を出ていると考えられる。帝国には帰ってきていないようだ。


しかし、解せないことがある。


セラのお母さんの身元がはっきりしたのはいいのだが、ならば情報屋が殺された一件はどうなるんだ?

研究内容に何かあるのだろうか?

帝国に行けばもっと情報があるだろうか?


そもそも戦争の危険性がある現在、帝国に行くことは危険じゃないだろうか?


 「はぁー・・・・・まだわからん事が多いな。」


 「そうねぇー・・・・」


・・・・・・誰だ!?

急にベッドの横に誰かが現れた。


 「イヴ!?」


 「こんばんはー」


 「え、え、どうして!?僕寝てないよ!?」


 「あら?私、寝てるとき以外に会えないなんて言った?」


いや、言ってないけど・・・・・

なんか普通の景色にイヴがいると違和感がある。


 「どうなってるの?」


 「うん。この前の昇華ブーストで、ラインが強化されたから、こーいうこともできるようになりました。」


そう言って、イヴはその場でくるっと回った。

目の前にいるように見えるが、何か違和感がある。

手をのばして、イヴに触れようとするとするっとすり抜けた。


 「やっぱり。イヴはここにはいないのか?」


 「そーだよ。ユウの視覚を利用して、目の前にいるように見せてるだけ。今のユウを、はたから見ると、一人でブツブツ言っている危ない人だね。」


うわ。

嫌だな、それ。


 「で、イヴは何しに来たの?」


 「ユウに助言をしにきましたよー。あ、ついでにお見舞いも。」


お見舞いをメインにしてくれ。


 「助言って?」


 「ユウラに言われたこと。あの話を受けて、帝国に行きなさい。」


助言じゃなく、命令ですよそれ。

戦争を止める協力をするってやつか。


 「どうして?」


 「私がユウをこの世界に呼んだ目的の一つが、今回の戦争を止めることだから。」


え?

そーなの?


 「じゃあユウラさんの申し出を受けて、帝国に行けと?」


 「うん、帝国にいるんだよ。この世界の敵がね。」


 「敵・・・・・?」


 「そうそう。強敵だから注意してね。」


 「注意って言っても、昇華ブーストがあるから簡単には負けないんじゃないの?」


正直、昇華ブーストを使えば、おっさんクラスの相手でなければ余裕で勝てる。


 「あー・・・・・実は昇華ブーストは、体への負担が大きいから連続では使えないの。今だって、ちゃんと動けないでしょ?慣れれば連続起動が可能になるけど今は1週間以上、間を開けないと。強い力にはそれなりのリスクがあるからね。」


申し訳なさそうにイヴは言った。

まあ、そんなに期待はしていなかったけどね。

それに、昇華ブースト状態は少し気分が悪いから好きにはなれない。


 「わかった。えーっと、ユウラさんの申し出を受ければいいんだよね?」


 「そうそう。お願いねー。じゃあ、おやすみ。」


そう言って、イヴは現れたのと同じような突然さでフッと消えた。

はあー驚いた。


 「あ、言い忘れてたけど、私に用があったらいつでも呼んでね。」


またいきなり現れたイヴが言い、すぐに消えた。

心臓に悪いからいきなりは止めてください。



〜〜〜〜〜〜



朝から医者の先生の診察、まずい朝ごはん。

基本的に動けないので暇だ。

暇つぶしにナースのお姉さんを観察。ナース服はすばらしい。


昼ごろ、ルーリアがまたやって来た。

今回は一人だ。


 「おはよー、ルーリア。今日は一人?」


 「おはよう、ユウ。わたくし一人では不満ですか?」


ちょっと拗ねたような顔が可愛いですよ。


 「いやいや、そんなことないよ。暇だから、話し相手がほしいんだよ。」


 「よかった。セラは仕事があるので今日はまだ来れませんわ。なので、今日一日わたくしがお世話します!」


え・・・・・・

一日ですか?


 「別にそこまでしなくてもいいよ。ルーリアだってすることあるだろ?」


 「わたくしのことは気にしなくてかまいません。それで、ユウは何か困ってることとか、したいことがありますか?」


困っていること、したいこと・・・・・・

んー何だろ?


 「んー・・・・風呂に入りたいかな。しばらく入ってないし。」


何となく体もべたべたするので、言ってみた。


 「わかりましたわ。」


え?

わかりましたって何が?


ルーリアはそう言って病室を出て行った。

どうする気なんだ?


戻って来た。

ルーリアは桶とタオルを持って帰った来た。

ああーそういうことか。


 「お風呂は無理ですが、体を拭くくらいならわたくしにもできます!」


とても気合いの入っている様子。

嫌な予感しかしない。


 「あー・・・・ルーリア。自分でやるからいいよ。」


 「いえ、遠慮せずにユウはじっとしていてください!」


と言って、桶のお湯で濡らしたタオルを片手に、こちらに近づいてくる。


 「いや、ほんとに自分でできるから、いいですよ!?」


 「遠慮しなくていいんですのよ。よいしょっと。」


ベッドに横になる僕に馬乗りになり、着ている服を脱がし始めた。

抵抗してみるが体がうまく動かないうえに、ルーリアも割と力がある。


 「ちょ、ちょっと待って!!あ、ズボンはダメだ!!下はやめてー!!」


上を脱がした後、ズボンまで脱がそうとしている。


 「あら、最初に全部脱がしていたほうが面倒がないでしょう?」


いや、そう言う問題じゃないですよ!!

必死に抵抗していると、病室の扉が急に開いた。


 「おーい、ユウ!!元気か?アルフレッド様が見舞いに来てやったぜー!!・・・・・・・あれ?」


僕たちはベッドの上で戦っている状態で固まっている。

その状況をみたアルは一瞬固まり、今度は膝をつき、手を地面について何やらぶつぶつ言い始めた。


 「なんでユウにばっかりこんなおいしいシュチュエーションが・・・・・・・俺の方が断然かっこいいのに・・・・・・」


急にテンションが落ちたな。


 「アル、お見舞い御苦労さん。どうした?」


聞いてみる。


 「うるせぇ!!お前ばっかいい思いしやがって!!・・・・・うわぁーーん!!」


お見舞いの果物らしきものを放り出し、泣きながら病室を飛び出して行った。

何ごと?


今のうちにルーリアをひきはがす。


 「ルーリア、体拭くのはいいから、この果物の皮剥いて。」


と、別のことを頼んで注意をそらす。


 「ふむ、わかりました。」


ベッドから降りてくれた。

ふー助かった。アル、いいタイミングだ。

もう少しで公開羞恥プレイだったぜ。



次の日、アルから話を聞いたセラがルーリアと同じことをしようとした。

またその時も絶妙のタイミングで、アルが登場し、泣いて走り去っていった。



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