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異界の旅路  作者: Posuto
29/53

第28話:首都内戦闘(一)

アルとチコを抱え建物の屋根から飛び降り、着地。


アルとチコはそのまま行動開始。


僕とセラは脚力強化による高速移動で、ルーリアのほうに向かう。

ルーリアはサソリに2体に挟撃されている。


 「ルーリア!!」


 「ユウ!?何で来ましたの!?避難しろと言ったでしょう!!」


僕はその言葉を聞きつつ、近くのサソリに接敵。

刀は抜かず、両手に体内エーテルを収束。


アルベイン流 格闘術 七式 『金剛竜破』


龍の顎の形をした高密度体内エーテルを、両手で叩きつける技だ。

衝撃により相手を跳ね飛ばす。


ボゴッ!!


鈍い音と共に、サソリの顔面にエーテル塊が叩きつけられた。

でかい体をはじき飛ばした。


そしてもう一匹には、セラの飛び蹴りが直撃。

吹っ飛んだ。


僕はルーリアに文句を言う。


 「ルーリア、君一人でどうにかできると思ったのか?」


 「私は騎士です。無理であっても市民を守ることが私の使命であり、騎士道ですわ。」


か、かけぇぇ・・・・・

僕もこういう言葉を言ってみたいものだ。

絶対、似合わないだろうが・・・


 「僕が言いたいのは、手伝って欲しければ言えばいいのにってこと。」


 「ですが、私の勝手にあなた方を手伝わせるわけには・・・・」


 「気にしない、気にしない。」


なんかそういう所は、セラに似ていると思うなー。


 「で、どうするんだ?」


セラが聞いてきた。


 「んー。一匹づつ集中攻撃して、減らしていくしかない。」


 「のんびりは、していられませんわ。どうやらあの魔物、首都の中央に向かおうとしているようですわ。」


中央ということは、中央議事堂セントラルが狙いか?

中央議事堂とは、この国の議会が開かれる施設だ。

国の中枢と言っていい。


そこで気づいた。

僕とセラがダウンさせたサソリ以外のもう一匹は、港から市街地に向かっている。


 「やべっ!!あれを止めないと・・・・・」


僕たちがそちらへ向かおうとした瞬間、市街地に向かおうとしていたサソリは、港のほうに吹っ飛んできた。

ええっ!?


吹っ飛んだサソリの向こうから人影が現れた。


 「おーい。お前ら。こいつは私にまかせな!!」


ユウラさん!?

なにやってんだ!?


 「ゆ、ユウラさん!?なにやってんですか!!危ないですよ!!」


 「んー?私はこれでも虎島の女だよ。君の師匠ほどではないけど、この程度の相手に後れは取らんよ。私は気にせず、そっちの二匹は頼んだよー。」


ユウラさんはいつも通りの口調で言った。

だ、大丈夫かな?


 「ユウ。あの方の言うとおり、私たちは目の前の二体に集中しましょう。あの方なら大丈夫ですわ。」


ルーリアはそう言ったが、表情に心配そうな雰囲気が感じられる。


 「あの方の体が、もてばいいのですが・・・・・」


僕には聞こえない小さな声でルーリアは呟いた。


近くにいる二体はもう起き上がって臨戦態勢だ。

あの一体は、ユウラさんに任せるしかないか・・・


さて、始めるか。



〜〜〜〜〜〜



アルは少し離れた位置から、ユウたちの戦闘を見ていた。

どうやら、うち戦闘チームは戦いを始めたようだ。


ユウは剣術と格闘を織り交ぜて、セラは剛力を生かした格闘、ルーリアは空中からの奇襲。

3対2ではあるが、善戦している。


そして、ユウラさんがたった一人で、魔物一体を相手にしている。

ユウラさんが強いというのは、両親から聞いて知っていたが、ここまでとは思わなった。


 「アルさん。こっちへ!!」


チコに呼ばれた。

けが人を見つけたようだ。


近づいてみると、建物のがれきに挟まれている人がいる。

ひげ面のガタイにいい男だ。飛空挺の船員かもしれない。


 「うぅ・・・・た、たすけてくれ・・・・」


どうやら意識はあるようだ。

どうにかして、このがれきをどけないと・・・・


 「アルさん、どいてください。」


そう言うと、チコは片手でがれきを持ち上げた。


 「うおっ!?すげぇな・・・。そういえば、ちびっ子はドワーフだったか。」


 「そんなことはいいですから、早くその人を引っぱり出してください!!」


へいへい・・・・

引っぱり出す。


 「おっさん。大丈夫か?」


 「ぐ・・・あ、足が折れたみたいだ・・・」


 「わかった。動くな。」


詠唱杖キャストスタッフを起動。

エーテルを徹す。


治癒系大氣術「第一治癒法ヒーリング


骨折していた骨を簡易復元。ついでに痛みを取り除く。


 「ん?おおっ!?すげぇ、痛くねぇ!!」


船員らしき男は、飛び跳ねている。


 「おい、おっさん。簡易復元だから無理すると、また折れるぞ。」


 「う・・・そうなのか。」


飛び跳ねるのを止めた

こいつに少し聞いてみるか。


 「おっさん、あの魔物どこから現れたんだ?」


 「それがな、どうやら飛空挺の積み荷の中に紛れ込んでたみたいでよ。荷を降ろしてる最中に急に出てきたんだ。」


飛空挺の荷物に?

どう言うことだ・・・・

魔物が積み荷の中で大人しくしてたってのか?


 「どこの飛空挺の積み荷から出てきたんだ?」


 「たしか・・・・・ラーバス運送だったかな。ここいらじゃ聞かない名だから、どこの国のもんかわかんねぇ。」


ラーバス運送!?

確か帝国の国営企業で、帝国国内のみを営業範囲としているため、この辺には現れない。

と、いうことは・・・・


ぞっとした。

これは帝国の侵攻だ。

帝国は魔物を操るすべを見つけたのだろう。

そう考えれば今回の魔物の不可解な行動にも説明がつく。


中立国を攻撃したんだ。共和国も黙っちゃいないだろう。

俺はもしかしたら、これから始まる大戦のきっかけとなる事件の真っただ中にいるんじゃないか?


横にいたチコも同じ考えに至ったのか、顔をこわばらせている。


 「おっさんはさっさと逃げな。」


 「おお、そうさせてもらう。助かったぜ!!」


そう言って、船員らしき男は、市街地のほうに走って行った。

走ったら折れるぞ。


 「とにかく、周りの人をできるだけ助けましょう!」


そうだな!

面倒なことは後で考えよう!



〜〜〜〜〜〜



セラは後方から尾に一撃を入れた。


 「ふっ!!」


龍式拳殺術ドラゴニックアーツ 剛天三式 『屠龍穿華』


掌底が直撃した瞬間、軟体装甲の奥に衝撃とエーテルを伝導させる。

内部破壊技の一つだ。


正直、エーテル操作が細かいので苦手な技だ。


衝撃があまり透過していない。


先ほどから、私が二発、ルーリアが一発、尾に攻撃を加えているが、全くダメージなしだ。

どうすべきか・・・・・


 「セラ、攻撃を重ねるぞ!僕は前から、君は後ろから!!」


ユウが周りの音に負けないように、大きな声を出す。

それを聞いて、私はスコーピオンの側面を抜け、後ろに向かう。


スコーピオンがハサミを振り上げる。

ユウは紙一重でかわし、地面に叩きつけられたハサミを足場に、前方宙返り。

スコーピオンの背中に着地する。


間髪入れずに、尾の先についたハサミが背中にいるユウを狙う。


それを読んでいた、ルーリアが空中から斧槍ハルバードで止める。


ギィインッ!!


ハサミと斧槍がかちあって、火花が散る。

空中にいるルーリアの翼脚甲ウインドウォーカーから、反射されたエーテルが薄緑の光を放ちながら、後ろに吐き出される。

どうにか抑え込んでいるようだ。


 「ユウ、急ぎなさい!!長くは持ちませんわ!!」


ユウが背中を走り、尾の位置まで来た。

私もすでにスコーピオンの後方に来ている。


ユウのタイミングに合わせて、技を放つ。


龍式拳殺術ドラゴニックアーツ 剛天三式 『屠龍穿華』


先ほどと同じく、内部破壊技。

ユウも、拳から内部破壊技をぶつけた。


前後から挟み込むようにして、同じ位置を攻撃された尾は、風船のように内部から膨れ上がった。


あともう一息!!


そこで、ハサミを抑え込んでいたルーリアが、ハサミをはじき、斜めに落ちるようにして膨れ上がった部分を切り裂いた。


バシャッ!!


という液体のはじける音と共に、魔物の白い体液が舞った。

ちぎれた尾が地面に落ちる。


ルーリアは、港の石畳をけづるようにして、着地した。


魔物の動きが鈍い。


 「よしっ!!たたみ掛ける!!」


ユウの指示に従い、行動を起こす。

ユウはスコーピオンの背中から、体の中央辺りに行き、拳を叩きつけた。


ボゴンッ


という音。軟体装甲がへこんで衝撃を吸収しようとする。

私も跳び、スコーピオンの背中に乗って、ユウがダメージを与えた地点にさらに攻撃。


龍式拳殺術 剛天二式 『龍牙・連迅』


高速の二連撃を、叩きこむ豪快な技だ。


ドドンッ!!


軟体装甲が衝撃を吸収仕切れていない。

私とユウは、後方宙返りで、背中から飛び降りる。


スコーピオンの真上の位置で、ルーリアが斧槍を構えている。


 「これで終わりですわ!!」


重力と、翼脚甲の加速を合わせて、落下。

目標は、当然私とユウによってダメージを与えた、コアの直上の軟体装甲。

エーテルが徹された斧槍は、衝撃を吸収しきれない軟体装甲をぶちぬき、核を破壊した。


キィイイイイッ!!


先ほどまで鳴き声一つ上げなかったスコーピオンが、断末魔をあげ、倒れた。


やった!!


と喜んでいられない。もう一匹残っている。


 「ユウラさんっ!!」


そこでアルの悲鳴と呼べるような声を聞いた。

 





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