第1話:世界を渡った日
目を覚ましてみると、視界の中には一面の緑の葉と、木漏れ日の光があった。
(えっ!?)
自分の部屋と違う景色に驚き、飛び起きた。
どうやら僕は、大きな木の下で寝ていたようだ。
僕は生粋の都会っ子なので外で居眠りなどしたことがない。
周りを見渡すと、大きな木が並んでいる。
深い森の中のようだ。
(あれぇ〜〜〜?)
自分の家の近辺にこんな森はないはずだ。
まだ寝ぼけているのかと思ったが、雰囲気からして違うようだ。
高校の制服を着ているので、登校しようと家を出るところまでは思い出した。
しかし、その先があいまいなのだ。
しばらくぼーっとしていたが、当然何も起きないので歩くことにした。
(アー疲れたー!)
結構歩いたつもりなのだが、森を一向に出ることができない。
「なんとかなるだろー」と楽観的に考えていた僕も
さすがに危機感を感じ始めていた。
「おーーーい!だれかいませんかーー!」
ダメもとで大声を出してみる。すると、
ガサッガサッ
という物音が近くの草むらの向こうから聞こえた。
(やった!だれかいる!)
そう思って、急いで草むらをかき分けて向こう側に出た。
そこには白い巨大な何かがあった。
よく見ると動物だ。猪だ。バカでかい。トラックぐらいの。
「あっ・・・えっ・・?」
あまりのショックに思考が飛び、固まってしまった。
猪と目が合った。
(やばい!!!)
さっき通ってきた道を全速力で戻った。
バキッバキッ
という木をへし折るような音が後ろから聞こえてくる。
「ひぃっ!」
あまりの恐さに後ろを振り向かず、走り続けた。
「はあっ・・はあっ・・」
疲れてきた。
できるだけ木が密集している所を走る。
猪は、木が邪魔になるので減速する。
うまくいっ・・・
「あっ・・・」
一瞬の無重力の後、僕は地面にたたきつけられた。
(こけたっ!?)
どうやら木の根につまずいてしまったようだ。
後ろを見る。
もう10メートル先までイノシシが来ていた。
(あぁぁぁ!)
もうだめだ・・・
次の瞬間、吹き飛ばされた。
猪が
真横に