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ジ・エンドオブ ツンデレ 最終話 ふたりのターン

秋の晴れ渡った青空の日、王宮の中の処刑場に諸侯は集められた。


王の怒りは凄まじい。


老齢のエルヴィア王の隣には美しい王女が青い顔をして座っている。


木材に縛り付けられたトゥルカナは無精髭が伸び、

顔も身体も泥で汚れた汚い格好をしている。


何度も拷問されて、身体は傷だらけ顔も腫れている。


ぐったりとして、目も虚ろだ。


エルヴィアでは何本もの弓矢で射抜かれた後、首を切り落とされる形式が伝統だ。


シュタインベルク

「父上、僕の憎きライバルです。

もっと近くで苦しむ姿を見たい。」


ミューリッツ伯爵

「うむ…。」


ミューリッツ伯爵は一瞬意外そうな顔をしたが、

鬼のような形相の息子を見てうなづいた。


ミューリッツ伯爵

「そんなに憎かったのか…、一体何をされたんだ、将軍の息子に。」


そこに息を切らせたサイマーがやってきた。


サイマー

「ミューリッツ伯爵、シュタインベルクは?」


ミューリッツ伯爵

「近くで苦しむ姿を見たいと言って、下に降りて行ったぞ。」


サイマー

「ああ………、止めないと。」


…………………………………



兵士

「あまり近づかれては、弓矢が飛んできますので危のうございますよ。」


シュタインベルク

「この男の苦しむ顔が見たいのだ!


この男から受けた屈辱の数々、忘れてはおらん。


頼む、ここで見せてくれ。」


兵士

「はあ……わかりました、動かれませんように。」


シュタインベルクの声を聞いてトゥルカナが顔を上げた。


トゥルカナの瞳に光が戻る。


トゥルカナはシュタインベルクの方を向いてニヤリと笑った。


シュタインベルク

「この、汚い反逆者め、苦しんで死ぬがいい!

お前の切り落とされた首に唾を吐いてやる。」


トゥルカナはくっくっと小さく笑っている。


「構え〜!」


遠くから10本の矢がつがえられた。


「打てーー!」

という合図のすぐ後……


トゥルカナの目の前にシュタインベルクの顔があった。


シュタインベルクはトゥルカナの腫れた顔に両手で触れた。


トゥルカナ

「な……何して………。」


シュタインベルク

「ず、ずっと………好きだったよ………。」


トゥルカナ

「はあ!?お………俺もだ……。」


シュタインベルク

「え………?う……そ…………。」


トゥルカナの首から変な石ころのペンダントがキラリと光った。


その時、トゥルカナの顔に生温かい液体がかかる。


シュタインベルクは吐血してトゥルカナの足元にぐしゃりと崩れ落ちた。


身体には10本の弓矢が刺さっている。


トゥルカナ

「ベル……………?お、おい………。


嘘だろ…………。あ………あ…。


だれか………………、だれか助けてくれ!!


死んでしまう……おい、早くしろ!


早く!助けろーーーーーー!」


シュタインベルクとトゥルカナの足元に大きな血の水たまりが広がっていく。


あたりは騒然となり、悲鳴と怒号が響き渡る。


トゥルカナ

「くそっ………俺を殺せ!


早く殺してくれ!


殺せーーーーーーーーー!」


トゥルカナはわけのわからない獣のような叫び声を何度も何度も上げ続けた。



…………………………………………………………




シュタインベルクは一週間ぶりに目を開けた。


見慣れない白い部屋にいる。


肩ぐらいまでの長さの黒髪の美しい男がにっこりと微笑んでいる。

白いチュニックを着ている。

宰相のダニエルだ。


宰相

「ああ、やっと目が覚めたね。シュタインベルク。」


シュタインベルク

「さ、宰相閣下。」


喉がカラカラで声がかすれている。


宰相

「これを飲みなさい、はちみつレモン水だよ。」


シュタインベルクは身体を起こしてもらうと、

飲み物を飲んだ。


甘くて酸っぱくて美味しい。


宰相

「間に合ってよかった。

あと一歩遅かったら、君は危なかった。」


シュタインベルク

「あ…ありがとうございます…。」


宰相

「まったく、いつも言ってるのに、ちゃんと考えるんだよって、

トゥルカナを助ける方法はいくらでもあったのに…。


あれは最悪。


ロミオとジュリエットだよ、悲劇もいいところ。」


シュタインベルク

「はい…………。

あ、あの!

トゥルカナは!?」


宰相

「彼は戦いに行ったよ。


バラトン将軍の敵を打つためにね。


だから全軍を指揮してもらうことにした。」


シュタインベルクは不安そうな顔をした。


宰相

「大丈夫、彼はなかなか才能がある。


さすがバラトン将軍が選んだ息子だよ。


それにうちの宮廷魔術師も一緒だからね。


敵は、火に弱いし魔法でかたがつくと思う。


あと、一月もすれば辺境も落ち着いて帰還するはずだよ。」


シュタインベルクは笑顔で泣き出した。


宰相

「君は死にかけたんだから、それまでゆっくり休んで体力を戻すこと、いいね。」


シュタインベルク

「はい………。」


オルタ姫

「シュタインベルク!」


扉が開いてオルタ姫はシュタインベルクに抱きついた。


シュタインベルク

「姫、姫ーー。う、う、………。」


オルタ姫

「辛かったわね、辛かったわね……。」


姫も泣いている。


それから、ミューリッツ伯爵、伯爵夫人、姉達、次から次にやってきて

シュタインベルクを抱きしめた。


みんな泣いて大喜びしている。


シュタインベルク

「みんな…心配かけてごめんなさい。」


ミューリッツ伯爵

「いいんだ、いいんだよ、今回の事でわかったんだ…。

お前が生きてさえいてくれればそれでいいんだ。」


シュタインベルク

「父上……大好き。」


ミューリッツ伯爵

「だが、もうあんな事は二度とするな!」


シュタインベルク

「うーー。」


みんなが笑った。



…………………………………………………………


それから約ひと月後



全てを終えたトゥルカナとエルヴィア軍が王都に凱旋した。


金色の鎧をまとったトゥルカナは白馬に乗った美しくたくましい騎士だ。


トゥルカナは歓声に応えながらもキョロキョロしている。


城下町の坂道を登り、宮殿の入り口が見えてきた。


入り口に金髪で紫の服を着たシュタインベルクの姿が見える。


トゥルカナは馬を降りると鎧の兜を投げ捨て、マントをなびかせながら走り出した。


シュタインベルクも走り出す。


二人は泣きながらしっかり抱き合った。


相手の無事を確かめるように。


シュタインベルク

「おかえりなさい……。」


トゥルカナ

「ああ………ただいま。」



おしまい

この後の 「 ふたりはツンデレ ふたりが結ばれるシーン」を

R18ムーンライトノベルに投稿しました。

お読みいただきありがとうございます。

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