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ツンデレはここから始まった!? ふたりのターン




〜ミューリッツ〜


「素晴らしい!なんて愛らしいんだ!

私のシュタインベルク!」


エルヴィア王国のミューリッツ伯爵はキラキラ輝く我が子を抱きしめた。


シュタインベルクは昨日15歳になったばかり。


ミューリッツ家待望の男子だ。


伯爵にはすでに5人の子供がいるが皆、女。


50を過ぎて白髪交じりの頭になり、子供は諦めていた所できた男子。


しかも天使のような美しい男の子。


伯爵は大いなる期待を込めて、大昔の王の名前をつけた。


伯爵はそれこそ目に入れても痛くないほど溺愛し、

大事に大事に育てて来た。


今現在、エルヴィアの国王には男子の跡継ぎがいない。


13歳になる王女オルタのみだ。


当然、貴族はこぞってオルタ姫の婿の座を狙っている。


王弟であるミューリッツ伯爵は有力候補、

愛しの我が子をエルヴィア国王にするという夢を叶えるため、

どんな苦労も厭わない。


その執念はものすごいものがあった。


伯爵は改めてこのお披露目会に合わせて作り上げた、

我が子という作品をうっとり眺めた。



母親譲りの美しく整った顔立ち、

肩まで伸びたゴージャスな金髪、

青いサファイアのような神秘的な瞳、

線の細い柔らかそうな華奢な体つき、

白に銀の刺繍が施された礼服、

それはまるで妖精の王子さまだ。


ミューリッツ

「お前は奇跡だよ、シュタインベルク。


シュタインベルク

「父上!」


その美少年はニコニコ笑いながら、大好きな父親に抱きついた。


ミューリッツ伯爵

「いいかい、シュタインベルク、今夜お前は社交界デビューだよ。

ちゃーんと、教えた事覚えてるかい?」


シュタインベルク

「はい!バラトン家の子供に決して負けないように!

そして、お姫様と結婚して王様になることですね!父上」


ミューリッツ伯爵

「おお、よしよし、ちゃんとわかっているな。

流石ミューリッツの人間だ。

おお、来たぞ、アレがにっくきバラトン家だ、覚えておきなさい。」



……………………………



〜バラトン〜


「トゥルカナ、ミューリッツの息子にだけは決して負けるな。

すべてにおいて凌駕しろ。いいな。」


大きな獣のような男はバラトン将軍。


素晴らしい身体能力、恵まれた肉体、たゆまぬ努力で何年もエルヴィアを守り続けた英雄、

バラトン将軍。


彼には30人近く子供がいるが、男子はそのうち20人ほど。


その中から、年齢、容姿、武術、知略、コミュニケーション、いろいろ考慮して選んだのが

25番目の子供、15歳のトゥルカナだ。


トゥルカナは15歳にしては背が高く、素晴らしいプロポーションをしている。


短く刈られた黒髪は前髪だけが少し長く、目にかかりセクシーな印象を受ける。


肌は父親似の褐色で、キリッとした眉、明るいイタズラそうな瞳、

少し片方だけあげた口の端っこ、

そして何より幼少期より鍛え上げられた肉体美、

しなやかだが強靭な筋肉、たくましく長い足、大きな手のひら、

女性がキュンとする美少年だ。


バラトン将軍

「おい、聞いてるのか、トゥルカナ!」


トゥルカナ

「はい、はい、聞いてますって。

それより、父上、綺麗で魅力的なご婦人がわんさかいるね。」


バラトン将軍

「うむ………、そうだな、あの夫人、初めて見たが………うむ………、良い………。

って、こら!まったくお前は誰に似たのか!

その年で屋敷中の侍女に手をつけた挙句、騒動までおこしおって……。」


トゥルカナ

「誰にって、父上でしょう。


バラトン将軍

「こいつ!


親子は顔を見合わせて笑った。


バラトン将軍

「しかし、ふざけておる場合じゃないぞ。

お前が惚れさせないといけない相手はあの夫人じゃあないぞ。」


トゥルカナ

「わかってますって。可愛いプリンセス、まあ、見ててくださいよ。

俺は必ず王になりますよ。必ずね。


バラトン将軍

「うむ、期待しているぞ。

ただし、油断は禁物だ。

ミューリッツ………。

あいつは立場を利用して何が何でも姫の婿に自分の子供をあてがう気だ。」


トゥルカナ

「大丈夫ですって。ミューリッツ伯爵のおぼっちゃま、メッタメッタ切り刻んで、

ひーひー逃げる豚みたいな姿、プリンセスにお見せします。」


バラトン将軍

「ああ、どんな手を使っても構わん。頼んだぞ、息子よ。

む……………、来たぞ、アレがミューリッツだ。


……………………………


豪華な広間の真ん中辺りで、犬猿の仲である、

ミューリッツ家とバラトン家は対面した。


ミューリッツ伯爵

「これはこれは、バラトン将軍、ご機嫌麗しゅう。」


バラトン将軍

「伯爵、久しぶりですな。お元気そうでなにより。


ふたりは宣戦布告とばかり不敵な笑みを浮かべにらみ合った。



しかし……………………………


それと同時に見つめあった息子たちは…


瞬間……恋に落ちていた。




つづく





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