殴ってみた
ニックは向かってくる拳に、本能的に殴り返した。
考えてみたら、ニックの拳が、ロックゴーレムの拳に敵う訳がないのだが、このままでは顔面を殴られて終わりだ、腕の一本を犠牲にしてでも、頭部を守るほうが利口というものだろう。
まあ、本能的に殴り返しただけなのだが。
果たしてニックの拳は、ロックゴーレムの拳を貫通した。貫通してしまった。
大事な事なので二回言いました。
生身の拳が岩の塊を砕いたのでは無い。
岩より硬いロックゴーレムの拳を貫通したのだ。
あり得ない話だ。
その瞬間、2人の剣士と、対峙していた二体のロックゴーレム、貫通されたロックゴーレムの目が、点になった瞬間だった。
ロックゴーレムに、痛覚は無い。
が、ダメージは有る。己の拳がヒューマン如きに貫かれた。低脳なロックゴーレムには、目の前の男の力量を測れなかった。なので、もう一方の拳で男に殴りかかってしまった。
ニックには、剣士としての才能などまるで無い。
有るの体力とパワーである。
なので、殴り合いでは負けた事はなかった。
まあ、人相手でしか、殴り合いをした事はなかったのだが。
ロックゴーレムは、パワーと硬さは有るが、スピードはそれ程でも無い。だから、ニックにはもう一方の拳がニックに迫る前に、ロックゴーレムの顔面に拳を叩きつけることができた。
「なんだ、ロックゴーレムって、人間とあまり変わらないのな。」
ニックが呟いたとき、ロックゴーレムの頭部は吹き飛び、活動を停止したのだった。
そのまま可愛子ちゃんの方に走り、ロックゴーレムをブチのめし、イケメンの方のロックゴーレムをヤクザキックで、膝を砕いた後、顔面を蹴り飛ばして、ハイドにポーションを飲ませて、フロアボスルームから出るのに、5分かからなかったという。