ニックのステータス
三日三晩肉欲に溺れた神々が、ニックの事をようやく思い出した。
哀れニックは三日三晩分の愛欲の魔力をも注ぎ込まれてしまったのだ。
「では、いってらっしゃーい!」
ツルツルお肌のマリアが微笑みながら、
「達者でな〜〜」
げっそりした鈴木武は、疲れた表情で
鈴木武とマリアによって再生されたニックは、森の中で目を覚ました。
「あれ?俺こんなとこで寝てた?確か戦闘音から逃げて…巻き添えでも食らって気絶でもしたか?まあいいか。角ウサギもちゃんとあるし、早く帰ろ」
ニックはお気楽な性格なので、大体のことは気にしない。
この時、ニックはおろか2人の神すら気がついていない事が、ニックの身体に起こっていたのだが。
ニックは街に戻ると、冒険者ギルドに向かう。冒険者ギルドとは、冒険者を束ね、依頼人からの依頼の仲介斡旋を行い、冒険者を不当な労働から守るために出来た組織である。
冒険者ギルドは大陸の至る所に支部を持ち、冒険者に宿や食事を有料で提供したり、賃金を預かったりもする。冒険者は支部のどこでも自分の金を引き出す事ができる。
冒険者ギルドの素材引き取りカウンターにニックは角ウサギ3匹を置くと、
「買取頼む」
と受付の職員に言う。
「ようニック、隣村から帰って来ないと思ったら、森で狩りかよ!てか1日1匹とか、おまえ運無いな!」
1日1匹?
ニックは首を捻る。
1日で3匹倒したはずだ、だか、その後寝てた。もしや三日も寝てたのか?
まあいいかと、話を合わせることにする。
「何故か出て来なかったんだよね。」
ニックが言うと、
「そんな時もあるわな!ガハハッ!」
カウンターで職員の男が笑いながら、銅貨90枚を渡してくれた。
「サンキューまたな!」
ニックは銅貨を受け取り、家路につく。
街の外れのボロボロの平屋、そこがニックの家である。ギルドが紹介してくれた宿に昔は泊まっていた。しかしニックは冒険者歴15年のベテランである。戦闘力は無いが!
15年もやって来れたというのは、そこそこの信用があるということだ。力に頼る仕事ばかりだが、それでもボロい平屋を借りるくらいの蓄えは出来る仕事量を貰えているのだ。
鍵など無い扉を開け、家に入る。
有るのは生活するのに必要な物だけ。
泥棒が入ったとしても、持って行く物が無い、逆に可哀想になって干し肉を置いていった泥棒がいたくらいだ。
ニックは雨風しのげて寝る場所があれば良い。ベッドがあるだけで充分なのだ。
共同井戸も近くにあるし、トイレも家の中に有る。街は下水は完備されている。上水は無いが、必要なぶんは井戸でくんでくる。この街は水が豊富なので、街の住民は、井戸は使い放題だ。
服を脱いで、ベッドに横たわる。
何故か身体が疲れている。
スキル【体力レベル10】があるので、疲れないはずなのに。
「ステータス!」
ニックが呟くと脳内に画面が浮かぶ。
ニック
年齢 30歳?
スキル 【タイリョク】レベル⚫️
加護 闇と光と色
「んん???」
ステータスとは、本人のみが閲覧可能な自身の状態表示のことである。
色々おかしい。
なぜ年齢に?マークが?
なぜスキルがカタカナに?レベルの⚫️は何?
加護?そんなもの有りましたっけ?
闇?なんか悪そう。
光?なんかカッコ良い。
色?何それ美味しいの?
まあいいか。