世界観的なもの
コリもせず新たな話を始めました、読んでくれたら嬉しいな〜
「はぁ、なんでこうなったんだろ?」
1人の男が呟く。
その男の前で、女性達が口喧嘩している。
内容は私が先だ、いや私だと。
少し時間を遡ってみよう。
男は冒険者である。どこにでもいる普通の冒険者だ。
この世界には、発展した科学はなく、剣と魔法、よくある世界。魔物が歩き回り、人を襲う。
対抗する手段は、武器を持ち斬りつけるか、魔法で攻撃する。
魔法の才能は生まれつきの物であり、才能は人口の1割ほどの人にしかない。
特にヒューマンは魔法が苦手である。
魔法が得意なのは、エルフやダークエルフと呼ばれる種族。
他にもドワーフと呼ばれる鍛治に長けた種族や、獣人と呼ばれる半獣半人とでもいう、身体能力に長けた種族がいる。
そして、ヒューマンやエルフ、ダークエルフやドワーフ、獣人達と対抗している種族、魔族が居る。
魔族、それは魔法に長けているだけでなく、身体能力もヒューマンより強い。数は少ないが、強敵である。
魔族は度々攻めてくるが、数に物を言わせて追い払っているのが、今の現状である。
話が逸れた。
冒険者というのは、魔族の手先とも言われる魔物を倒したり、依頼者から仕事を請け負ったりして生活する者をさす。
魔物の肉は、食用になるし、毛皮や骨や角は服や武器の材料になる。魔物の毒は薬の材料に。
つまり使えるのである。
これを収集または討伐して生活する冒険者。
しかし男は、弱かった。
この世界では成人は15歳。
15歳になると、この世の神よりスキルを賜る。
スキルは最低1つ。多いと3つだったりする。ちなみにこのスキル、神より賜るほかにも努力や経験によっても得ることは出来る。
ただ、神より賜るスキルが、そのスキルの上位、レベル8〜10であるのに対し、努力して得るスキルはレベル1からスタートである。
神より賜るスキルの優秀さが、わかってもらえると思う。
で、男が賜ったスキルは、【体力レベル10】
レベル10なので、かなり使えると思いきや、確かに疲れ知らずの体力ではあるし、力も強いのだが、それだけで冒険者は出来ない。
魔物と戦う戦闘能力が必要なのだ。
低級魔物のスライムや角ウサギ1匹なら、この男でも、倒せる。殴れば良いのだから。
しかしよく言われる低級人型代表、ゴブリン。これには苦戦してしまう。ゴブリンは140センチから150センチほどの、緑の肌をした人型で、主に棍棒や錆びた剣を持つ。
つまり戦闘能力があるのだ。レベルは1と言われているが、有ると無いとでは、この世界、雲泥の差なのである。
まだ1匹ならなんとかなるかもしれない、しかしゴブリンは群れをなす魔物である。
基本、ゴブリン1匹見つけたら、5匹は確実に居ると思え。こう言われている。
つまりこの男では、勝てないのだ。
そうそう、この男の名を説明していなかった。
この男の名は、ニック。年は30。冒険者歴15年。
孤児院育ちなので、ファミリーネームは無い。
【体力レベル10】
それで食っていくには、色々な仕事がある。
土木工事、この世界では、魔物から村や町を守るために、塀や柵を張り巡らせる。
その工事や、同じく堀の工事、ほかにも商人たちから、船からの荷揚げ作業などの依頼もある。食べていくだけなら、なんとかなるスキルではあったのだ。仕事が有ればの話だが。
この日、ニックは、商人の依頼で隣村まで荷車を引いて行き、荷物を荷車ごと隣村に置いてくるという依頼を受けていた。