< two-chome:Whereabouts of the first sortie>
チュートリアルを終えた私は、ユニバにメッセージを送るとすぐに返信が来た。
「すでに俺の方は森を抜けたぞ、しかし道中で4人ぐらい死んでたから、気をつけろ。」
なるほど、やはりかなりの高レベル帯なんだろう。
「わかった用心して抜けるがだいたい何分だ?」
「ん~10分くらいかな。」
そういわれ、現在時間を確認する。
9月18日午後8時45分、森を抜けたら落ちて飯を食いに行こうか。
「了解、だが抜けたら落ちないといけない。だからまた今度な。」
「把握、先にlvガン上げしとくから覚悟してろ。」
相変わらずの奴だ。
前にゲームをしているときに出会ったプレイヤーで、その後一緒の掲示板を見ていたことで、よくゲームで出会う。
そのため私たちはほとんど一緒に行動している。
腐れ縁みたいなものだ。
そんなことを思い出しながら私は突破隊に加わるため近づく。
「すいませんが、私も参加したいんですが。」
そういうとリーダーらしき人間が出てくる。
ランスロットの黒騎士ファイ、英雄の名を持った7人の内の一人。
この世界のギルドで最大ギルド「evolution」のギルドリーダー。
その実力はこのゲームで屈指の力を持っている、理由は職業にある。
まず円卓の騎士という職業には二つの分岐がある。
一つはアーサー陣営、もう一つはランスロット陣営である。
簡単に区別すると闇か光であるだけで特に変わらないが。
ランスロットは伝説通り最強の騎士にふさわしい実力を持っている。
アーサーのエクスカリバーと逆のアロンダイト。
威力は魔剣並みでそこらのモンスターは一撃で葬られる。
そんな人が今最前線に出るプレイヤーを支援しているのだ。
「ん?あぁ、歓迎するが、囮役をやりたいのか?」
あぁ、ロビンフッドだからか。どうしようか。
「今こちらに囮役がいないのだがよければ引き受けてくれないだろうか。」
「そういうことなら引き受けよう、だが見てのとおりlv1だ。」
「すまないがよろしく頼む、おい!皆の者、準備ができたそれでは行くぞ。」
そうして、最初の試練が始まる。
< ファイ >
性別・男性
種族・人間
職業・ランスロット
森の中を5台の馬車が走る中先頭に私が馬を走らせている、今のところ敵との遭遇は無い。
「今日はやけに静かだな。」
突破隊の一員がそう言った。
刹那、一本の矢が私の頬をかすめた。
次にするやる行動は一つただ一つ。
「敵襲!戦闘隊形をとれ!」
その一言を合図として初心者を乗せた馬車を中心に輪形陣を取り始める。
それを囲っている馬車からは熟練の魔法、遠距離武器の使い手が出始める。
その職業は幅が広く、私ですら把握が出来なかった。
魔法と銃弾、そしてその間を矢がすり抜けていく。
両者被弾、爆発や閃光、火矢による引火。
被害は両者大きかった。
「被害状況を報告せよ!」
ファイさんがそう叫ぶと各馬車から野良声が飛ぶ。
「一番車、被害は軽度、負傷者2名!」
「二番車、被害甚大、負傷者10名!」
「三番車、被害はほとんどありません!しかし4番車が破壊されました!」
「五番車、被害なし、初心者へのダメージもゼロです!」
被害状況は大きめ、前線の兵士は特にダメージは無い。
しかしここで疑問が浮かび始めた。
「なぁ、隊長様よ、これタゲ取りできてるんのか?」
「いや、おかしい。普通なら矢だらけになっているはずなんだが。」
やはり、ロビンフッド特有のターゲット集中が働いていない。
ゲームが知らない内に仕様変更されたかバグ、どちらかだろう。
しかし状況は変わらない、まだ森の半分の地点である。
「ここは、もっとタゲを取ります。魔法などの仕様は最大限控えてください。」
そういって自分は両腰に下げていたボウガンを2丁構える。
それから放たれるボウガンの矢は取り次ぐ暇もなくまた一つ、一つ増えていく。
それは森に隠れた、【敵】を自覚することになる。
エルフ、上位モンスターlv70。その矢のシステムアシストは尋常ではなく、撃った後「曲がる」のだ。
運営はこんなものを配置して突破させる気が無いのでは?
もちろんだがHPをそこまで削れるわけがなかった。
だが、その攻撃により、ロビンフッドの職業は仕事を始める。
全ての攻撃は馬車から外れ、その化け物じみた矢がすべてこちらに向く。
「楽しませてくれるじゃないか。」
そう笑みをこぼしながら敵を馬車から引き離しながら撃ち合った。
<エルフ>
種族・エネミー
性別・男性or女性
矢が体中に刺さる中私は森を抜ける、森を抜けた瞬間に攻撃は一斉に止んだ。
やはり攻撃対象は森の中だけなのだろう。
体中が痛い、いくらゲームだといっても感覚は共有なので痛みは感じる。
ふとHPバーを見ると赤くなっていた。
30/200
ほとんど死にかけなのである。
ふとメッセージウィンドウが開かれる。
【名声UP 0→100】
森を抜けただけで上がった、訳がわからない。
メッセージウィンドウを閉じるとそこには。
金色の狐が座っていた。
It will follow someday